1. 時間を短縮しても仕事量や内容が変わらず、制度が形骸化している

制度利用の申出があった場合には、業務運営上の支障が生じないよう、あらかじめ利用者と周囲の社員の仕事配分の見直しを行う必要があります。ところが、仕事配分の見直しが十分になされず、例えば、制度利用者に制度利用前と同じ仕事がそのまま割り当てられる等、制度の運用がうまくいかなくなるケースがあります。そうすると、制度利用者が決められた時間に退社できず不満が募り、周囲もどう協力してよいか分からない、といった状況に陥り、職場全体の生産性が低下します。

こうした問題が生じた場合には、制度の運用改善に向けて、人事部門が、下記の【管理職・制度利用者・周囲の社員がやるべきこと】を、それぞれに明確に伝える必要があります。また、退社時刻等の定期的な把握を通じて、制度利用者が時間どおり退社できているか、周囲の特定の社員に負担が集中していないか等をチェックし、必要に応じて管理職と話し合うことも重要です。さらに、現場だけでは改善が難しい場合には、部署を超えた仕事の配分調整や要員の追加等によって、管理職の職場マネジメントを支援する必要があります。

管理職・制度利用者・周囲の社員がやるべきこと

制度の関係者 制度の運用改善に向けてやるべきこと 関係者への伝え方
管理職
  • 制度利用者に対して、短時間勤務に適した内容及び勤務時間に見合う業務量の仕事を再配分する
  • 周囲の負荷を過剰に増加させることがないよう、職場全体の業務を見直す
  • 職場の社員全員に、制度の趣旨や内容を丁寧に説明し、協力体制を構築する
  • 制度利用者や周囲の社員への仕事配分が適正か、定期的に確認する
  • 場合によっては、部署を超えた仕事の配分調整や要員の追加を、人事部門と協議・検討する
  • 人事部門から直接伝える
  • 管理職向けのマニュアルや研修
制度利用者
  • 仕事が過重で、決められた時間に勤務を終了できない場合は、管理職や人事部門に相談する
  • 効率的に仕事を進めるよう心掛ける
  • 協力を得やすいように、周囲の社員と仕事の情報を共有する
  • 管理職を通じて伝える
  • 制度の対象者・利用者向けのパンフレットや研修
  • 人事面談
周囲の社員
  • 制度の趣旨・内容を理解し、制度利用者の立場を理解・尊重する
  • 制度利用者への協力を通じて、自分自身の仕事の進め方や情報共有のあり方を見直す(職場全体の生産性向上につなげる)
  • 管理職を通じて伝える
  • 一般社員向けのパンフレットや研修