有限会社 丸髙高橋蒲鉾店

 有期雇用労働者等の社員登用制度構築にあたり、地域の実情に合わせた評価基準を定めて取り組んだ事例

企業情報

住所 青森県青森市
従業員数 労働者 90名
  • ・正社員 20名
  • ・パートタイム労働者 70名
    (無期雇用労働者 58名、有期雇用労働者 12名)
    ※無期雇用労働者のうち20名は準社員
事業概要 惣菜製品の製造を行い、全国展開スーパーマーケットへの納品を行う。
製品:弁当、寿司、おにぎり、総菜全般

PDFデータ

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要約

 同社ではパートタイム労働者が戦力となっており、その比率は78%を占めているため、社員と比較して、パートタイム労働者へ職務に相応しい賃金が支払われているか、職務評価の実施により可視化することとした。
 また、パートタイム労働者から社員への登用制度を構築するにあたり、同一労働・同一賃金への対応を行った。
 職務と賃金の対応関係を明確にすることで、従業員との面談において職務評価結果を説明し、納得感が得られるようになった。

背景・目的

【職務評価基準の策定について】

  • ・パートタイム労働者の早期離職を防ぐため、納得感のある職務評価の実施。
  • ・幹部社員が共通して評価を実施できる職務評価基準の策定。

【賃金制度の構築について】

  • ・パートタイム労働者から社員登用のため準社員に位置づける段階を設ける。
  • ・早期離職を防ぐために、職務を明確にし、同一労働同一賃金への対応を行った賃金制度としたい。

Step1. 現状の確認(均等・均衡待遇)

① パートタイム・有期雇用労働者の活用方針を策定

【準社員の創設】
 生産部は、社員登用を期待できるパートタイム労働者が多い。
 しかし、作業の種類が多く、また、担当作業が日々異なる中で対応が求められる部門のため、職務と働きぶりを客観的に分析する必要があると考えた。
 その上で、社員への登用を希望するパートタイム労働者には、社員登用までの前段階(準社員)を設定することとした。

② 職務内容の棚卸

【職務評価基準の設定】参考【別紙】「職務(役割)評価の評価項目別スケール」

  • ・職務(役割)評価を自社の業務と評価項目別スケールに当てはめた。
    例:
    • ①【出庫業務】製品用パッケージの種類が多いにため、作業の進捗に合わせて補充数と準備のタイミングを上司に報告する職務
    • ②【熟練度】総菜の盛り付けの仕上がり程度
    • ③【勤続年数】
    • ④【後輩育成】新人パートタイム労働者へのレクチャーなど

③ 均等・均衡待遇の状況確認

 職務評価ツールを使用して以下について状況確認を行った。
【時間賃率について】
 社員は基本給のほかに、勤務手当が支給されているため時間賃率算出にあたり含めた。

【人材活用の仕組みまたは運用の違いについて】

  • ・準社員(パートA)は部門間における職務内容の変更はないため、社員と比較した時の運用の差が1項目であった。
  • ・パートBは部門間における職務内容の変更がなく、時間外労働も行わないため、社員と比較した時の運用の差が2項目であった。
取組対象①: パートA(出庫)
比較対象: 正社員
人材活用の仕組みや運用
ある/ない 備考
・転居を伴う配置転換等、働く場所の変更可能性に差が ない 事業場(工場)が1か所のため、働く場所の変更がなく、差はない。
・職務や職種の変更など、従事する仕事の変更可能性に差が ある 正社員は職務、職種など仕事の変更可能性があり、差がある。
・時間外、休日労働、深夜勤務等、労働時間の変更可能性に差が ない どちらも時間外等を行い、違いはない
取組対象②: パートB
比較対象: 正社員
人材活用の仕組みや運用
ある/ない 備考
・転居を伴う配置転換等、働く場所の変更可能性に差が ない 事業場(工場)が1か所のため、働く場所の変更がなく、差はない。
・職務や職種の変更など、従事する仕事の変更可能性に差が ある 正社員は職務、職種など仕事の変更可能性があり、差がある。
・時間外、休日労働、深夜勤務等、労働時間の変更可能性に差が ある パートBは時間外労働を行わず、差がある。

④ 職務評価

【職務評価ツールによる評価結果】

  • ・準社員とパートタイム労働者の間では、職務ポイントの差が認められ、時間賃率の差も認められた。
  • ・社員と準社員の間および社員とパートタイム労働者の間とも均等・均衡待遇が図られていると判断された。ただ、時間給労働者である準社員、パートタイム労働者の賃金は、最低賃金の上昇に合わせて時間単価を上げているため、賃金上昇が少なくなっている。
  • ・時間給労働者の単価については、「最低賃金額」プラス「時間上乗せ(10円~30円)」で設定している。最低賃金額の上昇が大きいため、当面準社員及びパートタイム労働者とも、時間給決定方法を変更しないこととした。
    なお、社員登用制度は引き続き継続することとした。
プロット図①パートA(出庫)と正社員の比較 プロット図②パートBと正社員の比較

Step2. 制度設計

① 等級(グレード)制度の検討

 等級制度は今後の検討課題とした。

② 賃金制度の検討

【最低賃金上昇に対応する賃金制度】
 パートタイム労働者の基本給を最低賃金と同額とし、職務に応じて1時間当たり10円~30円の範囲で上乗せした時間給で支給することとした。
 都道府県最低賃金の上昇額が大きいため、パートタイム労働者の賃金額上昇への対応を優先し、企業全体の賃金制度見直しは後のタイミングとした。

③ 評価制度の検討

 【別紙】「職務(役割)評価の評価項目別のスケール」により、各部門の管理者が共通の評価基準による評価を行えるようにした。
 このスケールの定義づけも随時改正していくこととしている。

効果

【職務評価ツールの効果】

  • ・職務評価の基準を統一することができた。
    幹部社員が共通した職務評価基準による評価を行えるようになった。
  • ・職務と賃金の対応関係を明確にできた。
    従業員との面談においても職務評価結果を説明し、納得感が得られるようになった。
  • ・正社員、準社員、パートタイム労働者とも、職務評価ポイントの開きに応じた時間賃率の開きが少ないという特徴がわかった。(最低賃金の上昇により、賃金単価のベースが上昇している影響と考えられる。)

【従業員の声】

  • ・10月の賃金見直しの面談の際に、作業の評価内容を示してもらい、賃金の改定内容の説明のほか、社員登用へのポイント(頑張りどころ)の説明を受けて、仕事の励みに繋がっている。

課題

【社員登用に関して】
 準社員、パートタイム労働者について、配偶者の扶養内で働く希望を持つものが多いため、社員登用を躊躇するケースが多い。

【賃金制度の明確化】
 長く継続して働いてもらう、また、社員への登用希望を持って働いてもらうため、より多様な働き方を提示できるよう就労形態と賃金制度を検討している。

工夫

【従業員面談の質の向上】
 例年10月に、全労働者と面談を行って、賃金改定内容等を伝えている。
 職務分析・職務評価の取組結果に基づく評価結果を説明することにより、納得感を得られている。
 一方で、「職務(役割)評価の評価項目別のスケール」で、曖昧になっている項目があるため、定義づけの検討及び共通認識構築へ取り組んでいる。

職務(役割)評価の評価項目別のスケール【別紙】

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