要素別点数法

要素別点数法による職務評価は、「職務評価表」を用いて職務評価ポイントを算出して行います。
職務評価表は下記の3つの要素から構成されています。

評価項目 ウェイト スケール

評価項目

要素別点数法で用いられる職務内容の構成要素を示します。
例えば、以下のような8つの項目から職務の大きさを測定します。

ウェイト

会社の事業特性等に応じた構成要素の重要度を示します。 重要な「評価項目」であれば、ウェイトを大きく設定します。
ウェイトを大きく設定することで、職務評価ポイントが大きく変化します。

スケール

構成要素別にポイントを付ける際の尺度の基準を示します。
下記の例では、5段階の尺度の基準を設定していますが、より精緻な評価を行う場合であれば、段階を増やすことも有用です。

評価項目別のポイントは、「ウェイト」×「スケール」で計算され、全ての評価項目のポイントを総計したものが当該職務の大きさです
(下記の職務評価表の例では、職務の大きさは18ポイントとなります)。この値を「職務(役割)ポイント」と呼びます。

【職務評価表】

職務評価表1 職務評価表2 職務評価表3
職務評価で分かること
職務評価をパートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員それぞれに実施することで、下記に示す2つの事項が分かります。

(1)パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員の職務の大きさ
(2)パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員の均等・均衡待遇の状況

(1)を図式化すると、以下のようになります。

下表は、パートタイム労働者のAさん、有期雇用労働者のBさんと正社員のCさんについて、職務評価を実施した結果です。 職務(役割)ポイントは、Aさん18ポイント、Bさん22ポイント、Cさん22ポイントとなりました。BさんとCさんは、同じ22ポイントなので、職務全体の大きさが同じであることが分かります。
評価項目別に見てみると、「③専門性」でBさんが6ポイントと高く、Cさんが4ポイントと低くなっていますが、「②革新性」や「④裁量性」では、CさんがBさんより高くなっている、というように職務評価を用いると、各人が担当している職務の大きさや構成要素のどこに違いがあるのかが分かります。

【パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員の職務の大きさ】

パートタイム労働者と正社員の職務の大きさ
(2)を図式化すると、以下のようになります。

下図は賃金(時間賃率:1時間当りの時間単価)について、有期雇用労働者のBさんと正社員のCさんの間で均等・均衡待遇の状況を検証したものです。
BさんとCさんの間では、職務(役割)ポイントが同じなので、同程度の処遇が望ましいと言えます。ところが、実際にはCさんの時間賃率1,200円に対して、Bさんの時間賃率は800円と大きく開きがあり、均等・均衡待遇が図られていない可能性があります。
ただし、均等・均衡待遇が確保されているかを判断するには、さらに「人材活用の仕組みや運用など(転勤や職務・職種などの変更の有無や範囲の相違)」を考慮する必要があります。本例では、職務評価の方法を簡単に説明するために、パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員の「人材活用の仕組みや運用など」が同じであることを前提に両者を比較しています。

【パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員の均衡待遇の状況】

パートタイム労働者と正社員の均等・均衡待遇の状況

基本給の点検・検討時の参照資料

基本給に関する均等・均衡待遇の状況を確認し、等級制度や賃金制度を設計する1つの手法として、職務評価について解説しています。
その際、職務評価試行ツールをご利用いただくことで、パートタイム・有期雇用労働者と正社員との間での均等・均衡待遇の状況を簡単に確認し、今後の取り組みを検討できます。
なお、職務評価の前に、社内の職務に関する情報を収集・整理し、職務の内容を明確にする職務分析を実施することで、職務評価の妥当性を高めることができます。

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