よこづな

企業も働く人も成長!公正・公平な待遇の実現

職務分析実施後も取組継続、最低賃金の引上げに対応、職務に応じた賃金制度を改定

よこづな

企業情報

住所 沖縄県宜野湾市
従業員数
  • ・正社員 約2名
  • ・パートタイムかつ有期雇用労働者(呼称、非常勤職員)約9名
事業概要 こだわりの国産素材を備長炭で焼き上げ焼き鳥や旬の食材を楽しめる串カツをメインにしながら、ビールをはじめお酒やアイデアを凝らしたデザートまで楽しめる「笑顔」を大切にする店

PDFデータ

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取組のきっかけ

人手不足・賃金制度の悩みから、誰もが納得して働ける職場を目指した取組へ

 これまで、従業員の賃金の決定に関して明確な基準がなかった。そんな中、新型コロナウイルスが収束し、急速に人手不足が強まった。さらに、賃金相場も徐々に上昇していく中で、人材確保を最優先に賃金等の待遇を決定した結果、新人の方が、ベテランより時給が高いという逆転現象が生じてしまった。そうした状況の改善のため、厚労省の働き方改革推進支援センターによる専門家の支援を活用し、取組を実施することとした。

これまでの取組(令和5年度)

取組1. 職務の洗い出しにより職務と待遇の可視化

職務の洗い出しを行う中で、新人に任せていない業務や、経験年数が長くなるにつれてできるようになる業務など、職場内に様々な業務があることを確認。
また、一部の従業員において、担っている業務と待遇に必ずしも整合性が取れていないという課題を発見。

取組2. 職務分析・職務評価による賃金制度の構築

従業員の担う職務の質と量で待遇を決定する方針を定め、それに応じた賃金制度を構築。

取組3. 賃金制度と人材活用を連動

職務と待遇が可視化されたことで、人材開発の段階・道筋が定まり何をすべきかについても考えることができるようになった。
また、人材活用の段階や、簡易的なキャリアパスを構築することができた。

更に実施した取組(令和6年度)

取組のポイント

取組1
近年の最低賃金の上昇にあわせ、賃金制度の下限を引上げるなど見直しを実施
取組2
円滑な制度運用のため、制度方針を従業員に個別に説明
効果
  • ・最低賃金の引上げに連動し、職務等級と賃金の紐づけを維持しながら金額を改定できた
  • ・キャリアパスが見通しやすくなり、従業員のモチベーションアップにつながった

取組1. 近年の最低賃金の上昇にあわせ、賃金制度の下限を引上げるなど見直しを実施

 沖縄県の最低賃金引上げに伴い、賃金の具体的金額の妥当性を改めて検討する必要性が生じた。
前回の取組の経験を参考に、まず正社員以外の待遇に関する方針や引上げ額を決定し、その後、正社員についても検討することで、全体のバランスを整えることにした。
 より多く給与を支給したいという思いはあったが、他方、経営者として事業の継続性も考慮する必要があり、客観的な資料として、前回も参考にした各種賃金の統計や求人情報で情報を収集し、具体的な引上げ額を検討した。また、今回は思い切って対象者である従業員たちにも、どれぐらい稼ぎたいのか等の意見を率直に尋ねてみることにした。
 結果、確かに、「賃金は高いのがありがたいが、それ以上に頑張れば稼げる、との仕組みがあれば、より前向きに働ける」との貴重な意見が得られた。そこで、賃金の引上げを行うとともに、手当等も検討するのが良いとの改定方針とすることにした。
 さらに、賞与により中長期的な頑張りを評価する制度を導入することも視野に入れた。
 賃金制度は「法律的に決まりがあるものではなく、根拠となる数字は最も大切だが、事業主の思いも込めて作成するのが理想」と以前助言をもらったので、手探りのまま自力で改定を行ってみた。ただ、絶えず「これでいいのだろうか」と疑問はついてまわった。そのため、ある程度定まった時点で、今回の改定について従業員から意見を募ってみた。
 すると、「賃金等の引上げは、額だけでなく、率も参考にするのが良いのではないか」と回答があった。一見、正社員の方が引上げ額が大きく見えても、率にすると低い場合があり、納得感が低下する可能性があるとの気づきがあった。
 引上げ率も参考に全体のバランスを整えたところ、全員が納得いく改定になったと自負している。実際に全員から、今回の改定について好意的な回答を得られた。

従業員の写真
VOICE 代表者の声

 専門家からは継続的に賃金制度を見直す必要性が助言されていました。支援後、近年の最低賃金の上昇が著しく、統計や求人情報を見ていると、制度の改定は必須であることが理解できました。
 賃金制度は一旦決めても、終わりとはならないということを実感しました。正解はない取組です。しかし、賃金制度は等級制度に紐付いており、現時点での能力を適正に測るものさしとしても活用できています。何より、従業員から好評であることが自信の根拠になっています。今後も、状況に応じた賃金制度の見直しに対応していきたいです。

取組2. 円滑な制度運用のため、制度方針を従業員に個別に説明

 賃金制度の改定について、改めて各従業員に説明する機会を設けた。主にまかないの時間を利用し、開かれた雰囲気の中で率直に改定の趣旨を説明。事前に意見を聞いていたこともあり、公平・公正に待遇を改善する良い改定であるとの受け止めをしてもらうことができた。

 説明をする中で、店長クラスに届く人が複数出た場合についての質問があり、そういう場合は、事業を拡大する機会になるのではないか、と店の未来についても語り合うことができた。等級と賃金を紐づけた自分の思いも伝わっており、改定に費やした労力が報われたと感じた瞬間であった。

VOICE 従業員の声

 コロナ明けに急激に忙しさが戻ってきて、とにかく人手の確保が重要で、一人ひとりの待遇が公平なものかについては正直疑問もありました。
 しかし、今回の一連の取組で、なぜ、自分が今の待遇なのかが明確に説明されたため納得感があります。また、賃金引上げにより待遇も良くなりました。自分も店長になるには何が必要かを改めて知ることができ、モチベーションも上がりました。
 職場の雰囲気も更に明るくなり、店も自分も成長していきたいと改めて感じています。

効果

  • 沖縄県の最低賃金引上げに連動し、賃金の具体的金額の妥当性を改めて検討し、職務等級と賃金の紐づけを維持しながら金額を改定できた。
  • 職務と待遇を制度で可視化したことで、現時点の能力を測りやすくなった。結果、従業員がキャリアパスを見通しやすくなり、モチベーションアップにつながった。

今後への想い

  • 今後、策定した制度の導入を検討する際、職務評価ポイントを付けるには、異なる職務を客観的に評価する基準が必要なため、今後も慎重な検討が必要だと考えている。
  • 職務評価ポイントに込めた思いを率直に従業員に伝え、評価の納得感も高めていきたい。
  • 大きな事業所ではないので、労使で協力してより良い評価制度になるように今後も取組を続けていきたい。

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