株式会社西条環境分析センター

パートタイム労働者のライフステージに合わせた働き方とキャリアの発展を支援するため、正社員とパートタイム労働者の均等・均衡待遇の状況を確認し、その結果を基に等級制度・賃金制度の見直しを行った事例

1. 企業概要

所在地 愛媛県西条市樋之口452番地
従業員数 正社員:11名
パートタイム労働者:4名
主な事業内容 計量証明事業・作業環境測定

2. 取り組みのポイント

 全社員の約3分の1がパートタイム労働者で、組織の一員として重要な役割を担っている。全社員が協力し合い、多様性を尊重する企業風土を育み、職場全体が活気に満ちることが、成果を上げることにつながると考えている。そこで、パートタイム労働者と正社員の垣根を超え、様々な世代やライフステージに合わせた働き方のできる職場にする必要性を認識したため、職務分析・職務評価の手法を用い、基本給について均等・均衡が保たれているかを確認し、パートタイム労働者が十分に能力を発揮し、職場に貢献していけるよう、客観的な評価と必要な改善策の検討を進めた。

3. 人事制度改革の経過

人事制度改革を検討したきっかけは、下記のとおりである。

① パートタイム労働者の待遇・活用の検討

 パートタイム労働者にも正社員と同様に、評価基準を明確にした就業規則を適用し、資格手当など各種手当についても適用していたが、賃金表は、正社員とパートタイム労働者で別の表を適用していた。同一労働同一賃金について法改正がされたことから、パートタイム労働者も能力を発揮して会社に貢献できるよう職務に基づいて公平に評価したいと考えた。会社としては、同一労働同一賃金の原則に基づき、正社員とパートタイム労働者の公正な待遇の確保がなされているのかということや、どのような対応が必要かを確認することが必要であった。

② 職務分析・職務評価の実施

 同社は、当初より働き方改革について高い意識を持ち、積極的に取り組みを行っている企業であった。働き方改革推進支援センター(以下「センター」という。)に同一労働同一賃金に対してどのように対応すべきかを相談したところ、職務分析・職務評価について説明を受け、その実施が問題解決につながると考えた。そこで、センターにコンサルティングを申し込み、職務分析・職務評価のコンサルティングを受けた。

4. 職務評価の実施ポイント

ア.実施した職務評価に関する基本情報

実施目的 ・パートタイム労働者と正社員との均等・均衡待遇の確認
・パートタイム労働者の等級制度と賃金制度の検討
実施者 ・職務の棚卸・職務評価実施者 オフィスチームリーダー
実施対象 ▶ラボチーム パートタイム労働者:3名
▶比較対象とした正社員:4名
職務評価実施手法 ・要素別点数法

イ.実施内容

(1)均等・均衡待遇の確保状況の把握

① パートタイム労働者の活用方針「パートタイム労働者の大半は補助業務に活用する」

 採用当初からパートタイム労働者と正社員は、それぞれの役割及び責任を明確に分けて運用している。そのことがパートタイム労働者のワークライフバランスに良いと感じているため、従前通り正社員との役割及び責任と明確に分けることが最善と考えている。
このような状況を踏まえ、同社は、人材の活用方針について、「パートタイム労働者の大半は補助業務に活用する」という方針に設定した。

② 職務内容の棚卸

 水質検査を主業務としているラボチームに従事するパートタイム労働者4名のうち補助1名を除いた3名を取り組みの対象とした。ラボチームをピックアップしたのは、正社員に近い職務を担っているパートタイム労働者がいることや、比較対象となり得る正社員が在籍していることが理由である。
 職務の棚卸の作業は、業務を「1日」、「1週」、「1か月」のサイクルで抜き出し、職務内容を洗い出して可視化した。その結果、第1階層:正社員(チームリーダー)、第2階層:正社員(サブリーダー)、第3階層:正社員(一般職)・パートタイム労働者に区分した。

【職務棚卸】

職務棚卸

③ 均等・均衡待遇の状況確認

 パートタイム労働者・正社員ともに、基本給のみを計算に含めて時間賃率を計算した。
 活用係数の設定にあたっては、人材活用の仕組みや運用の違いについて、正社員とパートタイム労働者とを比較すると、「転勤等、働く場所の変更可能性」「職務や職種の変更等、従事する仕事の変更可能性」「時間外、休日労働、深夜勤務等の勤務時間の変更可能性」について以下のような違いがみられた。
 「転勤等、働く場所の変更可能性」について、正社員、パートタイム労働者ともに転勤等、働く場所の変更の可能性はない。
 「職務や職種の変更等、従事する仕事の変更可能性」について、正社員は、職務や職種の変更等、従事する仕事の変更の可能性があるが、パートタイム労働者は変更の可能性はない。
 「時間外、休日労働、深夜勤務等の勤務時間の変更可能性」について、正社員は、時間外、休日労働、深夜勤務等が発生する可能性があるが、パートタイム労働者は、時間外、休日労働、深夜勤務等の勤務時間の変更の可能性はない。

 以上の人材活用の仕組みや運用の違いを踏まえ、活用係数は「0.85」とした。

人材活用の仕組みや運用の違い
正社員 パートタイム労働者 相違のポイント
転勤等、働く場所の変更可能性 × × ・正社員、パートタイム労働者ともに転勤等、働く場所の変更の可能性はない。
職務や職種の変更等、従事する仕事の変更可能性 × ・正社員は、職務や職種等の変更等、従事する仕事の変更の可能性があるが、パートタイム労働者はない。
時間外、休日労働、深夜勤務等の勤務時間の変更可能性 × ・正社員は、時間外及び休日労働、深夜勤務等が発生する可能性があるが、パートタイム労働者はない。

 これらを踏まえ、職務評価ツールを用いて正社員とパートタイム労働者の間で基本給について均等・均衡待遇が図られているか確認した結果、おおむね均等・均衡が図られていることを確認した。なお、パートタイム労働者1名の時給が高かった理由は、勤続年数が長期になっていることであった。

プロット図 パートと正社員の比較

(2)パートタイム・有期雇用労働者の人事制度

① 正社員転換制度の導入

 正社員とパートタイム労働者の待遇について、おおむね均等・均衡が図られていることが確認できたことから、今後は、パートタイム労働者の働き続けられる環境を整備し、職務能力やモチベーションを更に向上させるため、正社員転換制度を導入することとした。2024年導入に向け、現在準備を行っている。

② 等級(グレード)制度・賃金制度

 同社では、正社員及びパートタイム労働者に対して等級制度があり、賃金制度も確立している。毎年評価等を行い反映しているが、能力、資格に応じた制度に変更するため、現在準備を行っている。今後の制度設計の参考として、センターのコンサルタントより職務給を元にした制度案の提示を受け、継続検討している。


【支援開始前の状況を反映した等級制度のイメージ図】
正社員、パート・有期の職務ポイントと格付け(等級)、および、パート・有期に係る活用戦略を基に等級制度の段階数を検討します。

支援開始前の状況を反映した等級制度のイメージ図

5. 今回の取り組み、制度の導入後に期待する効果

●効果

 職務分析・職務評価の実施が契機となり、2024年に正社員転換制度を導入することとなった。制度が導入されれば、パートタイム労働者の長期的な働きやすさやモチベーション向上につながると感じている。

●課題

 職務分析・職務評価を実施して正社員とパートタイム労働者の待遇を確認していく中で、現在の等級制度では、正社員・パートタイム労働者ともに、「業務内容・業務量・能力」と待遇の関係がわかりにくい可能性があることがわかった。そのため、今後は、どのような職務に従事し、どのような能力があれば、どのくらいの賃金になるかということをよりわかりやすく規定していくことが必要であると考えている。

●工夫

 職務評価を行う際に、能力ではなく、職務に焦点を当て評価を行った。また、職務構造表を作成する際に、共通の業務内容や異なる業務(同種の内容でもどのように違うのか、業務の難易度はどう変わるのか)に着目しながら個別丁寧に行った。そのことにより、職務構造表の作成だけでなく、活用係数の決定に際しても納得感のある数値を決定することができたと感じている。

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