事例2-1-5 各種商品小売業
職務内容の棚卸を実施した上で格付け制度を整備した事例契約社員やパートタイム労働者の人事制度も整備することで人材の確保定着やステップアップに寄与
1. 企業概要
所在地 | 大阪府 |
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従業員数 |
約3,000名 うち、約1,300名がパートタイム労働者 ※有期契約労働者全体で2,000名 |
主な事業内容 | 各種商品小売業 |
2. パートタイム労働者に関わる人材課題
パートタイム労働者を含め、有期契約労働者の積極的な活用と人材の囲い込みが人材課題となっている。
3. パートタイム労働者の人事制度の概要
特定社員(パートタイム労働者)を、現場における職務遂行能力に応じて、L(レベル)1~3に区分している。特定社員の人事制度の概要は下記の通りである。
特定社員は、労働時間によってロングとショートタイムに区分され、ショートタイムはL3のみの格付となる。
給与については、地域別に相場を考慮して設定されており、人事評価により洗い替えられる。
また、職務限定正社員である、専任職社員への転換制度も存在しており、特定社員のうち、L1については、専任職社員への転換を今後積極的に進めていく方針である。
図表1.特定社員(パートタイム労働者)の人事制度
人事制度 | 特定社員の 人事制度の内容 |
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労働時間 | ロング(フルタイム)、ショートタイムによる区分 ※ショートタイムはL3のみの格付け |
賃金制度 | 時給制 |
・給与は地域別に相場を考慮して設定 ※人事評価による洗い替え方式を採用 ※関西の例 L1:1,200円以上 L2:1,050~1,200円 L3:850~1,000円 ・賞与あり ※年2回支給 |
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社員区分 (格付け制度) |
職能資格制度(2005年導入) ※L(レベル)1~3の3区分 |
職務内容 | 職種ごとに詳細に棚卸しした職務内容を設定 |
人事評価 | 人事評価表に基づき実施 |
転換制度 |
専任職社員(職務限定正社員)への登用制度 ・要件表を満たす者をリストアップ、部門推薦、実技試験、面接 (2回)を経て登用 ※要件表:L2以上、昨年の人事評価で給与が上昇、 獲得したサービスポイント(顧客からのポイント)を要件とする ※実技試験:営業はロールプレイ、事務職はレポート ※面接:人事部長面接、人事担当役員面接 ・2014年の転換実績は、全社で24名 |
4. 職務分析・職務評価の導入目的と活用状況
特定社員に職能資格制度を導入する際、能力基準の作成のために詳細な職務内容の棚卸しを実施した。具体的には、店舗ごとに特定社員に求められる能力が異なるため、まずは人事部門が職務内容の棚卸しを詳細に行った上で、それに応じた等級体系を決定し、等級ごとの定義や基準の作成は現場の店舗ごとに行った。
5. 均等・均衡待遇の状況
特定社員のL1と専任職社員との間で職務内容の重複が生じているものの、処遇については、専任職社員に対して特定社員のL1と比較して高い処遇(給与、賞与、福利厚生等)を付与している。
また、専任職社員では、特定社員のL1よりも高度な専門性が求められ、役職としてユニット長に就任することから、特定社員のL1との間に職務内容・役割の差異がある。
なお、特定社員のL1については、今後積極的に専門職社員への転換を進めていくことから、専任職社員と特定社員のL1の職務内容の差は徐々に明確化していくものと考えられる。
6. パートタイム労働者の人事制度により得られた効果
特定社員のモチベーション向上に効果があった。また、一定の離職率の改善も見られた。