事例1-2-3 中堅製造業

合併や買収により複数ある制度の統合を図るため、職務(役割)評価を活用

職務記述書を作成することにより、異なる組織の類似した仕事を整理

同社は全国展開する日用品等のメーカー(従業員数:約500人(パートタイム労働者を含む))です。幾度かの合併を経るものの、合併の度に合併前の組織ごとの人事制度を一本化してこなかったため、人事制度が複数存在していました。そのため、経営層は、このような状況を改善し、グループ全体の求心力を高める上で人事制度を統一する必要性があると判断し、人事制度の一本化に着手しました。人事制度の一本化を行う上で組織間の公平性を確保する観点から、職務に着目して人事制度を設計することとなりました。そこで、まずはじめに職務分析(仕事の洗い出し)を実施し、9つの職群に整理した上で、職群と従業員ランクごとに職務記述書を作成しました。

職務評価の実施プロセス

人事担当者等が、職群別の賃金差の根拠を見出すために、要素別点数法を使って職務(役割)評価を実施。職務(役割)評価の項目は、「創造性」、「定型業務」、「専門性」、「外部要因」、「内部要因」というように同社独自に5つの項目を設定した上で、同社の業態(日用品等メーカーであること)、商品構成(外気温等の外部要因の影響を受けやすい季節品の構成割合が大きい)、同社のビジョン(独創的な創意工夫で、他社には無い商品を開発していこうという精神)をもとに「創造性」「外部要因」のウェイトを高くしました。

職務(役割)評価のプロセスとして、まず①プロジェクトメンバーが上記の評価項目及びウェイトを使って評価、次いで②職群ごとの職務(役割)ポイントを算出、さらに③評価作業の中でスケールとウェイトの設定を何度か繰り返した上で、職務(役割)ポイントが全体として納得感が高まるように調整、最後に④得られた職務(役割)ポイントの算出結果を、職群別の処遇格差を設定する際の参考値として活用した。また、この結果は、当時、買収した地方の会社との人事制度の統一を行うにあたり、買収先企業と同社の給与水準について、双方のバランスがとれた制度設計を行うための参考値としています。以上のようにして、平成16年に現在の制度の原型となる仕組みを構築。なお、現在、仕事内容の変化から一部の職群やその詳細な内容に修正点があるものの、基本的には同じ枠組みで運用しています。

職務評価実施プロセス

職務評価の導入成功のポイントと効果

部門や組織横断のプロジェクトメンバーを選抜し、職務(役割)評価を実施

職務(役割)評価を実施する際には、一部の組織や職種に偏った考えで評価を行うことがないように当時の営業、研究開発、製造等といった主だった部署を経験した役員や人事部門の従業員によりプロジェクトメンバーを組成したことが、従業員にとっての制度の納得性を高めることに貢献したと考えられます。

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