事例1-2-1 中堅卸・小売業

社内の閉塞感を打破するために職務(役割)評価を実施し、結果を役割等級ごとの基本給に反映

社内の閉塞感を打破するために社員調査を実施し、その結果をもとに社員の活力向上のための人事制度再構築を決定

同社は、地域に根差して複数の店舗を展開する卸・小売業(正社員約400名、パートタイム労働者約1,500名)です。人事制度を改定する以前の同社には、「役職を外れても基本給は高いまま」、「仕事を頑張っても何も変わらないし、変えなくてもいい」といった言葉に代表されるように、社内において「新しいことを生み出そうとする社員が動きにくい」というような閉塞感がありました。そのため、経営層には、このままでは競合他社の出店攻勢に十分に対応できないとの問題意識が生じていました。そのような中で、経営層は社内の閉塞感の要因を探るため、アンケートや聞き取りによる社員調査を実施し、その結果をもとに、新しい人事制度の構築に着手しました。平成22年の人事制度の見直しにあたり、職種別の市場価値を重視しました。賃金制度を整備するため、職務(役割)評価を実施しました。


職務(役割)評価の実施プロセス

職務分析の実施後に要素別点数法による職務(役割)評価を実施

同社では、上記の調査結果から社内の閉塞感を打破するためには、社員を適切に評価し、公正に処遇する必要があるとの結論に至りました。そこで、まずは仕事内容を具体的に把握するため、職務分析を実施。その結果に基づき、社員ランク、職種を整理し、役割等級制度を整備することとしました。その上で、要素別点数法による職務(役割)評価を実施し、その結果を基本給の設計へと活用しました。職務(役割)評価を基本給の設計に活用する具体的なステップについては、まず①世間で一般的に公開されている職務(役割)評価項目をベースに、自社でアレンジした10数項目を設定、次に②10数項目ごとに“5段階のスケール”と“項目ごとに設定したウェイト”により“職務(役割)ポイント”を算出、続いて③職務(役割)ポイントを活用して“ポイント単価”を計算、そして④ポイント単価に職種別、社員ランク別に算出した職務(役割)ポイントを掛け合わせた金額を“職務給”として、基本給の一部に採用する賃金制度を構築という流れです。そして、これらの内容が確定した後、賃金制度と並行して整備していた人材育成制度もあわせて社員への説明を実施しています。

なお、同社は、上記のとおり職務(役割)評価について、正社員のみを対象に導入しましたが、今後はパートタイム労働者への導入も図っていく予定であるとのことです。

職務(役割)評価の実施プロセス


職務(役割)評価の導入成功のポイントと効果

多くの部門が連携したプロジェクトチームを組成

賃金制度の改定を進める上で社内にてプロジェクトチームを組成。メンバーは10人程度で、人事担当役員および人事担当者、現場の主要部署の担当者、現場スタッフ(男女)、労働組合等と幅広い人材で構成しました。その上で、社員への情報提供は適宜プロジェクトチームを中心に実施。可能なかぎり“開かれた人事制度の構築”に取り組んだことは、人事制度の改定の際に社員の納得感を高める上で効果があったと考えられます。

職務(役割)評価は少人数で実施

職務(役割)評価は、プロジェクトチームの中の人事担当者の数人で実施しました。そして、その結果については、プロジェクトチーム全体で妥当性の検証・調整を行いました。担当者によれば、「職務(役割)の価値の大きさ」、「職務(役割)評価」という考え方に当時は多くの社員が慣れていなかったため、人事担当者の数人で職務(役割)評価を行い、その結果を協議した方が納得感を得やすかったとのことです。また、社員も職務(役割)評価自体は、賃金制度の設計の中のプロセスのひとつと捉えていたことから、人事担当者の数人で実施したことは、それほど抵抗感が無かったと考えられます。

職務分析を通じた役割等級制度とそれに合わせた人材育成の仕組みを整備

同社では、職務(役割)評価を実施する前に職務分析を実施しました。その結果を用いて策定した職種別、社員ランク別の役割等級制度に対して、職務(役割)評価を実施した上で算定した職務給を基本給として賃金制度を設計しています。現場の実態から構築した役割等級制度を用いて職務(役割)評価を行ったことで、社員にとって改定後の賃金制度が受け入れやすくなったと考えます。また、人材育成の仕組みを整備し、賃金制度と合わせて社員に説明したことが、社員の人事制度の改定に対する納得感を高めるために効果があったと考えられます。

「仕事の大きさ」に応じた基本給を構築

同社は、職務(役割)ポイントにポイント単価を掛けることにより算出した職務給を採用することで、「職務の価値の大きさ」と賃金を明確に結びつけることに成功しました。その結果、賃金水準にメリハリがつき、当初の目的である「社員の向上心の醸成」を実現しました。

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