N社
基本情報
| 業種 | 構内請負業 |
|---|---|
| 都道府県 | 三重県 |
| 社員数 | 正社員:178人
パートタイム労働者・有期雇用フルタイム労働者:26人 |
| 事業概要 | 生産工場内における原料ならびに製品等の加工・製造作業、運搬等の請負 |
| 対象 | パートタイム労働者5人・有期雇用フルタイム労働者:21人 |
取組を行った待遇
| 基本給 | |
|---|---|
| 賞与 | ○ |
| 手当 | ○ |
| 退職金 | |
| 福利厚生 | ○ |
| 休暇・ 休職制度 |
○ |
| 教育訓練 | ○ |
| その他 | ○ |
社員と同等の待遇については、以下の通り
賃金
福利厚生等
取組のポイント・概要
背景
働き方改革関連法の改正が行われることを見越し、そのタイミングで同一労働同一賃金になるように処遇を見直した。対象となる有期雇用労働者は全員、定年退職後の再雇用者であり、同一業務を継続している。現場の人手確保の面からも、習熟度の高い有期雇用労働者を適切に処遇していく必要があった。
取組(取組前/後)
| 取組前: | 定年退職後は時給制となり、給与水準も大きく下がっていた。 |
| 取組後: | 有期雇用労働者も月給制に変え、定年退職時の基本給水準をそのまま移行させた。また、退職時の資格要件を継続し、その水準の賞与支給を行うこととした。住宅手当も正社員同様の支給とした。 |
効果
処遇の低下が影響して、定年退職時に辞めてしまう人も多かったが、現在はほとんどの人が再雇用を継続している。正社員にも好意的に受け止められ、当社で働き続ける後押しとなっている。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
1.業務特性と従業員の種類
同社の業務は習熟が必要であり、短期の有期雇用はなじまない傾向がある。そのため同社の従業員は正社員雇用を基本とし、60歳定年以降の雇用者が有期雇用労働者である。
<再雇用者の要件>
- ・基本的には60歳定年以降、65歳までが再雇用
- ・さらに希望者は70歳まで雇用
- ・有期雇用は原則として週5日フルタイム雇用だが、週5日未満を希望する人をパートタイム雇用とする
- ・フルタイムは月給制で、パートタイムは時給制である
- ・有期雇用は、全員が1年ごとの契約である
<再雇用者の現状>
- ・60歳から65歳は、全員がフルタイムの有期雇用者
- ・65歳から70歳は、原則フルタイムの有期雇用者だが、うち5人はパートタイム雇用者である
2.検討の背景
2018年までの状況
- ・再雇用者は時給制に切り替わり、単価も大きく下がるような制度であった
2019年前後
- ・働き方改革関連法の改正に関する報道や通達が相次ぎ、同一労働同一賃金面で自社の制度を見直す必要性を感じ、検討を始めた
経営・事業上の背景
- ・親会社である山九株式会社からも、対応の必要性に関する発信があった
- ・習熟が必要な業務が多いことと、新規採用が厳しい状況が続いていることとの両面から、再雇用者の継続・活躍は経営としても重要な点である
- ・再雇用者となってもそれまでの業務を継続しており、今後も現場力安定のためには、継続した役割付与が想定される
3.検討の方法
見直しの際には、各種ガイドラインやチェックシートを参照した。特に外部支援は受けず、自社内で進めた。検討対象は基本給と賞与、住宅手当とした。改定内容としては、基本的には60歳時点の処遇をそのまま引き継ぐ形とした。そのため制度設計自体大きな手間はかかっていない。
なお、人事制度は独自で作成しており、親会社と同期したものではない。そのため改定も独自で進めたが、方針は親会社とも共有した。
4.従来の会社方針
教育訓練や健康診断については、従来から雇用形態を問わず、共通に機会提供してきた。たとえば構内作業のため定期的に安全教育を行っているが、これは正社員も有期雇用労働者も同等に受けている。
退職金については、もともと「前払い退職手当」という名称で、毎月の手当として支給している。定年退職時までにすでに受け取っているという考え方であるため、有期雇用労働者において当該手当は支給していない。
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細
<取組を行った待遇別に取組前と後の状況を確認>
●基本給
<取組前>
時給制で、水準は定年前に比べて下がっていた。
<取組後>
フルタイム有期雇用者は月給制に変更し、定年退職時の金額をそのまま継続するものとした。ただし正社員は昇給があり、有期雇用者は昇給がない。一方、ベースアップの際には、正社員も有期雇用者も同様にベースアップされる。
パートタイムは時給制のままであるが、65歳時点の支給額を割って時給単価にするようにした。
●手当(住宅手当)
<取組前>
住宅手当は一律金額(5,000円)を正社員のみに支払っていた。
<取組後>
同じ金額を、フルタイム有期雇用者にも支払うこととした。パートタイムは支払っていないが、パートタイムの時給計算は、住宅手当を含んだ金額(基準内賃金)で計算しているという理由による。
●賞与
<取組前>
支給対象外であった。
<取組後>
定年退職時の資格要件を引継ぎ、その要件に沿って支給している。なお、賞与金額は評価により若干変動するが、評価の運用も正社員同様にしている。
取組による効果
改定時のアナウンスは好意的に受け止められ、従業員のモチベーション向上に寄与したと考えられる。
以前は定年退職を機に辞めてしまう従業員も多かった。処遇の低下も一因だったと見られる。改定後はほぼ全員が継続雇用をするようになり、現場体制としても安定しやすくなっている。