M社
基本情報
| 業種 | 製造業 |
|---|---|
| 都道府県 | 静岡県 |
| 社員数 | 正社員:約85人
パートタイム労働者・有期雇用フルタイム労働者:約55人 |
| 事業概要 | 豆腐類その他関連商品の製造 |
| 対象 | 有期雇用フルタイム労働者(日本人8名、特定技能等外国人12名) |
取組を行った待遇
| 基本給 | ○ |
|---|---|
| 賞与 | |
| 手当 | ○ |
| 退職金 | |
| 福利厚生 | ○ |
| 休暇・ 休職制度 |
○ |
| 教育訓練 | ○ |
| その他 | ○ |
社員と同等の待遇については、以下の通り
賃金
福利厚生等
取組のポイント・概要
背景
特定技能制度が開始する中で外国人従業員の定着・活躍を考えた際に、同じ役割を担う者同士の処遇同一化の必要性が出てきた。物価高が続く中での安定的な処遇は、経営としても高めていきたい考えがあった。さらに、正社員への登用や無期雇用への転換の道筋づくりも、熟練者に長く働いてもらう上で必要であった。
取組(取組前/後)
| 取組前: | 外国人従業員はフルタイムでも時給制で働いており、生活に関わる手当も限られていた。正社員登用の道筋も見えなかった。 |
| 取組後: | フルタイム有期雇用者は月給制を基本とする処遇とし、家賃補助は外国人従業員含めて対象とした。正社員等への登用・転換ルートも整備した。 |
効果
安定した働き方ができる職場として、定着率が高まった。
外国人採用においても、求人で他社と遜色のない訴求ができるようになっている。
正社員登用者も約10人出ており、キャリアアップへの展望は描きやすくなり、モチベーションアップにもつながっている。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
1.検討のきっかけと整備の視点・ポイント
同社ではかねてから、技能実習生や特定技能ビザで就労する外国人の雇用を続けてきた。その中で、結婚により永住権取得した従業員から、正社員への転換希望があった。当該従業員は熟練スキルを有していたこともあり、経営判断にてその雇用転換を実施することになった。転換後は通常の正社員待遇であり、この過程でキャリアアップ助成金も活用した。これを機に、スキル・能力要件ならびに当人希望に応じて有期雇用から無期雇用への転換、あるいは正社員への登用ルートが見えるように整備した。
外国人従業員に関しては別途、特定技能制度の開始を背景にした処遇検討も行った。技能実習生の場合は時給制であったが、特定技能資格者はフルタイム有期雇用者と同じ役割で仕事を行うため、月給制になるよう制度を整備した。物価高が続く中、生活の安定を保てる処遇にしていきたいという経営の意思も背景の1つである。なお、特定技能2号を取得した段階で、希望者は有期雇用から無期雇用への転換ができることを運用上の原則とした。
2.手当の追加整備
特定技能資格の外国人が増える中、家賃補助の対象拡充も行った。もともと家賃補助は、県外からの就職者に対する手当として設定しており、対象者はごくわずかであった。しかし外国からの就労者も県外からの就職者と同等であることから、家賃補助を適用することを明確にした。外国人採用時に、家賃補助が手厚い他社に人が流れる傾向が見られたことも、整備を加速させた。
3.従来の会社方針
教育訓練(OJT)や健康診断については、もともと正社員・非正規社員・派遣社員を問わず、会社が機会を提供していた。これは現在も継続している。
また、定年後再雇用について、希望者は全員、年齢上限なく働ける仕組みとなっている。最年長者は80歳を超えている。なお、その場合の処遇は、年金受給額を加味して個別に決定している。
4.合理的な違いを前提とした待遇
パートタイム・有期雇用労働者は現場作業が中心であり、正社員は品質管理・ガバナンス・判断や責任なども含めて担うという役割の違いは明確にしている。そのため、賞与や退職金については各々の水準で設定したものを継続している。
またパートタイムは短時間労働者であるため、基本給や賞与は労働時間に応じた処遇で運用している。
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細
<取組を行った待遇別に取組前と後の状況を確認>
●基本給(フルタイム有期雇用者)
<取組前>
日本人の有期雇用者は月給制で正社員同様であったが、技能実習生は時給制での雇用であった。
なお、定年退職後の再雇用者については、年金額も踏まえた金額としている(再雇用の年齢上限は設けていない)。
<取組後>
フルタイムの有期雇用者については、正社員と同様の月給制・昇給制となった。
再雇用者は従来同様である。
●手当(家賃補助)
<取組前>
県外移転者に対する手当として設定され、ごく少数が対象であった。
<取組後>
雇用形態や生活実態を踏まえた手当として再整備し、要件に該当する場合は雇用区分を問わず支給対象となった。
●その他:転換ルールの整備
<取組前>
- ・転換方法は曖昧で、転換者も出ていなかった
<取組後>
- ・無期雇用転換ならびに正社員登用について、当人の希望・評価をベースに、工場長の意見も加味して経営判断するという過程を整備した。
- ・特定技能資格の2号になった時点で、希望者は有期雇用から無期雇用に転換できることを原則とした。
取組による効果
同社は商品特性上、夏場が繁忙期で冬場が閑散期という特性がある。従来は繁忙期に残業が多くなるため、繁忙期後に退職者が多く、多い時で年間社員の25%も離職者が出たこともあった。月給制や家賃補助といった生活の安定につながる処遇や、現場の良好なコミュニケーションがあいまって、現在は、定着率が高まっている。
また、正社員へ転換した人は、2年ほどの間で約10人にのぼる(日本人・外国人両方含む)。有期雇用から無期雇用、そして正社員への転換事例が複数出ていることで、キャリアの展望は描きやすくなっている。