リゾーツ琉球株式会社
採用難に対応する短時間契約社員制度のトライアルと定着効果
企業概要
| 会社設立年 | 1990年 |
|---|---|
| 本社所在地 | 沖縄県豊見城市字瀬長174番地5 |
| 業種 | 宿泊業、飲食サービス業 |
| 事業内容 | ホテル・商業施設・店舗の運営 |
| 資本金 | 1億円 |
| 売上高 | 75億円(2025年3月期) |
| 社員数 | 521名(2025年10月時点) |
| 事業所数 |
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制度の概要
<働きやすい環境整備を目指すため短時間契約社員制度をトライアル導入>
- ■短時間契約社員制度は、2025年10月から試行的に開始した取り組みである。ホテルのハウスキーパーの採用が難しくなる中、扶養内で働きたい人や子育て中の社員、家族の介護中の社員などが無理なく働ける環境を整えることを目的として導入した。現在はトライアルとして契約社員制度の形を採っているが、将来的には短時間正社員制度へ移行する予定となっている。
- ■対象者は現在2名で、いずれもFC琉球(プロサッカークラブ)の選手である。スポーツ選手は競技活動上、勤務時間に制約があり就労先の確保が難しいため、チームと選手への支援も兼ねて2025年2月より先行採用した。
- ■ホテル業務ではチェックアウトの10時からチェックインの15時までの約5時間にハウスキーピングが集中するため、短時間勤務と非常に相性が良い。このため、子育てや介護などで長時間勤務が難しい社員や、高齢のためフルタイム勤務が負担となる社員でも働きやすく、短時間契約社員・短時間正社員として活躍できる余地が大きくなっている。
<“使われる制度”をつくるための検討体制>
- ■短時間契約社員制度の検討は、同社の経営支援部(総務・人事を担う管理部門)が中心となって進めた。まず、部内で制度の必要性や方向性について議論を行い、そのうえで社員へのエンゲージメント調査を実施し、働き方に関するニーズを把握した。さらに、自社に適した制度像を探るため、短時間正社員制度を導入している他社の事例も収集し、検討材料とした。
- ■こうした議論や調査の結果を踏まえて、制度の方向性を経営会議に諮り、承認を得た。その後、経営支援部内で具体的な制度設計や運用方法の検討を進め、総務課・人事課を含む多様な立場の社員が意見を出し合ったことで、現場で使いやすい制度へと仕上げていった。
<正社員転換の二つのパターンとその背景>
- ■非正規社員から正社員へ転換するケースは、本人の希望によるものと、上長の声かけをきっかけとするものの二つに分かれる。実績としては、上長の働きかけによる転換が多い。本人希望のケースは、アルバイトから新卒採用を目指す学生に多く見られる。一方、上長の声かけによる転換は新卒ではない社員が中心で、子育て中の社員が含まれるなど、ライフステージに応じた働き方の見直しが背景にある。
| 正社員(総合職、調理専門職) (229名) |
短時間契約社員 (2名) |
契約社員、パートナー社員 (276名) |
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|---|---|---|---|
| 職務内容等 | ホテル業務全般、調理、事務職、マーケティング等 | 所属部署業務 | |
| 転勤の有無 | 転居を伴う転勤の可能性がある | なし | |
| 労働時間 | 40時間/週 | 30~40時間以下/週 | 40時間以下/週 |
| 雇用期間の定め | 無期雇用 | 有期雇用(1年以内) |
有期雇用(契約社員) 無期雇用(パートナー社員) |
| 賃金 |
基本給:役職等、能力に応じて支給 賞与:業績と半年ごとの人事考課の結果による 手当:等級手当・役職手当・通勤手当・地域手当・住宅手当・家族手当 |
基本給:能力に応じて支給(正社員への支給額を基準に、概ね労働時間で按分した額を支給) 賞与:業績と半年ごとの人事考課の結果による(正社員への支給額を基準に、概ね労働時間で按分した額を支給) 手当:正社員と同じ |
【パートナー社員】 基本給:時給 賞与:出勤率・人事考課制度による 手当:通勤手当・役付手当 |
| 昇進、昇格 | 上限はない | - | - |
| 教育訓練 | 等級階層別研修、次世代育成研修、上級役職者向け研修、新卒社員研修 | OJT中心(今後は正社員と同様に実施することを予定) | なし |
制度導入のきっかけ・背景
- ■人材の採用強化、社員の希望に添った働き方による離職率低下、そしてスポーツ選手の支援という三つの目的を実現するために導入した。沖縄県内の観光業では人手不足が深刻化し、特にハウスキーパーの採用が難しい状況にある。外注に頼る企業も多いなか、自社では可能な限り内製化を進めたいとの考えから、短時間で働きたい人や子育て・介護の事情を抱える人も働きやすいよう、短時間勤務の仕組みを整備した。沖縄県内では子育て世帯が多く短時間就労ニーズも高いため、働く側の実情にも合致した制度といえる。
- ■また、正社員や契約社員からも短時間勤務を望む声があり、社員によって希望する勤務時間が異なることから、柔軟に働ける制度の必要性があった。さらに、制度検討の時期にFC琉球の選手が求職中であることを知り、チームや選手の支援を目的として2025年2月に採用した。
制度導入による効果
- ■新型コロナウイルス流行期には、離職率が約3割と高水準であったため、福利厚生や人材育成など、社員が定着するための仕組みを複数整備した。その結果、2025年は新卒採用で17名を採用し、離職率は約16%まで低下した。離職率は宿泊業界平均で約40%といわれており、多様な働き方をはじめとした、働きやすい環境や制度の整備により、採用力向上と離職率低下を実現できていると考えている。
- ■沖縄県の宿泊・観光業では先んじて取り組んだことで、採用や離職防止に効果が現れていると考えられる。一時的な運用ではなく、継続的に運用できる制度となるよう検討を進めてきた結果である。
工夫点
- ■社員に制度を周知するため、社内の人事システムや書類回付を通じて情報提供を行っている。
今後の展望・課題
- ■2026年4月から、固定残業をなくし、実際に残業した時間に合わせて支払うことを検討している。残業時間の削減と処遇の向上を実現するためには、生産性の向上が不可欠である。
- ■今後は、働きやすい制度整備を通じて採用力を強化し、社員数を増やしたいと考えている。現状の年間休日は108日であるが、社員数の増加により年間休日数を増やし、2026年4月に週休3~4日制の導入を検討している。正社員が増えることでシフト調整が可能となり、休日も増加すると見込んでいる。
その他の制度
<シニアの活躍>
- ■自社では、60歳定年後の社員は70歳まで嘱託社員として勤務可能である。年金に加えて収入を確保したいシニア層が一定数存在するため、嘱託社員として勤務するニーズがある。嘱託社員は若手社員の育成も担っている。
- ■60歳以上の社員は、正社員・非正規社員を合わせて約30名である。部長職にも60歳以上の社員が在籍しており、若手社員の育成をミッションとしている。