株式会社ルミネ
短時間勤務制度で育休復職率9割超え、管理職のロールモデルも創出
トップ主導 × 社員参加で実現した「使われる制度づくり」
企業概要
| 会社設立年 | 1966年 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都渋谷区代々木2丁目2-2JR東日本本社ビル10F |
| 業種 | 不動産業、物品賃貸業 |
| 事業内容 | ショッピングセンターの管理及び運営/不動産の賃貸業/インターネット等による通信販売業他 |
| 資本金 | 23億7,520万円 |
| 売上高 | SC事業:3,822億円/EC事業:68億円(2024年度) |
| 社員数 | 796名(2025年4月1日時点)
※他社からの出向者等を含む |
| 事業所数 | 19(本社及び国内商業施設16店舗、海外の商業施設2店舗) |
制度の概要
<育児・介護・治療・復職など、多様な事情に対応。全社員が利用できる制度設計>
- ■短時間勤務制度については、対象者の要件に該当すれば基本的に全社員が利用できる制度として運用している。制度自体は雇用区分にかかわらず利用可能である。
- ■制度の対象者は就業規則に基づき、以下のとおりである。社員の事情に応じて柔軟に制度を活用できる仕組みを整えており、段階的に勤務時間を調整しながら働ける環境づくりを進めている。
- ・妊娠中であって、妊娠により就業が著しく困難である社員
- ・中学校3年生の年度末までの子を養育している社員
- ・要介護状態にある家族を介護する社員
- ・不妊治療中であって、就業が困難である社員
- ・その他、会社が認めた社員(例:障がい者雇用者の段階的な勤務時間調整、病気休職からの復職時に短時間から開始するケース等)
- ■育児や介護などにより生活が大きく変化する時期には、短時間勤務で復職し、状況が落ち着いてきた段階で勤務時間を元に戻すケースがある。また、疾病等による復職支援の場合には、医師の判断も踏まえながら勤務時間を段階的に増やすなどの調整を行っている。このように、本人の状況に応じて柔軟な働き方を選択できる点が制度の特徴である。
<勤務時間を1か月ごとに柔軟に変更できる運用>
- ■対象者については、先に示した条件(例:育児の場合は子が中学三年生まで等)に該当していれば利用でき、利用期間に上限は設けていない。
- ■利用手続きとしては、対象者本人がワークフロー上で申請し、上長および人財戦略部の承認を経て利用開始となる。勤務時間区分の変更については、原則として1か月単位で変更可能である。たとえば、変更したいタイミングの前月に変更届を提出すれば、翌月から新しい勤務時間へ切り替えることができる。
- ■利用者が自身の状況に応じて計画的に勤務時間を調整できる仕組みとなっている。
| 正社員(総合職、特定職)
※契約社員・嘱託社員・出向者除く (647名) |
||
|---|---|---|
| 短時間勤務制度利用者
(79名) |
||
| 職務内容等 |
【営業職】
|
|
| 転勤の有無 | 転居を伴う転勤の可能性がある | |
| 労働時間 | 所定労働時間7.5時間/日 | 4時間・5時間・6時間・7時間/日より選択 |
| 雇用期間の定め | 無し | |
| 賃金 |
|
|
| 昇進、昇格 | 上限なし | |
| 教育訓練 | 階層別研修などを実施 | |
制度導入のきっかけ・背景
- ■2003年に正規社員の一括採用を開始し、2003年入社の社員が結婚・出産期を迎えたことを契機として、2013年ダイバーシティ推進を経営ミッションに位置づけた。これを受け、「多様な働き方の実現」を目的とした社長直轄プロジェクト「きらきらルミネ」が発足した。女性社員が多く、顧客も女性中心である事業特性から、制度設計には実際に働く社員が参加し、現場の声を等身大で制度に反映した。
- ■プロジェクトでは、短時間勤務制度、ジョブリターン制度(復職制度)、時間単位の休暇制度など複数の両立支援制度を整備した。2013年度に検討を開始し、2014年に制度として規定化。さらに2021年には勤務時間の選択肢(7時間勤務区分など)も拡大した。一般的には人事制度の検討・設計は人事部が主導することが多いが、同社では社長直轄プロジェクトで制度設計を主導した点に特徴がある。
- ■プロジェクトは制度を作ることが最終目的ではなく、制度が活用される環境づくりまでを目指した。育児中社員同士の交流会の開催や、取引先企業との意見交換などを通じ、制度の利用を促進する取組を重ね、2013〜2018年度までの5年間にわたり継続した。プロジェクト終了後も「多様な働き方の実現」の目的は継承され、現在は人事部が社員の声を反映しながら制度改善を続けている。育児中社員の交流会や社員の声を拾い上げる「社長アンケート」で寄せられた意見の検討には経営層も参加し、社員の意見を直接把握する仕組みが維持されている。経営トップが常に多様な働き方に理解が深く、外部フォーラムでの発信や男性育休に関する政府視察の受入れなど、社外への発信も継続している。
制度導入による効果
- ■短時間勤務制度導入による効果として、まず育休復職率が96.4%に達していることが挙げられる。復職しなかった事例は、配偶者の転勤に伴い退職せざるを得なかったケースのみであり、制度導入以降、基本的に育休取得者はほぼ全員が復職している。
- ■また、短時間勤務制度を利用しながら活躍する社員が管理職として登用されている点も大きな成果である。女性管理職比率は2025年直近9月時点で37.4%に達しており、そのうち短時間勤務の管理職が8名在籍している。
- ■これにより、短時間勤務者でも管理職として活躍できるというロールモデルが形成され、育児とキャリアを両立した働き方が具体的に示されている。とくに同社では、30〜40代前半が出産・育児と管理職登用のタイミングと重なることが多く、短時間勤務の管理職の存在は、若手社員層にとって重要なロールモデルとなっている。
工夫点
<両立支援ガイドの作成と周知>
- ■制度の利用を促進するため、社内では「両立支援ガイド」を作成し、制度の利用方法や考え方をまとめてポータルサイトに掲載している。育児・介護に関する内容について、男性の育児参加の観点も含めて充実を図るとともに、不妊治療に関する内容も追加し、公開予定である。
<社員のニーズに合わせた勤務時間区分の追加>
- ■勤務時間を伸ばしたいという社員からの要望に応え、当初の短時間勤務制度にはなかった「7時間勤務」を新設した。また、勤務区分の中には本来休憩が必要となる時間数が設計されていたが、社員の声を踏まえ、勤務時間が6時間以内であれば休憩を取らずに勤務できる選択肢も追加した。
今後の展望・課題
- ■短時間勤務の管理職を増やすことよりも、「登用されるべき人材が適正に登用されること」を重視している。短時間勤務の管理職にだけではなく、フルタイムで残業をせずに管理職として働ける環境も整えることが望ましいと考えている。管理職=長時間労働というイメージを払拭し制約がある人でも活躍できる仕組みをつくることが重要である。
- ■また、短時間勤務者をフォローする側との役割分担には課題が残る。とりわけ商業施設という事業特性上、遅番勤務や土日勤務が求められる場面があるが、短時間勤務者がそれらに従事できない場合、ほかの社員に負荷が集中する。このため、「各商業施設業務の最適化」「やるべき業務の選択と見直し」を進めており、本社にもプロジェクトメンバーを配置して全社的に取り組んでいる。この改善活動は、短時間勤務者へのフォロー負担を軽減することだけが目的ではなく、事業推進にとって最適な業務設計とは何かを見直すことが目的である。多様な働き方を前提とした体制構築を進めている。