株式会社千葉興業銀行
段階的な行員登用と多様な働き方を両立する「アソシエイト行員制度」
企業概要
| 会社設立年 | 1952年 |
|---|---|
| 本社所在地 | 千葉県千葉市美浜区幸町2丁目1番2号 |
| 業種 | 金融業 |
| 事業内容 | 預金業務・貸出業務・商品有価証券売買業務・有価証券投資業務・国内為替業務・外国為替業務・社債受託および登録・付随業務 |
| 資本金 | 621億2,053万円 |
| 売上高
(経常収益) |
486億4500万円(2024年度) |
| 行員数 | 1,245名(2025年3月時点) |
| 事業所数 | 80店舗(千葉県内72店、東京都内2店、出張所6か所、ローンプラザ2か所(2025年3月31日現在)) |
制度の概要
<多様な働き方を尊重し、段階的なキャリアアップを可能にするアソシエイト行員制度>
- ■アソシエイト行員は、勤務地および職務を限定した行員である。主に営業店において検証業務を中心に従事しており、一部には営業渉外業務を担う行員もいる。多くは期間雇用者からの転換者で、子育て等が一段落し、さらなる活躍やステップアップを志向する人材が多い。現在26名が在籍し、全員が女性である。
- ■期間雇用者は、営業店業務および本部業務に従事する有期雇用の職員であり、営業店の主戦力として長期的な活躍が期待されている。勤務時間に応じてロング・ミドル・ショートに区分され、スキルの向上に伴いリーダースタッフ、アソシエイト行員、正行員へと段階的なキャリアアップが可能な制度となっている。
<行員の声を踏まえた制度設計のプロセス>
- ■アソシエイト行員制度の導入にあたっては、導入の約1年前から、行員転換における課題や転換の壁を低くするために実施可能な施策、営業店に求められる人材像などについて、行員の意見を丁寧に収集し、制度の在り方を検討した。
- ■また、人事部が営業店や本部を巡回し、行員や期間雇用者と定期的に面談を実施してきた。こうした面談を通じて、期間雇用者の中に、より多く働きたいと考える人材が一定数存在することも把握した。これらの面談は制度導入時に限らず、行員および期間雇用者の声を継続的に把握するため、現在も実施している。
<アソシエイト行員への転換要件と手続>
- ■期間雇用者からアソシエイト行員への転換は、1月下旬に全従業員へ通知し、2月中旬まで申請を受け付ける。その後、2月下旬から3月上旬に書類選考および面接を行い、3月下旬に合否を通知し、4月初旬に転換する。
- ■アソシエイト行員への転換には、業務の習得および所属長(支店長)の推薦を要件とし、人事部による面談を経て合否を決定する。
<正行員への転換要件と手続>
- ■正行員への転換は、業務の習得と所属長(支店長)の推薦に加え、証券外務員や生命保険の資格取得を要件とし、人事部の面接を経て合否が決定される。アソシエイト行員および期間雇用者のいずれからも転換は可能であるが、期間雇用者の場合はリーダースタッフの経験が必要となる。
| 正行員(1,256名) | アソシエイト行員(26名) | 期間雇用者(564名) | |
|---|---|---|---|
| 職務内容等 | 法人・個人向けコンサルティング業務、営業店業務、本部業務等 | 営業店業務 | 営業店業務、本部業務 |
| 転勤の有無 | 転居を伴う転勤有 | 転居を伴う転勤なし | |
| 労働時間 | 所定労働時間:7時間25分/日 | リーダー、ロング:7時間/日、週5日勤務
ミドル:週4日勤務 ショート:週3日程度の勤務 |
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| 雇用期間の定め | 無期雇用 | 有期雇用(無期転換あり) | |
| 賃金 |
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| 昇進、昇格 | 上限なし | 上限は課長代理相当まで | 昇進、昇格は想定していない |
| 教育訓練 | 制限なし | ||
制度導入のきっかけ・背景
- ■アソシエイト行員制度は、2017年4月に導入された。有期契約労働者に対する無期転換ルールの整備を背景に、スタッフの活躍促進およびステップアップを目的として設けられた制度である。
- ■当時、期間雇用者の中には、「より多く働きたいものの、正行員となるための資格取得の負担が大きい」「金融商品の販売・営業まで業務範囲が広がることは避けて、引き続き店舗運営の中核を担いたい」といったニーズがあった。一方で、正行員への転換には証券外務員などの資格取得が必要であり、ハードルの高さから転換を断念する者も少なくなかった。こうした状況を踏まえ、資格取得を不要とし、職務および勤務地を限定した雇用区分としてアソシエイト行員制度が位置づけられた。
制度導入による効果
- ■制度導入による効果として、従業員の定着意識が高まったことが挙げられる。中期経営計画において「エンゲージメントの向上」を掲げており、エンゲージメントの向上は実際に効果として感じられている。
- ■期間雇用者の中には、過去に銀行での勤務経験を有する者や、金融業界での実務経験を持つ優秀な人材が非常に多い一方で、その能力を十分に活かしきれていない状況があった。転換制度を整備したことで、こうした人材の活躍につながっており、優秀な人材が能力をいかんなく発揮できる環境を構築することができた。
工夫点
<人事部・所属長による制度利用促進に向けた声掛け>
- ■制度の利用については、社内通達により周知している。加えて、本人の能力を踏まえて正行員・アソシエイト行員への転換を促したい対象者に対しては、人事部から所属長を通じて声かけを行うほか、人事部が店舗を訪問する際に、直接対象者へ声かけを行っている。
<制度周知とメリット訴求の強化>
- ■アソシエイト行員制度の導入時には、社内報への掲載や、金融業界の専門誌である『ニッキン』での紹介を通じて、社内外へのアピールを行った。
- ■期間雇用者は自宅近隣で勤務するケースが多く、通勤時間の増加を避けるため、アソシエイト行員への転換を敬遠する者もいる。一方で、「アソシエイト行員に転換したことで月給制となり、身分保障が強化されてよかった」との声も聞かれる。こうしたメリットを期間雇用者にどのように伝えていくかが課題である。
今後の展望・課題
- ■今後は、短時間正行員制度の導入を検討したい。これまでも子育て中の行員に対しては、勤務地への配慮などを行い、給与を減らすことなく働き続けられるよう工夫してきた。その結果、短時間勤務を利用する行員が少ないことが強みであった。しかし近年では、個別の事情から短時間勤務を活用する行員も一定数存在している。こうした行員の多様な働き方に対応する制度の整備を検討したい。