株式会社物語コーポレーション

勤務エリア希望制度や勤務地限定制度が採用強化と正社員登用を後押し

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企業概要

会社設立年 1969年(創業:1949年)
本社所在地 愛知県豊橋市西岩田5-7-11
業種 飲食サービス業
事業内容 外食事業の運営及びフランチャイズチェーン展開
資本金 59億円
売上高 1,239億円(2025年6月期)
※グループ店舗売上高 1,765億円
社員数 正社員:単体1,820名/連結2,069名(2025年6月30日時点)
非正規社員(国内時間制従業員):約29,800名
事業所数 国内:7事業所、751店舗(直営499店舗/FC252店舗)
海外:59店舗

PDFデータ

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制度の概要

<myエリア制度で、希望エリアでの勤務が可能に。リージョナル社員は勤務地・勤務時間を限定可能>

  • ■同社での正社員の雇用区分は以下のとおり。また、非正規社員としてパートナーが存在する。
    • ・ナショナル社員
    • ・リージョナル社員(地域限定・転居を伴う転勤あり)
    • ・リージョナル社員(地域限定・転居を伴う転勤なし)
    • ・リージョナル社員(時間帯限定)
    • ・リージョナル社員(時短勤務)
  • ■ナショナル社員は、転勤の範囲や働く時間帯等に制限のない雇用区分である。転勤の範囲や勤務時間が限定された雇用区分がリージョナル社員である。
  • ■ナショナル社員のうち、結婚している者、介護している者はmyエリア制度を利用できる。利用可能期間に制限はない。
  • ■リージョナル社員(地域限定、転居を伴う転勤なし)、リージョナル社員(時間帯限定)、リージョナル社員(時短勤務)は、大まかに一つの区分として扱っている。制度設計として、「地域限定(転居あり)」「地域限定(転居なし)」「時間帯限定」「時短勤務」の順にだんだんと制限が増えていくイメージである。
  • ■いずれの区分であっても「店舗の運営や本社業務」に従事する。区分による職務内容の差はない。
  • ■① ナショナル社員
    • ・転勤の範囲や働く時間帯に制限が無い方を対象とした雇用区分である。
  • ■② ナショナル社員(myエリア制度利用者)
    • ・myエリア制度とは、全国を8つのエリア(北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州)に区分して、エリアに関する本人の希望に沿って配属する仕組みである。
    • ・myエリア制度を利用する権利を持つ社員は約450名、そのうち約300名がmyエリアを申請している。そのうち246名が申請したエリアで働いている。(2025年8月時点)
    • ・myエリア制度の利用手続きは、ワークフローを申請し、人事部門から承認を受けることで完了する。現在勤務するエリアと別のエリアをmyエリアとして申請する場合を含め、上司や人事部門との調整は不要である。
  • ■③ リージョナル社員(地域限定、転居を伴う転勤あり)
    • ・勤務するエリアを選択できる制度であり、結婚や介護といった事情は無いが、特定のエリアで働きたいというニーズを持つ者が対象となる。myエリア制度と同様、8つのエリアから希望するエリアを選択できる。エリア内では転居を伴う転勤がある。
    • ・新卒での入社時にこの区分を選ぶ新卒社員が一定数いる。また、パートナー(アルバイト)として働いていた者が正社員として入社する際にこの区分を選ぶケースも増えている。正社員になる際に、環境を大きく変えることに抵抗を感じる者が多いなかで、これまでと同じエリア内で働きたいという方にニーズがある。
    • ・ナショナル社員からリージョナル社員への転換は、上司との調整や承認は不要である。その場合、処遇条件が下がる代わりにリージョナル社員に転換することとなるため、申請を受けてから迅速な配属決定が求められる。リージョナル社員への転換の申請を受けたら、上司やブロック長、営業担当などが勤務地の調整等に迅速に対応している。
  • ■④-1 リージョナル社員(地域限定、転居を伴う転勤なし)
    • ・転居を伴う転勤はなく、自宅から通勤可能な範囲で勤務する。
  • ■④-2 リージョナル社員(時間帯限定)
    • ・勤務時間帯を限定した雇用区分である。所定労働時間は他の区分と同様に月間168時間のまま、特定の時間帯に限定して勤務できる。
    • ・制度として勤務時間帯を固定しているわけではないが、家庭の事情で夜間を除いた時間に勤務をする社員が多い。
  • ■④-3 リージョナル社員(時短勤務)
    • ・家庭の事情等により、短時間での勤務を希望する者が活用している。
    • ・所定労働時間は、85~168時間/月の間で設定している。本人の希望勤務時間に基づき店舗側で稼働時間や配置可能なポジションを検討し、双方合意のうえで決定される。所定労働時間は四半期または半期ごとに見直しを行っている。
  • ■⑤ パートナー
    • ・パートナーには、外国人留学生も多い。特に日本語学校が近隣にある店舗では、留学生がパートナーとして勤務するケースが多く見られる。
    • ・パートナーが正社員に転換する際、転換先の区分に制限はない。採用試験に合格すればどの区分にも転換可能である。リージョナル社員として地域限定での入社を選択する社員が多いが、例えば子育てが落ち着いたためパートナーからナショナル社員へ転換するケースなどもある。
    • ・パートナーから正社員に転換する際には、本人が希望を示し、エリアマネージャーや選考担当者から推薦を受けた上で、一般的な採用フローに沿って面接を実施する。
①ナショナル社員(1,437名) ③リージョナル社員(地域限定、転居を伴う転勤あり)
(48名)
④リージョナル社員
  • ・地域限定(転居を伴う転勤なし)
  • ・時間帯限定
  • ・時短
(73名)
⑤パートナー
(非正規社員)
(約29,800名)
②ナショナル社員
(myエリア制度利用)
(246名)
職務内容等 店舗の運営や本社業務(※本社業務は豊橋および東京オフィスのみ)
転勤の有無 全国を範囲として、転居を伴う転勤あり 選択したエリア内で、転居を伴う転勤あり 転居を伴わない転勤あり 無し
労働時間 月間168時間・シフト制 月間168時間・シフト制
または時短(月間85~168時間)
シフト制
雇用期間の定め 無し あり
賃金 月給、役職手当、各種手当、賞与を支給 月給、役職手当、各種手当、賞与を支給
※賞与は、同じ等級のナショナル社員への支給額に、支給係数50%を乗じた金額を支給
月給、役職手当、各種手当、賞与を支給※時短社員のみ月給は労働時間に按分して支給
※賞与は、同じ等級のナショナル社員への支給額に、以下の支給係数を乗じた金額を支給。
地域限定社員(転居を伴う転勤なし):40%
時間帯限定社員:35%
時短社員:25%
基本時給、役職手当を支給
※リーダー以上の役職者には賞与支給
昇進、昇格 上限なし リーダー、副店長、店長等への昇進が可能
教育訓練 役職に応じた研修を実施 無し

制度導入のきっかけ・背景

【リージョナル社員制度】

  • ■2021年以前は「地域限定かつ時短」の雇用管理区分を設けており、勤務地を限定すると同時に時短社員となる制度設計(時短かつ地域限定)であった。また、当該区分を選択した者は、ナショナル社員と比べて月額給与を0.85倍にする運用を行っていた。「従業員の能力は変わらないのに勤務時間が短くなるだけで給与が減るのは不合理ではないか」という意見があり、2021年に「リージョナル社員」を制度として設け、「地域限定」、「時間帯限定」、「時短」を選択できる制度とした。
  • ■地域限定、時間帯限定、時短の場合であっても、月給はナショナル社員と同じ額として、パフォーマンスに応じて支給される賞与の支給係数を変える仕組みとした。

【myエリア制度】

  • ■myエリア制度は2023年に導入された。導入の経緯としては、コロナ禍を契機に求職者のニーズとして「働く場所」を重視する傾向が2022年頃から強まったことが挙げられる。また、店舗数が拡大したことで、現在運用している8エリア内での人事異動であれば、myエリア申請者の希望を叶える組織運営が可能であることがシミュレーションから把握できた。そのため、求職者のニーズと会社の成長を叶えるため、2023年から制度を導入した。
  • ■実際の運用においても、各エリアの店舗数に比べて特定のエリアを希望する社員が偏るなどの大きな問題は生じていない。

制度導入による効果

  • ■リージョナル社員やmyエリア制度は、採用に大きな効果を発揮しており、これらの制度によって求職者が自社に関心を寄せてくれることも多い。社員の離職に関しては、「この制度があるために退職を免れた」という具体的な事例を把握しているわけではないが、「制度がないために退職せざるを得ない」というケースは防げていると考えられる。
  • ■パートナーから正社員への転換にも、リージョナル社員やmyエリア制度は有効に機能している。従来は、正社員への転換は全国転勤の可能性がある働き方に転換することを意味していたが、リージョナル社員やmyエリア制度の活用により、一定の地域に限定して従来の業務を継続できる点が社員にとって負担軽減につながっている。

工夫点

【正社員転換への制度活用】

  • ■パートナーから正社員への転換を促すために、リージョナル社員やmyエリア制度をパートナーに周知している。具体的には、パートナーを本社に招き会社説明や入社後のキャリアイメージを持ってもらうための説明会を実施している。また、事業部主導でエリアマネージャーが希望者を募り、説明会を開催する取組も多く行われている。

【myエリア制度の利用促進】

  • ■myエリア制度の対象者(結婚や介護をしている社員)による制度利用を促すため、人事異動を決定する立場の管理者に対する制度説明、理解促進を重視している。
  • ■myエリア制度の利用希望を出している社員のうち、現状では希望実現率が約80%である。希望実現率を高めるために、毎月、myエリアの希望を出しているものの実現していない社員をリスト化し、本社人事部から各事業部に送付している。さらに半年に1回、「業態間移動してでも希望するエリアで働きたい」と希望しているにもかかわらず、対応できていない社員について本社の人事部で確認を行う。本人も納得しているのであれば現状維持とするが、そうでない場合は人事異動や業態転換を含めて、本人・事業部・人事部で解決策を検討している。
    • ・myエリアの希望実現率が約80%に留まる理由は、店舗の業態が関係している。同社では、焼肉、和食、ラーメンなど様々な業態の店舗を運営している。myエリア制度を希望した場合、現在従事する業態の店が、希望する地域に出店がない場合がある。そのため、本人が勤務地と業態をどの程度重視しているかを確認する目的で、「業態間異動してでも希望勤務地で働きたいか」という質問をしている。myエリア制度で希望を出しているものの、希望が叶っていない社員のなかには「業態間異動するのであれば、希望勤務地でなくてもよい」と考える社員もいる。myエリア制度やリージョナル社員を利用する場合は、通常よりも業態間異動が発生するケースが多くなる傾向がある。

【リージョナル社員の活躍促進】

  • ■リージョナル社員のうち、時間帯限定や時短勤務の社員が店長に就くことはハードルが高いという印象がある。ワークライフバランスの観点から「育児をしながら店長を務められる環境」を整備していく必要があると認識している。
  • ■育児をしながら店長を務める社員の事例を社内で周知することで、今後もさらに成功事例を積み重ねていきたい。具体的には、女性活躍に関する研修や交流の場で、育児と店長職を両立している社員に自身の経験を共有してもらったり、そうした社員自身が社内のオンライン掲示板で育児と店長職の両立体験を共有したりしている。

今後の展望・課題

  • ■現在、エリアは8つに区分されている。今後、店舗数がさらに増加し、人事異動の組み合わせが柔軟に組めるようになれば、さらにエリアを細分化して自宅から近い場所で勤務できるような運用を実現したい。
  • ■多様な人材の活躍を今後さらに進めていきたい。例えば女性社員については、育休からの復職時にシステムや業務手順を忘れているといった課題があったため、「復職トレーニング」を導入した。外国籍社員については、日本語の読み書き能力が十分でないために一部業務を担えず、昇格が遅れる傾向があることが明らかになった。これに対応するため、日本語学習アプリの開発・提供や、日本語研修の強化など、語学力向上に関する施策を会社として推進している。