株式会社カナデン

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企業概要

会社設立年 1912年
本社所在地 東京都中央区晴海1-8-12トリトンスクエアZ棟
業種 卸売業・小売業
事業内容 各種電気機械器具販売
資本金 55億円
売上高 1,162億7,100万円(2024年3月 連結)
従業員数 716名(2024年12月時点)
従業員構成
  • ・正社員(652名)
    • - マネジメント人材(管理職)(125名)
    • - エキスパート人材(369名)
    • - アドバンス人材(158名)
  • ・非正社員(64名)
    • - 契約社員(23名)
    • - 嘱託(6名)
    • - 嘱託社員(26名)
    • - パート社員(9名)
事業所数 全国6エリア・17か所

PDFデータ

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制度の概要

<異動の範囲が転居を伴わない範囲に限定される「エリア限定社員制度」(勤務地限定正社員)>

  • ・異動の範囲を制度適用時点における勤務エリア内に限定することができる。
  • ・対象者は、「管理職未満の全正社員」である。
  • ・制度適用のための事由は問わない。
  • ・管理職未満の全正社員について、1年に1回、3月に、「エリア限定社員」・「非エリア限定社員」いずれの区分を希望するか確認している。その際、「エリア限定社員」を選択すると、同年4月から、選択した時点における勤務エリア内に異動の範囲が限定される。
  • ・新規採用者については、採用時に、「エリア限定社員」・「非エリア限定社員」いずれの区分を希望するかを確認し、適用される。その後は、上記のように1年ごとに希望を確認される。
  • ・制度は最大2回まで利用することができる(制度を継続利用する場合、育児事由や介護事由、その他本人の傷病等を事由として制度を利用する場合は、利用回数として数えない。)

社員体系

非エリア限定社員
(391名)
※管理職125名含む
エリア限定社員
(261名)
職務内容等
  • ・営業・営業事務・技術・管理事務等に従事
  • ・非エリア限定社員と同じ
転勤の有無
  • ・転居を伴う転勤の可能性がある
  • ・転居を伴う転勤の可能性がない
労働時間
  • ・フルタイム勤務(7時間50分/日)
  • ・非エリア限定社員と同じ
雇用期間の定め
  • ・無期雇用
  • ・無期雇用
賃金
  • ・基本給:期待役割に基づく等級に応じて支給
  • ・賞与:期待役割に基づく組織成果目標、個人成果目標の達成度合いに応じて支給
  • ・手当:
    • ・勤務地に応じてエリア勤務手当を全社員に支給(都市の物価に合わせて係数をかけて支給額を設定)
    • ・転居採用手当を支給(入社時に転居が必要な場合)
    • ・転勤が生じた場合の手当:
      • ・転勤手当(実際に転勤したことに対する手当。転勤期間中及び帰任後3年間に渡り毎月支給)
      • ・別居手当(単身赴任となった場合、赴任先の生活費の補助のために転勤期間中に毎月支給)
      • ・帰宅手当(単身赴任となった場合、赴任先から自宅に帰宅するための交通費を四半期毎に3往復分を実費支給)
      • ・支度料(住居契約費用、引っ越し費用、新生活準備金を転勤時に支給)
  • ・基本給:非エリア限定社員と同じ
  • ・賞与:非エリア限定社員と同じ
  • ・手当:転勤が生じた場合の手当を除き、非エリア限定社員と同じ
昇進、昇格
  • ・上限はない
  • ・上限がある(管理職未満まで)
  • ・人事評価の基準は非エリア限定社員と同じ。
教育訓練
  • ・期待役割に基づく等級に応じた階層別の研修を実施
  • ・非エリア限定社員と同じ

制度導入のきっかけ・背景

  • ■時流や法改正、労働者のニーズ等に合わせて人事制度の改定を行ってきたが、部分的な改定や運用の実態が伴わないこと等を理由に、人事制度全体の整合が取りづらくなっていた。
  • ■2021年よりスタートした中期経営計画「Electronics Solutions・Company 2025」において、競争力の源泉は「人材」であり、全ての取組の土台となるという考えのもと、新人事制度プロジェクトを始動した。新しい人事制度においては、多様な個々人の価値観に合わせて自ら選択できる制度にすることを最も重要視した。
  • ■また、若年層の育成が重要である中、若年層の採用において、転勤を前提とすることで採用競争力が低下していると感じていた。転勤がないことを条件として求人を探す求職者も多く、転勤を前提とすることで自社が就職先の候補とならないことを懸念した。
  • ■上記を踏まえ、 2024年4月に、 「エリア限定社員」制度を導入した。

制度導入による効果

  • ・2025年卒の新卒採用者の応募数は増えており、かつ、内定承諾率も例年に比べて高い結果となった。
    そのうち半数は「エリア限定社員」を希望している。
  • ・また、2024年の離職者は例年と比較して減少している。2024年は人事制度全体を改定したこともあり、「エリア限定社員」の導入が直接的な原因か否かは定かではないが、転職を考えがちな若年層において、転勤を嫌がる社員に効果があったのではないかと推察している。
  • ・なお、制度の導入時、管理職未満の全正社員に、制度利用の希望有無を調査したところ、半数程度が「エリア限定社員」を希望した。また、「エリア限定社員」の導入と同じタイミング(2024年4月)で、総合職と一般職を統合しているが、旧一般職は、転居を伴う転勤の対象外であったこともあり、その殆どが「エリア限定社員」を選択した。
  • ・今後は、これまで転居を伴う異動を懸念して、基幹業務に挑戦することを控えていた社員が、「エリア限定社員」を選択することで、主体的に基幹業務に挑戦し、社員全員がより一層活躍できることを期待している。

工夫点

  • ■人事制度の改定について、社員への説明会を実施した。
  • ■「エリア限定社員」制度の導入をはじめとして、新しい人事制度においては、「自ら考え、行動する自律したビジネスパーソン」となることを指針とした人事ポリシーを基軸としており、多様な個々人の価値観に合わせて自ら選択できる制度とすることを重要視している。新しい制度が社員に浸透し、社員がこれまでの考え方や行動を変えていくことを期待して、2024年4月に、人事部に人材開発課を再編成し、社員が自分らしいキャリアを主体的に描けるよう教育・研修などを通じて支援をしていく体制を整備した。

今後の課題

  • ・管理職への新人事制度の浸透が課題である。過去の制度変更においても、制度を変更したものの、運用の実態が伴わないことがあった。「エリア限定社員」制度の導入にあたっても、「エリア限定社員か否か」が人事評価に影響を与えてしまうこと等を懸念している。また、制度を導入したことで、各エリアの管理職にはエリア内での欠員補充等に対応することが求められるが、対応しきれていない様子が見受けられる。
  • ・将来的に管理職になることを期待していた社員が、「エリア限定社員」を選択し、想定していた転勤を含む育成プランを適用できなくなったケースがある。「エリア限定社員」を選択した社員の長期的な育成プランについても検討する必要があると考えている。
  • ・現状の制度は、異動の範囲を限定することしかできず、転勤先そのものを選択することまではできないため、「転勤先を選択したうえで、なおかつ、エリア限定社員を適用したい」等の要望にどのように対応するべきか、検討している。
  • ・制度の導入によって特に地方部(東北エリア・九州エリア)の応募者が増えることを期待していたが、現時点では、当該エリアの応募者数が増加した等の効果は見られていない。地方部の人材が不足しているため、対外的な制度の周知を含めた対応策を検討する必要があると考えている。