アミタホールディングス株式会社
<法人概要>
法人設立年 | 2010年(創業:1977年) |
---|---|
法人所在地 | 京都府京都市中京区烏丸通押小路上ル秋野々町535番地 |
業種 | サービス業 |
事業内容 | 社会デザイン事業 |
資本金 | 483,560,300円(2024年1月1日時点) |
サービス活動収益 | 4,824,000,000円(2023年12月期) |
社員数 | 232名(2023年3月31日時点) |
社員の構成 |
|
社員の職種構成 |
|
「多様な正社員」制度の概要
- ■1週間の労働時間を32時間以内に収める「週32時間就労」制度を運用している。
アミタは、「発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する持続可能な社会の実現」をミッションに掲げており、価値を創り出す源泉は、日々の業務で得られる知識・経験だけでなく、多くの人や社会との関係性で育まれる「人生」の中にこそあると考えている。
この制度により、社員は1週間で8時間まで、1時間単位で「タイムシフト」と呼ばれる休暇を取得できる。「タイムシフト」という言葉には、就業時間(タイム)を新たな価値づくりのための時間に移行(シフト)するという意味が込められており、8時間分を1日でまとめて取得し実質週休3日とすることも可能。
社員は週32時間の勤務で、従来の週40時間勤務もしくはそれ以上に相当する価値を創り出し、業績目標や戦略目標を達成することを目指す。
制度の対象者、限定の内容
- ■全正社員(管理職含む)
制度の内容
- ■社員は、業務の成果に支障がないとチームが認めた場合に、1時間単位もしくは8時間連続(日休相当)でのタイムシフト(休暇)取得が可能である。
制度導入のきっかけ・背景
- ■アミタグループは創業以来、顕在化した顧客ニーズにもとづき商品をつくり提供するのではなく、「潜在的社会ニーズを発掘し・市場を創る」というビジネススタンスを掲げ、廃棄物の再資源化や環境認証審査、企業の環境管理業務向けICTサービスやアウトソーシングサービスなど、それまで世になかった事業を手掛け、企業として成長を果たしてきた。
- ■このようなビジネススタンスにもとづく事業開発や組織開発を実行するには、従来の仕事の仕方・働き方だけでは限界があり、日常業務以外の様々な場面から得られる視点や教養、経験、感性、ネットワーク等が、個々人の人間力を育むだけでなく、仕事における新たな価値の創造ひいてはチーム・企業全体の価値創出力向上に貢献すると考えた。
- ■また一般的に、会社時間と家族や自分の時間を切り離して両立を図る「ワークライフバランス」を求める風潮があるが、アミタグループは、すべての時間が相互に影響しあうことでより豊かな人生を送ることができると考え、「ライフ・ワーク・ラーン」という採用・人財育成コンセプトを掲げている。
制度導入時の労使コミュニケーション
- ■社員への周知・浸透のため、本制度導入時に説明会を実施した。なお部門長へは個別に説明を実施。説明会での質疑応答では、制度の利用方法についての質問や実現可能性に対する懸念の声は上がったが、制度そのものに対する反対意見はなかった。
- ■制度導入後も匿名の従業員アンケートを通じて社員からの意見を募り・社内に公開・共有して運用状況を可視化した。
工夫点
- ■タイムシフト取得には所属チーム全員の同意が必要であり、現場の納得を得ながら運用できる仕組みとした。
- ■タイムシフト取得による32時間就労の実現は、「従業員のより豊かな人生と企業価値向上」を目的とするものであり、人事評価への影響はない。
- ■実現に向けて、2023年度は2つの取り組みを実行した。
- ①アミタ高度化ワークプロジェクト
生成AI等を活用した業務生産性の向上、高度化のための研修を実施した。社外の有識者を講師として招き、生成AIを利用する上でのマインド醸成や具体的な使い方についてのレクチャーを全社員に実施した。効果が見込めそうな部署においては、有料AIツールのトライアル実証も行った。その他、AIツール利用ガイドラインの規程化やヘルプデスクの設置なども実施している。 - ②業務仕分け
無理・無駄・ムラがない業務プロセスの再構築の実現に向けた全社での業務仕分を実施した。部署単位ですべての業務を洗い出し・可視化し、外部化できる業務、自動化できる業務、機械化できる業務、再統合できる業務等を経営層も関与しながら部署横断で検討した。
- ①アミタ高度化ワークプロジェクト
制度導入による効果
- ■制度導入前の半年間、トライアル運用を行った。
- ①週32時間就労実現には至らなかったものの、残業時間が約22%、実労働時間が10%削減するなどの効果が見られた
- ②自己啓発活動助成制度やソーシャル・タイム(ボランティア等の社会的活動のために利用できる休暇制度)の活用率が増加した
- ③従業員へのアンケートで本制度についての意見を求めたところ、ポジティブな意見が多かった
今後の課題
- ■アミタグループ全体では、週32時間就労を達成しているチームは一部に留まり、実現に向けて未だ道半ばである。社内複業制度など週32時間就労と関連する制度・施策の充実化、社員の意識改革や業務生産性の向上に寄与する研修プログラムの実行、チームビルディングを強化する人事組織改革など、実現に向けた様々な取り組みを継続・拡大させていく方針である。
その他「多様な正社員の働き方」に関連する制度の概要
- ■AMITIME制度
未利用で失効した年次有給休暇をグループ全体で貯蓄し、育児や介護等の理由で通常勤務ができない従業員が休業できる制度。例えば、AMITIMEを時短分に充てることで、給与の減額なく短時間勤務を利用することも可能で、実際にそうした活用も多くある。AMITIME の運用にあたっては、制度の利用可否を検討する審議員を定め、審議組織を組成しており、希望者がいた場合、審議員が審議を行い、3分の2以上が同意すると利用が認められる。 - ■ソーシャル・タイム
ボランティア活動等の社会的な活動に利用できる休暇として、年20日を有給で付与。付与日数は、過去に災害復旧のために1週間程度ボランティア活動を行った者がいたことなども勘案して設定した。時間単位での取得も可能。
▼活用状況(2022年末時点)
ソーシャル・タイム利用者数 24名(計56.5日) - ■自己啓発支援制度
社員の自発的な学びを支援するため、事前申請無しで一定額利用できる補助制度。資格取得やセミナー、芸術鑑賞、書籍購入等、様々な内容に利用可能。
▼活用状況(2022年末時点)
自己啓発活動助成利用者数 60名(174件) - ■業務高度化プロジェクト・DX推進プロジェクト
週32時間就労を達成するひとつの方法として、業務高度化プロジェクト・DX推進プロジェクトを実施している。本プロジェクトでは、業務へのAIツールやITツールの積極活用を通じて、従業員一人一人が「自らの存在意義や生み出す価値とは何か?」を思考することで、仕事の高度化(品質と効率の最大化=価値創出力の向上)を目指している。具体的には、全社員を対象にDX研修を年に数回実施、AI・DXに特化した外部コンサルの方への相談窓口の設置、DX人財育成プロジェクト(全社員の中から5名選抜)などに取り組んでいる。 - ■基本的に社員が働く場所を選ぶことができる。異動の際は社員が会社側の説明を聞き、合意した上で異動を決定する運用。毎年転勤に係る調査を行い、会社として転勤が必要な場合は最大限に考慮した上で勤務場所の選定を行う。勤務地限定というより、働く場所を社員が選べる形をとっている。
- ■フレックスタイム制を導入している。フレックスタイム制を申請した社員は働く時間を5:00~22:00の間で、1日4時間以上を条件にチームに支障が出ない範囲で自由に選べる。
- ■育児や介護を理由とした時短勤務が可能。