大和ハウスフィナンシャル株式会社

大和ハウスフィナンシャル株式会社_01_企業ロゴ

<企業概要>

設立年 2006年
所在地 大阪市中央区北浜東4番33号 北浜NEXUビル9F
業種 金融業,保険業
事業内容 大和ハウスグループの金融事業
(クレジットカード事業等)
資本金 1億円
売上高 40億円(2023年3月期)
社員数 80人(2024年2月時点)
社員の構成
  • ・正社員
    80人
    •  うち総合職-全国社員(G職):52人
      総合職-地域社員(L職):20人
      システム専門職(SP職):8人
  • ・非正社員
    0人

「多様な正社員」制度の概要

  • ■【職種・職務限定正社員】【勤務地限定正社員】
    職務をICT分野の専門業務に、勤務地を会社の拠点がある大阪または東京のいずれかに、それぞれ限定する「システム専門職(SP職)」を導入している。
  • ■正社員には、全国転勤があるG職と、勤務地が限定されているL職がある。
    以下の二つの要件のいずれかに当てはまる場合に、G職またはL職からSP職へ転換することができる。
    • 1.中途採用のシステム職のうちICT 分野での実務経験を会社が認めた者
    • 2.G/L級職のうち指定資格保有者(ケース1またはケース2)で会社が認めた者
    ケース1
    (右記①②の両方を要取得)
    • ①応用情報技術者
    • ②情報処理安全確保支援士
    ケース2
    (右記③~⑩のうち、いずれか一つを要取得)
    • ③システムアーキテクト
    • ④ネットワークスペシャリスト
    • ⑤データベーススペシャリスト
    • ⑥エンベデットシステムスペシャリスト
    • ⑦IT サービスマネージャ
    • ⑧プロジェクトマネージャ
    • ⑨ITストラテジスト
    • ⑩システム監査技術者

    (大和ハウスフィナンシャル株式会社 提供資料より事務局作成)

  • ■二つ目の要件に定める資格は取得要件が高いため、転換の対象は主に一つ目の要件に該当する場合を想定している。

待遇制度の内容

  • ■G職、L職、SP職いずれも、基本給は職能給と資格給から構成されている。
  • ■資格給は図に示した資格等級に対応する給与部分である。総合職(全国社員)であるG職はG9からG1までの資格等級から構成され、各資格等級はG9~G7がスタッフ、G1が部長などのように職位と対応している。こうした等級体系のなかでSP職の資格等級は、G職のG9~G4、L職のL9~L4と同等レベルのSP9~SP4の6等級から構成され、「システム上席主任」は課長補佐相当のSP4に、「システム主任」は主任、係長相当のSP6~SP5に、「スタッフ」はSP9~SP7に格付けられる。そのためSP職はL職と同様に課長以上の役職に昇進することはできない。
  • ■さらに、G職およびL職には係長以上の役職に応じた役割給が、SP職には「SP技能給」が支給される。
    役割給は、賞与考課における5段階評価の結果によって金額が決まる。これに対し、SP技能給はスキルを3段階で評価した結果によって金額が決まる。スキルは、利用可能なプログラミング言語や開発環境、そのプログラミング言語や開発環境の利用経験の年数、担当できる開発のフェーズなどから評価される。
    賞与や退職金など、その他の処遇・待遇はG職とSP職を同水準としている。

社員区分別の資格等級と役職

大和ハウスフィナンシャル株式会社_02_社員区分別の資格等級と役職

(大和ハウスフィナンシャル株式会社 提供資料より事務局作成)

制度導入のきっかけ・背景

  • ■ICT人材の確保が難しく、何らかの対策を考える必要があった。そこでシステム会社でないからこそ、エンジニアを重視する姿勢を社内外に向けて打ち出す必要があり、そのためには、新しい専門職の社員区分を設けてG職およびL職とは異なる方法で評価を行い、報酬を決めることが必要であると判断した。
  • ■2022年6月より、厚生労働省「多様な正社員」導入支援事業を利用し、制度の検討を始めた。2023年4月に制度を導入した。

制度導入時の労使コミュニケーション

  • ■2023年2月に、SP職への転換対象者であるシステム室の社員を対象に説明会を開いた。管理職へ昇進できないことを理由に転換を迷う社員がいたため、将来マネジメントへの関心が強くなればG職へ再転換することも可能であること、会社としては将来的には管理職を目指してほしいと考えていることを説明した。
    最終的に、転換の要件を満たしていた全員が2023年4月にSP職へ転換した。

工夫点

  • ■業務上の成果にとどまらず、エンジニアとして保有するスキルも重視するという会社の姿勢を示す目的でSP技能給を導入した。スキルの評価が給与に反映されることで、社員のモチベーションが向上することを期待している。
    スキルの評価にあたっては、専用の「SP技能給評価シート」を新たに作成した。また、資格等級ごとに定められたスキル要件を踏まえて、半期に3回(期初・期中・期末)実施する上司との面談でスキル開発の目標を決め、進捗をチェックする対応をとっている。
  • ■社員区分間の転換は年に1度としている。転換の時期は明確に決めず、柔軟に運用できるようにしている。

制度導入による効果

  • ■SP職の働き方に対する満足度が高まったというデータが得られている。社員個人からも、制度が導入されて嬉しかったという声が届いている。
  • ■採用においてもプラスに働いていると感じている。同じ勤務地で働き続けたいと考える応募者は多く、そうした応募者からはSP職の働き方や待遇が好意的に受け止められている。

今後の課題

  • ■職能給に反映される職務遂行能力と、SP技能給に反映されるスキルのそれぞれについて目標を設定している。しかし、社員本人からも上司からも、職務遂行能力とスキルをどのように区別し、目標と評価を切り分けるのかが難しいという声があがっているため、運用を見直す必要がある。

他の「多様な正社員」制度の概要

  • ■【勤務地限定正社員制度】
    L職は、勤務地が「居住地から通勤可能な範囲内」 に限定されている。会社の拠点がある大阪または東京のいずれかに限定する趣旨である。
  • ■転居を伴う転勤が免除されていることを踏まえて、賞与および退職金はG職の7~8割程度の水準としている。
  • ■職種・職務に限定はなく、全国社員(G職)と同様にジョブ・ローテーションがある。