生活協同組合コープやまぐち
<法人概要>
法人設立年 | 1963年(創立) |
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本部所在地 | 山口市小郡上郷10901-21 |
業種 | 卸売業,小売業 |
事業内容 | 店舗や宅配による食料品・日用品販売 |
出資金 | 90億4,200万円(2022年度末) |
総事業高 | 239億3,000万円(2022年度末) |
職員数 | 961人(2023年12月時点) |
職員の構成 |
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「多様な正社員」制度の概要
- ■【勤務地限定正社員】【短時間正社員】
正職員にあたる「コープ職員」を、働き方や仕事の内容によって4つの区分(ステージ)に分けている。このうち「ホワイトステージ」と「ブルーステージ」が「多様な正社員」に当たる。- ✓ホワイトステージ
特定の事業所で、週30時間未満の範囲内で働く。
一つの業態(店舗事業、宅配事業など)において、事業所内にある複数の仕事を経験することで、スキルの向上やキャリアアップをしていく。仕事への責任はブルーステージやオレンジステージと同じである。 - ✓ブルーステージ
自宅から通勤可能な距離(片道50km以内)にある事業所で、週に30時間以上、40時間以下の範囲内で働く。
ホワイトステージとは異なり、業態を超えた異動をする場合がある。 - ✓オレンジステージ
将来の管理職の候補者として複数の業態を経験する。
専門的な知識を身に着けるために、県外の生協や関連会社などへ長期の研修派遣や出向をする場合がある。 - ✓レッドステージ
管理職。任用されるには、店舗や宅配など複数の業態を経験する必要がある。
- ✓ホワイトステージ
コープ職員の4つのステージに応じた働き方
(生活協同組合コープやまぐち 提供資料より事務局作成)
待遇制度の内容
- ■給与は職務給としている。業態(店舗事業、宅配事業など)や職種(販売、商品加工、ドライバー、商品仕分けなど)によって賃金テーブルを分けている。いずれのステージでも職務が同じであれば時間あたりの給与は同じである。転勤の有無や勤務地による手当は設けていない。
制度導入のきっかけ・背景
- ■以前は、現在のブルーステージに相当する「メイト職員」(契約職員)と、ホワイトステージに相当する「パート」を、「正規職員」とは異なる職員区分としていたが、異なる働き方であっても同じ職員区分に位置付けたいと考えた。
また、職員区分間の転換制度がなかったため、育児・介護等の事情に応じて働き方を変えられる制度を必要としていた。さらに、同じ職員区分で有期雇用と無期雇用が混在していたり、勤続年数によって職員区分間の賃金差が逆転していたりする状況を改善したいとも考えていた。
こうした状況を踏まえて、2019年度より具体的な制度を検討し始め、2020年11月に制度を導入した。
工夫点
- ■ホワイトステージ、ブルーステージ、オレンジステージは、相互に転換を可能としている。
年間の上半期と下半期でそれぞれ、自己申告および適性検査の結果に応じて転換を認めている。
職員区分の変遷
(生活協同組合コープやまぐち ヒアリング内容より事務局作成)
制度導入による効果
- ■退職者数は最大で年150人程度いたが、30人ほど減少した。
以前の制度では、メイト職員は月給制の契約職員であったが、世間的にはパートのようにみなされていた。現在の制度ではブルーステージのコープ職員に位置付けられ、管理職(レッドステージ)へ昇進できる可能性も生まれたので、若手の職員にとっての魅力が向上した。
また、オレンジステージの職員に育児等の事情が生じた場合に、ブルーステージやホワイトステージによる限定的な働き方を認めたことで、仕事と家庭を両立できずに退職する事例が減少した。
今後の課題
- ■勤務地を限定する働き方のニーズが高く、ホワイトステージやブルーステージを選択する職員が多いが、一方でホワイトステージやブルーステージであっても、働く事業所にこだわらない職員が若手を中心に相当数いる。そこで、これらの職員の勤務地が限定されないオレンジステージへの転換を促進して、人材確保の難しい地域に配置したいと考えている。そのため、転換のハードルを下げられないかを検討している。新しい仕事へチャレンジさせる点でも、積極的にオレンジステージへの転換を進めたいと考えている。
- ■ホワイトステージやブルーステージは、職務に応じた評価の仕組みがオレンジステージと同じである。従来のメイト職やパートは、正規職員に比べて評価が簡易であったが、オレンジステージと同等の評価方法となったことで、評価を担当する管理職の負担が大きくなっている。
- ■特にホワイトステージは勤務時間に限定があるため、他のステージと比べて担当が特定の仕事に固定化しやすい。そのため仕事の幅を広げていくことで評価が上がる評価の仕組みをとっている。ただ、定型的な業務のみ希望している職員は、評価が高くなりにくい。
他の「多様な正社員」制度の概要
- ■【選択的週休3日制】
これまで説明した「多様な正社員」制度以外に、業務内容や、本人の希望によって、週休3日を選択することもできる選択的週休3日制が導入されている。