社会福祉法人岩手県社会福祉事業団

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<法人概要>

法人設立年 1971年
法人所在地 岩手県盛岡市高松三丁目7番33号
業種 医療,福祉
事業内容 児童養護施設や救護施設の経営、視聴覚障害者情報提供施設(岩手県立視聴覚障がい者情報センター)の受託などの社会福祉事業
基本金 1,000万円(岩手県出資金)
サービス活動収益 63億9,000万円(令和4年度)
職員数 966人
職員の構成
  • ・正規職員
    412人(総合職355人、一般職57人)
    ※うち福祉職323人、医療職89人
  • ・正規職員以外
    554人(うち特定職員2人、県派遣職員14人、継続雇用職員27人、嘱託職員1人、非正規職員510人)

「多様な正社員」制度の概要

  • ■【職種・職務限定正社員】【勤務地限定正社員】
    職務と勤務地を限定した「一般職」の制度を設けている。
  • ■対象者は新たに採用した者と、非正規職員から転換した者である。
  • ■職務は、総合職が「経営企画・施設等の管理運営業務等、施設等における支援業務等」であるのに対し、一般職は「主に施設等における支援業務等」に限定している。
  • ■勤務地は、総合職が県内全域の施設等に異動があるのに対し、一般職は県北地区/県央地区/県南地区の3地区でそれぞれ採用し、異動も同一の地区内に限られる。県北・県南の2地区は転居を伴う異動はないが、県央は地区を限定した上でも広いため転居を伴う異動も一部ある。

待遇制度の内容

  • ■基本的に一般職は、総合職と同様の待遇である。
    一般職の初任給は、原則として実務経験を有する者から採用することから新卒の短大卒相当とし、職歴に応じて加算している。昇給は総合職と同様に年1回である(55歳まで) 。
  • ■給料表は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・栄養士・薬剤師にあたる「医療職1」と、看護師にあたる「医療職2」、福祉職の3つに分かれている。各給料表は総合職と一般職に等しく適用されている。昇進・昇給の上限は総合職と一般職で異なり、総合職は施設長(5級)まで、一般職は主任級(3級)までである。

一般職の限定の内容

社会福祉法人岩手県社会福祉事業団_02_一般職の限定の内容

(社会福祉法人岩手県社会福祉事業団 提供資料より事務局作成)

制度導入のきっかけ・背景

  • ■2014年度経営改善検討委員会において、職員の多様化する価値観やワーク・ライフ・バランスの実現等に配慮するとともに、職員の育成、組織能力の向上及び職員の採用(正規職員率の改善)等に資することを目的とし、正規職員のコース別雇用管理制度について検討し、導入した。
    この背景には、女性職員が多く、育児・介護を理由に退職する職員への対応が求められたことがある。また、2000年代初めの数年間にわたり正規職員の新規採用を中断したため、非正規職員の割合が大きくなり、しかもその後は正規職員の採用が難しいという状況が続いたので、非正規職員の人材活用を進める観点もあった。

制度導入時の労使コミュニケーション

  • ■制度導入に当たっては、事前に施設長会議での説明及び労働組合に対する説明を行い、意見を徴収した。そのうえで施設長と労働組合の同意を得て就業規則改正を行った。

工夫点

  • ■申請・利用の際は、①エントリーシート、②採用地区希望確認書、③実務経験証明書、④内申書(所属先の施設長が記載)の各応募書類を、毎年10月~11月頃に提出する必要がある。
  • ■当初は非正規職員からの転換者が一般職の中心であった。しかし、その後は正規職員の採用定数(年間20~30人程度)と総合職とのバランスを踏まえて、ほぼ毎年新規採用している。
    最近の状況をみると、2018~2019年度は転勤を希望しない入職者が多く、総合職に欠員がでたため、人員を確保するため一般職を多く採用したが、それ以降は、採用定数に応じた採用を行っている。

制度導入による効果

  • ■エリア限定の勤務によって、仕事と育児・介護等の両立、ワーク・ライフ・バランスの実現が果たせている。
  • ■非正規職員から転換した一般職は、長年の実務経験があり、現場で非正規職員や新卒の総合職にアドバイスや目配りができるため、結果的に利用者への支援が行き届くことにつながっている。
  • ■各施設事業所の定数内で定めている正規職員率が改善した。

今後の課題

  • ■今のところは募集をすれば応募があり、一般職の必要な人数は確保できているが、正規職員全体で年々応募者が減っている。退職者もいるため、欠員が出ないようにする必要がある。また、総合職の割合が大きくなりすぎると人件費が増えすぎるため、総合職と一般職のバランスに留意する必要がある。
  • ■一般職から総合職への転換制度の創設が、中長期経営基本計画の検討事項として掲げられている。子どもが小さいうちは転勤が難しく一般職を希望していたが、子育てがある程度落ち着いたためキャリアアップを目指して転勤も受け入れたいと希望する職員が最近は増えている。
    2024年度に本格的に導入することを目指している。

職員区分間の転換制度

社会福祉法人岩手県社会福祉事業団_03_職員区分間の転換制度

(社会福祉法人岩手県社会福祉事業団 ヒアリング内容より事務局作成)