株式会社不動テトラ

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<企業概要>

企業設立年 1947年(創業)
企業所在地 東京都中央区日本橋小網町7番2号 ぺんてるビル
業種 建設業
事業内容 土木事業、地盤事業、ブロック事業等
資本金 50億円
売上高 70,466百万円(2023年3月期)
社員数 850人(単体、2024年1月時点)
社員体系
  • ・正社員
    役割グレード社員:748人
    •  うち総合職:499人、
    •  管理職:179人、
      (総合職から任命)
    •  専門職:9人、
      (特に高度な専門性を有する総合職から任命)
    •  技能職:38人、
      (地盤事業に従事する建設重機のオペレーター)
    •  限定職:23人
  • ・正社員以外
    102人

「多様な正社員」制度の概要

  • ■【職種・職務限定正社員】【勤務地限定正社員】【短時間正社員】
    同社では「役割グレード制」を導入しており、総合職、管理職、専門職、技能職、限定職の5つの職群を設けている。「限定職社員」は、職種・職務や勤務地域が一定範囲に限定されている正社員である。
  • ■新規採用の正社員、有期雇用社員から正社員に登用した者、および他の職群の正社員から転換した者が対象となる。
  • ■職種・職務を限定する「限定正社員」は、定型的な業務やサポート業務、または一定の専門分野に特化した業務が多く、基本的には各事業所や本社のバックオフィス業務が中心である。
  • ■勤務地を限定する「限定正社員」は、転居を伴わない範囲で異動する可能性があるが、基本的には単一の事業所で働き続けるケースが多い。
  • ■「限定正社員」以外に、職群にかかわらず時間限定で働くことができる短時間正社員制度がある。本人の事情により、通常の育児・介護支援制度の枠を超えて短時間勤務を継続したい場合などに、6時間/7時間/7.5時間から選択することができる。

「多様な正社員」の働き方

株式会社不動テトラ_03_「多様な正社員」の働き方

(株式会社不動テトラ ヒアリング内容より事務局作成)

待遇制度の内容

  • ■給与テーブルは職群ごとに異なる。初任給は職群による違いはないが、限定職社員は職種・職務や勤務地域が限定的であることから、その後の定昇幅は総合職社員よりも小さめに設定されている。
  • ■各種手当、賞与支給率、評価制度、昇格制度などについては職群間に差はない。
  • ■短時間正社員の基本給は、フルタイムの基本給×勤務時間/8となり、選択した勤務時間に比例する。
  • ■等級制度は「役割グレード制」を採用しており、限定職社員はUG1/UG2/UG3の3段階に格付けされる。3段階の最上位グレードであるUG3では、高い経験値を活かし、総合職に準ずる専門性や判断力が求められる。2024年4月には、制度改正後、初のUG3昇格者が誕生する。

「限定職社員」のグレード

株式会社不動テトラ_04_「限定職社員」のグレード

(株式会社不動テトラ 提供資料、ヒアリング内容より事務局作成)

制度導入のきっかけ・背景

  • ■同社は2006年に不動建設株式会社と株式会社テトラが合併してできた会社である。両社の異なる人事制度を統合する過程において、株式会社テトラには「一般職」制度があったが不動建設株式会社にはなく、その取扱いが問題となった。その際、合併に伴って旧社の一般職をすべて総合職へと転換させることとしたが、特に勤務地の限定がなくなることについて社員から不安視する声が多くあがったため、合併後も一般職の制度を継続することとした。
  • ■その後、2021年の人事制度改正において、社員全体の職群を再構築する中で、一般職についても「多様な働き方」という視点から定義と処遇を見直すこととなり、名称も「限定職社員」に変更した。

制度導入時の労使コミュニケーション

  • ■限定職社員は、あくまでも職種や勤務地域を限定した働き方であり、それ以外の待遇等については差を付けないこと、育成計画による職種の拡大や本人の昇格意欲により、総合職など他の職群への転換の途を開くことなどを労使協議で確認した。

工夫点

  • ■他職群への転換を実現するための具体的な制度として「社員区分転換制度」を整備した。限定職から総合職に転換した社員のほか、契約社員から正社員に登用された者も多い。
  • ■本人の働き方を尊重するため、育児や介護などを想定して、総合職社員から限定職社員へといういわば逆転換も制度化した。
    昇格試験を受けることで、再び総合職に復帰することもできる。
  • ■「限定職社員」制度に加えて、育児の支援や働く場所・時間の柔軟化を目的とした制度も用意することで、社員の多様な働き方をより促すことができる体制としている。
    • ✓【育休+育児支援休暇+ライフサポート休暇】
      育児休業の一部を有給化するとともに、柔軟に使える休暇制度を整備。「育児支援休暇(年5日)」は小学6年生までのあらゆる育児の場面で利用でき、未消化有休を積立てる「ライフ・サポート休暇」は、育児・介護・傷病・家族の看護など用途が広い。これらの制度を組み合わせて活用するケースも多い。人事部に利用のための相談窓口を設けて個別対応した結果、育児休業率は男女とも100%(2022年度)を達成した。
    • ✓【在宅勤務・時差出勤】
      コロナ禍では限定的に実施していたが、その後常設の制度とした。週2日までの在宅勤務なら、業務に支障がない限り特に理由は問わない。週3日以上の場合は業務上または個別の理由が必要になる。時差出勤は、始業・終業時刻を異なる6つのパターンから選択できる制度である。

制度導入による効果

  • ■地方の支店や小規模の営業所では職種が限られてしまうことも多く、特定の職種については契約社員で対応するケースもあったが、限定職社員制度を導入することで安定的に人材を確保できるようになった。
  • ■子育てや家庭の事情で同一地域で働きたいというニーズに応えることで、離職防止につながっている。

今後の課題

  • ■総合職社員との待遇のバランスや限定職社員のモチベーションアップに配慮し、給与水準やグレードの構成をさらに見直す予定である。総合職社員とは職種に違いはあるものの、限定職社員の担当する職種は経験値や習熟度が業務の効率化に直接つながる職種でもあることから、それらを評価し、給与や昇格に反映させる方向で検討をすすめている。
  • ■限定職社員とは別に、総合職のまま勤務地を限定できる働き方を検討している。建設業という業態や企業規模による制約もあるが、全国転勤を望まない人材の確保につながるとの採用上の効果を期待している。