株式会社コラボスタイル
<企業概要>
企業設立年 | 2013年 |
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本社所在地 | 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワー名古屋36階 |
業種 | 情報通信業 |
事業内容 | オフィスワークを効率化するクラウドサービス「コラボフロー」「コラボフォーム」の開発・販売
オフィスデザイン・設計・施工 |
資本金 | 5,000万円 |
売上収益 | 非公開 |
社員数 | 71人(2024年1月末現在) |
社員の構成 |
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「多様な正社員」制度の概要
- ■【短時間正社員、選択的週休3日制】
正社員を対象とする所定労働時間を短くする制度。それぞれのライフステージに応じて、1日の所定労働時間を短くする、1週間の出勤日数を短くすることが選択できる制度。社員のうち10人弱が同制度の適用を受けている。 - ■なお同制度に加えて、短時間正社員を含めた全ての社員が、1か月の所定労働時間を満たす範囲で1日の労働時間や勤務日数を調整することができるスーパーフレックスタイム制度を導入している。
制度の内容
- ■基本となる労働時間制度はスーパーフレックスタイム+1か月単位の労働時間制であり、社員全員(短時間正社員を含む)に適用している。スーパーフレックスタイムの下では、制度上は1カ月の総労働時間が労働契約に定めている1カ月の所定労働時間を満たせば社員は自由に就業時間を決めることができる。
- ■1か月の所定労働時間は、個別労働契約により定める旨が就業規則に記載されている。1日あたり8時間に、その月の平日数を乗じた時間が基本となるが、個別の労働契約で1日の労働時間を短くしたり、勤務する日数を少なくしたりして、1か月の所定労働時間を通常の社員より短くすることができる。この所定労働時間の短い社員が短時間正社員にあたる。労働契約における勤務時間や勤務日数は、入社前に決めて労働条件通知書に記載している。また、ライフイベントに応じて契約を変更することも可能である。変更事由は育児に限らず、介護や傷病からの復職時なども認めている。短時間勤務の場合は1日6時間に限らず、7時間や7.5時間といった場合もある。
制度導入のきっかけ・背景
- ■同社は、「ワークスタイルの未来を切り拓く」の企業理念のもとで、働きかたをより良くする製品・サービスを提供している。自社のワークスタイルを改善することにも取り組んでおり、多様な働き方を実現できる制度の導入を進めていた。現在の法制度のもとで、最も自由に働くことができる仕組みとして現在の制度に行き着いた。
- ■制度導入は2022年7月。それ以前にも労働時間制度は何度か変更しており、制度導入直前は通常の勤務時間制度(定時が9~18時)と専門業務型裁量労働制を採り入れていた。
1週間の営業日と社員の勤務のイメージ
(株式会社コラボスタイル ヒアリング内容より事務局作成)
工夫点
- ■社員は「ワークスタイル宣言」を行うことによって自分の基本的な勤務時間を社内に公表し、通常はその勤務時間を自主的・自律的に守り勤務を行う。
制度上勤務時間・日数を自由に決められるとはいえ、誰がいつ働いているのかを他の社員が把握できるようにしなければ、チームで働くことが難しいためである。
一方で、あくまで基本となる勤務時間という位置づけであるので、何らかの理由により宣言した内容から外れる(急きょ出勤時間を変えたり、勤務を取りやめたりする)ことがあっても、遅刻や早退、欠勤とはみなされない。基本的な勤務時間に働かなかったとしても、後日その分を補えば、所定労働時間を満たすことができるためである。
制度導入による効果
- ■短時間正社員を導入したことにより、勤務時間に制約の生じた社員の雇用を継続したり、制約のある社員を採用したりすることができている。
- ■また、スーパーフレックスタイムを適用した労働時間制度は、いざという時に勤務時間を調整でき、周囲がフォローする体制も構築されているため、安心して働くことができるとして社員からは好評である。
- ■従前は専門業務型裁量労働制により社員の働き方の裁量を高めようとしていたが、一部職種の社員だけが対象となることや、法制度上の制約もあり、働き方の自由度を上げる点では限界があった。
勤務時間・勤務日数を柔軟に変更できる制度のイメージ
(株式会社コラボスタイル ヒアリング内容より事務局作成)
今後の課題
- ■制度上、1か月の所定労働時間を満たしさえすれば、契約上の勤務日数を満たさなくとも問題がないため、有給休暇を取得しなくとも休みをとることが可能である。そのため、実際に休みはとれていても有休消化率として見ると低く見えてしまう。
人事管理全体の概要
- ■社内にはセールスやエンジニアなどの部門があり、各部門は職種ごとのチームに分かれている
部門 チーム セールス インサイドセールスチーム、パートナーセールスチームなど エンジニア 主要製品別のチーム、クラウドサーバーチームなど - ■新卒採用は部門単位で行い、入社時に適性をみて配属するチームを決定している。中途採用はチームによって職種別に実施している。
- ■ 労働契約には、部門レベルの業務は明記されているが、配属されるチーム(職種)が明記されているわけではない。しかし中途採用の場合は、採用時にチーム(職種)の確認はしており、部門・職種をまたいだ異動は基本的にはない。これによって入社後にミスマッチが生じるリスクを減らすことができる反面、必要なスキルの定義や募集要項の作成、面談等を各チームが行う必要があり、一括採用に比べてコストがかかる。
- ■評価制度は2階建ての設計としている。
1階部分は、行動が企業の理念や行動指針などに合致しているか、全社員が必要とするスキルを身に着けているかなど、全社共通の評価項目である。
2階部分は部門・チーム別の評価項目であり、それによってそれぞれのチーム(職種)で必要とされる考え方やスキルを評価している。以下の等級・報酬と同様に、部門責任者の裁量で決められるので、チームメンバーの納得度が高い評価の仕組みをつくることができる。一方で、評価項目を各チームで検討する必要があるので、部門責任者の負担は大きい。 - ■等級も2階建ての設計としている。全社共通として3階層に分けているが、それぞれの階層内にある等級の数はチーム(職種)や部門によって異なる。等級が上がるとマネジメントに回る人とプロフェッショナルを突き詰めていく人に分岐するチームもあるし、スキルや知識によって分岐をさらに細分化させるチームもある。
- ■賃金テーブルもチーム(職種)ごとに設けている。例えばセールスとエンジニアではそれぞれ必要な能力や評価軸が異なるため、同じ枠組みで処遇することが難しいためである。また、職種ごとに適切な賃金額を設定できるので採用上のメリットは大きい。