株式会社 エス・アイ
「全社員時間給制度」で雇用区分をなくし、
プライベートとも両立しやすい「自由出勤制度」へ移行
<企業概略>
会社設立年 | 1991年 |
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本社所在地 | 兵庫県姫路市石倉26番地の3 |
業種 | 情報通信業 |
従業員数 |
49名※2023年3月現在 男性:8名 女性:41名(うち65歳以上:4名 障がい者:6名) |
資本金 | 1,000万円 |
売上高(単体) | 145百万円 (※)直近決算期(2022年7月) |
<沿革>
平成3年3月 | 株式会社エス・アイ設立 |
平成18年9月 | ひょうごユニバーサル社会づくり賞受賞(兵庫県) |
平成19年2月 | 兵庫県子育て応援協定締結 |
平成20年3月 | コールセンター開設 |
平成21年1月 | Web部門開設 |
平成22年1月 | 総合地域情報発信サイト「はりまるしぇ」オープン |
平成23年11月 | 第5回ワーク・ライフ・バランス大賞 奨励賞受賞(日本生産性本部) |
平成24年3月 | はたらく母子家庭応援企業 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長賞受賞 |
平成25年3月 | ダイバーシティ経営企業100選に選出(経済産業省) |
平成26年10月 | 「ひょうご仕事と生活の調和推進企業」に認定(公益財団法人兵庫県勤労福祉協会) |
平成28年3月 | 平成27年度 内閣府「子供と家族・若者応援団表彰」子育て・家族支援部門『内閣総理大臣表彰』受賞 |
平成30年2月 | 第2回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」『キラリと光る取り組み賞(職業安定局長賞)』受賞 |
<企業概要>
データ処理(データ入力・集計・加工・分析、スキャニング)、②アウトソーシング(バックオフィスサービス、ダイレクトメール、コールセンター)③WEB・デザイン(ホームページ制作・保守、フライヤー・チラシ政策販促グッズデザイン)等、事業内容は多岐にわたる。また、兵庫県の播磨地方の情報を提供するポータルサイト『はりまるしぇ』を運営している。
働き方の面では、出勤・退勤時間を個人で自由に設定することができる『自由出勤制度』、正社員とパートタイマーの格差を解決するための『全社員時間給制』、高齢者や障がい者が安心して長く勤めることができる『エイジフリー制度』を導入するなど、従業員にとって働きやすい職場をつくることに力をいれている。
1.制度の概要
個人の事情・働き方に合わせて出勤・退勤時間などを従業員が自由に設計・設定できる「自由出勤制度」を導入
2.制度導入のきっかけ・背景
正社員の残業をなくすため、出勤日・出勤時間等自由に決めることのできるパートを募集したところ、優秀なパート社員が集まってきた。優秀なパート社員はリーダー的存在になっていった。正社員とパート社員の働きやすさを会社の制度として追求した結果が、現在の「自由出勤制度・全員時間給制度」となっている。
3.制度導入の内容
①概要
同社の「自由出勤制度」は、出・退勤時間などの勤務時間を個人で自由に設定できる制度。
適用事由の限定もフレックスタイム制度にみられるコアタイムの設定もなく、1日に何度も出勤・退勤が可能。
家庭の用事で慌ただしいなどフルタイムで働けない事情などがあるスタッフにとって、理想的な勤務が可能となっている。
<活用例>
- ・8時半頃 子供を送ってから出勤
- ・10時頃 歯医者の診療のため外出(退勤)
- ・10時50分頃 帰社(出勤)
- ・12時頃 昼食のため帰宅(退勤)
- ・13時頃 再び出社(出勤)
- ・15時半頃 子供の迎え(退勤)
- ・16時頃 子供の迎え後に、会社に戻り(出勤)
- ・17時頃まで働いて退勤
②処遇
「全員時間給制度」を導入。同社には、正社員・非正規社員の雇用区分はなし。
③昇給・昇格
仕事の内容や難易度・会社への貢献度など「ジョブ基準」で時給単価を決定・可視化している。
仕事ベースでのチャレンジが昇給に直結する制度となっている。
4.導入時の労使コミュニケーションをどのように行ったか
プロジェクトなど特別な体制なく、日々のコミュニケーションや面談の機会にニーズをヒアリングし、制度を検討して、現在の制度になっている。
5.工夫点
就業規則では、1日7.75時間以内/週40時間以内/月間168時間以内/4週4休以上ということのみを規定。
その範囲内でスタッフ各自が働き方を自由に設定することとしている。
多様な働き方を可能にする自由出勤の働き方をサポートするため、複数の人員で業務を共有する「エス・アイ版ワークシェアリング」を導入。また、仕事の進捗状況をメンバー間で共有できるようにコミュニケーションをとっているほか、個人の実績評価には「360度評価」も実施している。
6.制度導入による効果
「自由出勤」に魅力を感じて中途入社を希望する応募者が多い。「自由出勤」制度を取り入れ、優秀な人材が多数採用できたことで、事業の継続も可能となった。
また、働き方を自由に設定できることは、働いている時間は集中して、スピード感を持って仕事をすることにもつながっている。担当している業務の状況もメンバー・チーム間で共有するため、自ずと積極的なコミュニケーションを取ることとなり、生産性の向上につながっている。
7.今後の課題
当社の取組への取材や会社の見学の際に「この規模で、この仕事内容だからこそできる、うちの会社では無理」などの感想を頂くこともある。しかし、取組の全てではなくとも、「ここは面白いな」と思うところがあれば取り入れてもらって、企業が変わっていってもらえればと考えている。
他にも定年退職制度を廃止し「エイジフリー制度」を導入したり、障がい者雇用にも力を入れている。ダイバーシティの視点からも、さらに人に優しい・人に寄り添った働きやすい会社、働く意欲のある社員は本人が希望する限り働き続けることができる会社でありたいと考えている。