パーソルキャリア株式会社

社員自身が勤務日数・時間・場所・休暇・休職を選択できる人事制度「FLASH(フラッシュ)」を導入し、社員のキャリアオーナーシップの発揮へつなげる

パーソルキャリア株式会社_01_会社ロゴ

<企業概略>

会社設立年 1956年
本社所在地 〒100-6328東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング27F
業種 サービス業
従業員数 4,538名(有期社員含む グループ会社出向中の者は除く)
※社員男女比は、男性47%、女性53% ※2022年3月時点
資本金 1,127百万円
売上高 58,192,521円(2021年3月期)

<沿革>

1956年 学生援護会を創業
1989年 株式会社インテリジェンスを創業
2006年 株式会社インテリジェンスと株式会社学生援護会が経営統合
2013年 テンプホールディングス株式会社配下で完全子会社化(現 : パーソルホールディングス株式会社)
2017年 パーソルキャリア株式会社に商号変更

<企業概要>

 パーソルキャリア株式会社は、-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-をミッションとし、転職サービス「doda」をはじめとする人材紹介、求人広告、新卒採用支援などを提供、2022年5月には「HiPro」を立ち上げ、副業・フリーランス領域にも本格参入。これまで以上に個人の「はたらく」にフォーカスした社会価値の創出に努め、社会課題に正面から向き合い、すべての「はたらく」が笑顔につながる社会の実現を目指す。

1.制度の概要

 社員自身が勤務日数・時間・場所・休暇・休職を選択できる人事制度「FLASH(フラッシュ)」を導入。育児・介護・不妊治療、留学・通学、リフレッシュ・趣味・余暇活動、地域活動・社会活動、医師の指示による療養・治療という幅広い事由で利用できる。

2.制度導入のきっかけ・背景

 始まりは育児時短制度に対する社員の声。保育園なら夕方まで預かってもらいつつ、時短勤務が可能だが、小学校に入ると学童保育に通えたとしても子どもの帰宅が早くなり、対応に苦慮するという悩みに対応した。社員の女性比率が約5割と高いこと、また年々社員の年齢構成が変化し、将来的には育児時短社員や介護世代社員が増えることが十分予想されることから、制度の拡充が必須と考えた。
 その際、要件となる事由を学習やボランティア、リフレッシュにも広げたのは、「社員一人ひとりが年齢や性別にかかわりなく、ライフステージやキャリアプランにあわせて、働く日数・時間・場所・休暇を選択できること」が社員の中長期的な成長支援につながるという思いから。制度があることで、一人ひとりが自分のキャリアや生き方を主体的に考え、上司がその悩みに寄り添うことにつながる。また、リスキリングなど学びを深めるためや、仮に目的が定まっていなくても時短勤務や休職ができることは、社員のキャリア自律につながり、意義があると考えた。

3.制度の内容

①概要

 「FLASH(フラッシュ)」は、正社員を対象とした、社員自身が勤務日数・時間・場所・休暇・休職を選択できる人事制度。名称は、育児・介護・不妊治療(Family)、留学・通学(Learning)、リフレッシュ・趣味・余暇活動(Avocation)など事由の頭文字をとっている。

②勤務日数、1日あたりの労働時間

 事由により異なる。また、事由により勤続要件も設けている。具体的には以下の通り。

パーソルキャリア株式会社_02_勤務日数、1日あたりの労働時間の表

③処遇

 フルタイム勤務の正社員と基本給は同じたが、時短勤務がある場合はその短縮した時間分の給与を控除し設定。評価は成果に基づき行うため、「短時間勤務だから」という理由のみでマイナス評価としない運用としている。

④教育訓練

 フルタイム勤務の正社員と同じ。

⑤転換制度

 いつでも申請が可能。上司の承認のもと申請後3カ月で適用となる。

⑥昇給・昇格

 フルタイム勤務の正社員と同じ。ただし休職中の場合は評価の対象から外れるため一時停止となる。

4.制度導入時の労使コミュニケーションをどのように行ったか

 利用する社員側には、どのような場面で制度を利用したいかなどを丁寧にヒアリング。また、制度導入のきっかけである育児時短勤務者の利用実績を踏まえ、利用期間の検証なども行った。同時に、管理職側にもヒアリングを重ね、導入した際に想定される課題を洗い出し、対応策も考えながら導入に進んだ。

5.工夫点

 予算目標のある組織へのヒアリングで出た『時短勤務をする場合にフルタイム時と予算目標が同じでは利用がしづらい』という声をふまえ、時短勤務時の働き方に合わせて予算・目標設定を軽減するルールを導入した。
 導入時は申請時期を決めて計画的に申請・審査・承認を行う仕組みとしていたが、現在は随時申請可能となっている。

6.現在の活用状況

 40名程度で推移。年々増加していっている。事由としては、小学生の子を持つ親の時短勤務が多いが、徐々に多岐にわたっている。2016年度~2022年度12月時点の累計利用者数は160名程度。

7.制度導入による効果

 社員の離職防止が最大の効果。制度を利用することで、社員として雇用され続けながら、個人の価値観やライフステージ、環境の変化に合わせた働き方・生き方を選択できる。育児中の社員においては、特に就学後も時短が使えることで、保育園から小学校に上がる際の生活の急激な変化を緩和でき、安心感につながっている。フルタイムに戻るタイミングも、個々人で決めることが可能。フレックスタイム制度を利用した業務時間中の中抜けや、在宅勤務も利用できるので、フルタイム復帰のハードルが低い。
 採用にも効果があり、育児介護事由であれば利用における勤続要件もないため、「FLASH制度を利用できることが入社を決めた理由の1つ」という社員もいた。

8.活躍する社員の声

パーソルキャリア株式会社_03_戸井洋子さん

エージェント事業部 組織開発統括部 戸井 洋子さん

 2021年10月から利用を開始しました。きっかけは、新型コロナの影響で外出頻度が減り、人と会う機会が少なくなったことでした。私は、一度着手したら最後までやり遂げたいと思う性分もあり、本業と複業を無理なく両立するために、時間的にも余裕が持てるよう、1日8時間、週4日勤務に短縮しました。
 利用前は、チームへの影響が心配でしたが、制度利用前に上司が効率的な仕事の仕方や業務分担などを一緒に考えてくれたことや、風通しよく協力的な組織風土のおかげで、無理なく働くことができています。周囲のサポートの元、任される仕事や裁量は大きく変わらなかったため、これまで以上に「限られた時間の中で完遂する」意識が強まり、生産性も高まりました。
 制度利用の最大のメリットは、本業にも副業にも安定した気持ちで取り組めることです。木曜日を副業日にあてることで土日はリフレッシュでき、よいリズムで仕事ができています。また、「会社にサポートしてもらっている」感覚が大きいため、貢献欲求も高まりました。また、本業、複業の学びを双方に還元できることも、自身のやりがいや成長に繋がっていると感じています。