株式会社タオ
キャリアパスプランに基づく評価・育成制度を構築し、短時間正社員であっても責任者として活躍できる仕組みをつくる
<企業概略>
会社設立年 | 平成6年7月 |
---|---|
本社所在地 | 大阪市東淀川区下新庄5-2-18 |
業種 | 医療・福祉 |
従業員数 |
67名(2023年2月現在) (正社員:男性4人、女性12人/非正規社員:男性15人、女性36人) |
資本金 | 65,000,000円 |
<沿革>
1994年 | 「タオ整骨院」を個人事業として開業 (「タオ」とは「道」の意味) |
2005年 | 整骨院向け勉強会「タオ経営塾」を開始 |
2010年 | 東京にピープルビジネススクールを設立 |
2011年 | パート・アルバイト主力のデイサービス「ふくらはぎ健康法タオ」開設 |
2017年 | 株式会社タオとピープルビジネススクールを統合 |
2019年 | 大阪市より「女性活躍リーディングカンパニー」の認証を受ける |
<企業概要>
「国民健康生活への貢献」を理念に掲げ、「介護事業」「一般医療機器販売」「経営セミナー・コンサルティング」を行う。
人材活用の面では、ランクごとに求められる基準を明確にしたキャリアパスプランに基づいた評価、トレーニングを行い、短時間正社員も多数活躍している。
1.制度の概要
同社では、パート・アルバイト、正社員それぞれに職種別のキャリアパスプランを作成し、各ランクにて求められる目標や業務内容、給与等を明確にし、労使ともに納得の上で決定している。また、ランクを決定するための評価システムと人材育成(トレーニング)も仕組化されている。また、パート社員から正社員への転換では「ターゲットセレクション」という仕組みで人材の選定を行っている。
短時間正社員については、週30~40時間で調整でき、活用のための事由は問わない。短時間勤務であっても評価や育成の基準が上述のキャリアパスプランで決められた内容であり、勤務時間数では計っていないことに加え、これまでの会社の経緯としても、現在の副代表の川村氏も元々パート社員からのスタートであったことや、会社の危機の際の立て直しでも短時間正社員が活躍したことなどから、勤務時間を理由に昇格対象から外れるといったことはない。
2.制度導入のきっかけ・背景
同社では人材活用の面ではこれまで大きく2度転機が訪れている。最初は整骨院から事業を始め、「労働時間を延ばせばその分売上もあがる」と考えており、長時間労働が慢性化していた。そこに、労働基準監督署の是正勧告が入り、週60時間ほどであった労働時間を2か月以内に40時間に改善することとなった。
中園社長はピープルビジネスを学んでいたことも活かし、業務分担の明確化やシフトの自由化を進め、繁忙時間に接客数を増やし、施術者が施術に集中できる環境を整えたことで、業務時間を減らしつつ、売上は落とさないようにすることができ、変革から3か月後には過去最高の売上を記録した。この頃から業務内容の明確化や柔軟な働き方に取り組むようになった。
こういった成功体験や学んだことを元に経営セミナーやコンサルティング事業に注力をしていた頃に2度目の転機が訪れた。社長が不在の間にその頃主力事業となっていた介護事業の経営状況が悪化していた。そこで改めてキャリアパスプランに基づいて、パート社員のなかから優秀な人材をターゲットセレクションで選定し、正社員登用と施設の責任者となることを打診した。この時打診をした4名は全員家庭の事情もあり、短時間正社員でのスタートであったという。そしてこの4名が実績を上げて事業を立て直せたことで、同社の現在の人材活用のスタイルが定着することとなった。
3.制度導入の内容
①処遇
パート・アルバイト、正社員それぞれに職種別のキャリアパスプランを作成し、各ランクにて求められる目標や業務内容、給与等を明確にし、労使ともに納得の上で決定している。短時間正社員については、ランクごとの給与のうち、時間按分での差し引きとなる。ランク間での処遇差が大きいため、労働時間を長くすることよりもランクを上げることを目指す傾向となっている。
②教育訓練
人材育成も上述のキャリアパスプランに紐づいており、ランクごとのトレーニングメニューがある。短時間正社員であっても教育機会に差はない。研修は本部常設の「社内ユニバーシティ」にて、年間合計60以上の講座を開催している。
③昇給・昇格
昇給・昇格の仕組みも上述のキャリアパスプランに紐づいたものとなっている。同社ではキャリアパスプラン、評価、トレーニング(人材育成)を3つ連動させることで、この仕組みを機能させている。
④転換制度
働き方の変更は随時相談となっている。1か月前までに上長に申告し調整している。
4.導入時の労使コミュニケーションをどのように行ったか
対象となるパート社員に一人ひとり打診を行い、働く時間も含めて相談をした。元の責任者が部下となるケースなどもあったが、キャリアパスプランで評価基準が明確になっていることや、実際に短時間正社員の施設長が成果を上げたことで認められる風潮となった。
5.工夫点
キャリアパスプランなどの仕組みを自社に合わせてカスタマイズしようと試みたこともあったが、それでは機能せず、最終的に元の形を忠実に実行していくことが最も効果的であると判明した。
6.現在の活用状況
現在、短時間正社員は9名。
7.制度導入による効果
短時間正社員の活躍がなければ、経営危機の際に立ち直ることができなかった。家庭の事情などでフルタイムでは働けなくても優秀な人材はいるので、きちんと評価し、活躍できる機会を与えて育成していくことで、会社の事業運営や成長にも大きく寄与している。
8.活躍する社員の声
スーパーバイザー 栗山 綾さん
また、責任あるポジションに就くことについては、川村さんから「人より突き抜けなさい」と背中を押してもらい、やってみようと思えました。