株式会社 セレクティー

講師限定職や完全テレワーク勤務、短時間正社員など
従業員の声を制度にして働き続けられる環境を整備

株式会社 セレクティー_01_個別教室のアップルロゴ
株式会社 セレクティー_02_写真

<企業概略>

会社設立年 平成8年(1996)11月
本社所在地 宮城県仙台市青葉区中央3-1-24 荘内銀行ビル5F
業種 家庭教師派遣業、個別教室運営を中心とする、総合教育サービス事業
(教育・学習支援業)
従業員数 33名(464名:講師含む全スタッフ数)※2023年2月現在
資本金 30,000,000円

<沿革>

1996年11月 個別指導事業を開始
2011年4月 東日本大震災 震災遺児支援開始
2011年6月 一般社団法人 学習能力開発財団 設立
2014年3月 経済産業省 ダイバーシティ経営企業100選 受賞
2019年2月 仙台「四方よし」企業大賞 大賞受賞
2020年5月 女性のチカラを活かす企業 ゴールド認証
2021年2月 宮城県「いきいき男女・にこにこ子育て応援企業」優秀賞 受賞

<企業概要>

 完全マンツーマン指導、「個別教室のアップル」「家庭教師のアップル」として、1対1に特化した教育サービスを行う総合教育サービス事業を展開。またCSRとして震災遺児支援や発達障がい児支援も行っている。

1.制度の概要

 正社員は職種限定制度を設けており、「総合営業職」と「講師職」に分かれている。
 総合営業職は営業業務と管理業務を担当し、講師職は講師に関する専門的な業務に限定している。
 また、短時間正社員制度を導入しており、育児・介護等の事情に限定せずに取得を認めている。

社員体系

株式会社 セレクティー_03_社員体系

2.制度導入のきっかけ・背景

 従来、パート・アルバイトで多くの従業員を採用していたが、その中には、フルタイム勤務を希望する意欲の高い従業員もいた。
 しかし、パート・アルバイト従業員が正社員となった場合、いきなりこれまで経験したことのない営業業務等に従事することは、スキル面で難しい面があると考えた。加えて、優秀な人材を確保するため、新卒採用の場面でも、自社の魅力をアピールする必要性が生じていた。そこで、「フルタイムで勤務する専門職の講師職」として、正社員の講師職を設けることとした。
 短時間正社員制度については、従来は多くの従業員が女性スタッフであったこともあり、従業員一人ひとりのライフイベントを考慮するとともに、継続して就業できるようにするため、短時間正社員制度を設けておくことが良いと判断した。

3.制度の内容

①処遇

 総合営業職と講師職との間の基本給の差は、割合にして概ね100:80である。
 総合営業職は比較的、中核的な立場の職種と位置付けているため、講師職より基本給を高めに設定している。
 短時間正社員については、4時間勤務と6時間勤務を認めており、基本給は時間比例で差を設けている。
 なお、退職金は中退共に加入しており、正社員は職種に関わらず全員加入している状況である。

②教育訓練の機会

 教育訓練の機会については差を設けていない。ただし、職種ごとに求められる専門的な内容については、必要に応じて職種ごとに変えている。

③転換

 講師職から総合営業職にキャリアアップを目的として転換するケースはいくつかあり、本人希望、スキル基準、適性、面接を要件としている。
 逆に、総合営業職から講師職への転換も可能としているが、給与が下がることもあり、実績はまだない。
 なお、正社員から短時間正社員制度への転換については、特に要件は設けていない。

4.制度導入時の労使コミュニケーションをどのように行ったか

 短時間制度導入時には、全体会議の中の一つの議題として、従業員説明会を開催した。
 例えば、6時間、4時間の短時間制度を適用した場合の給料の変更点等を説明し、従業員一人ひとりの納得を得た。
 講師職については、入社前の会社説明会、入社時の講師職における契約時に、「講師職」という職種限定の制度の内容、将来のキャリアアップの機会について説明している。

5.工夫点

 この制度に限らず、人事制度については従業員の提案や希望をきっかけに、その内容を制度化することを重視している。この点は同社の強みであり、社内外ともに多大な評価を得ている。
 一例を挙げると、出産のため産休・育休の取得を希望する従業員がいた。その従業員はテレワーク勤務で最初は短時間勤務とし、育児が落ち着いた段階で通常のフルタイム勤務に戻ることを希望していた。そこで、社内で検討した結果、当人の希望通りテレワーク制度を新たに導入し、適用することとした。

6.現在の活用状況

 現在は、総合営業職が15名、講師職が20名ほどである。その他、パート・アルバイトが約400名在籍している。
 講師職から総合営業職に転換した従業員もいる状況である。
 一方、短時間正社員制度については、2名適用した実績がある。
 また、夫の転勤に同行したことにより、京都と青森でテレワーク勤務をしているパート従業員もいる。居住地が変わったとはいえ、結果的に会社命令の転勤をすることはないので、パートではあるものの、地域限定的な運用となっている。

7.制度導入による効果

 従業員の満足度が向上したと実感している。
 例えば、パート・アルバイトの講師職の従業員のなかには、「正社員にはなりたいが、自分がやりたいのは営業的な仕事ではない」という従業員も多数おり、こうした従業員の要望に応えている面がある。
 また、夫の転勤により退職を検討していた従業員が、転勤先でのテレワーク勤務が可能となったことにより継続勤務できるようになり、優秀な従業員の離職防止および定着率向上に寄与していると考えている。
 また、新卒採用においても、こうした職種限定制度を導入していることは、応募者から好評であり、採用面でもプラスに働いている。

8.今後の取組

 現在、同社では仙台市に全ての教室があるが、ある女性従業員が結婚し、その後、夫の転勤により石巻市に引っ越すことになった事例があった。石巻から仙台へは片道約2時間かかることから、その女性従業員は短時間正社員を選択したが、その後仙台に戻ることとなり、現在はフルタイムで勤務し活躍している。
 会社としても、優秀な従業員が、夫の転勤を理由として退職することなく、継続して勤務してもらえることはありがたいと考えている。
 この短時間正社員制度に限らず、今後、さまざまな事情が生じる可能性もあり、それに伴い多様な働き方が求められると考えている。
 したがって、会社に相談しやすい体制を維持するとともに、社員の提案をしっかり反映し、会社でさまざまな制度を柔軟に設計するといったこれまでの流れを継続し、適切に対応していく方針である。