株式会社 エグゼクティブ
「働くのに場所も時間も関係なし!」 フルリモート勤務かつ社員が勤務時間・
勤務日数を選択できるフリー正社員制度を導入
<企業概略>
会社設立年 | 平成14年(2002)1月28日 |
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本社所在地 | 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町1-6-5 丸彦ビル4F |
業種 | 営業代行業、営業支援業 |
従業員数 | 33名 |
資本金 | 10,000,000円 |
<沿革>
平成14年01月 | 東京都国分寺にて創業 |
平成14年04月 | 営業アウトソーシング事業開始 |
平成22年07月 | 営業管理システム「RE-CH!」開発/特許取得 |
平成23年04月 | 業務拡大の為、中央区日本橋人形町に移転 |
平成28年04月 | サービス提供累計1,000社突破 |
令和01年05月 | 「中央区ワーク・ライフ・バランス推進企業」認定 |
令和01年05月 | 社内コミュニケーションのオンライン化 |
令和01年12月 | 「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2019」受賞 |
令和02年07月 | 完全在宅(フルリモート)勤務開始 |
令和02年08月 | オフィスをカフェ風に改造「こみゅフェス」オープン |
令和03年02月 | 令和2年度「東京都女性活躍推進大賞」産業分野にて特別賞受賞 |
令和03年03月 | 第1回「TOKYOテレワークアワード」推進賞を受賞 |
令和03年11月 | 総務省 令和3年度「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」受賞 |
令和04年01月 | 会社創立20周年を迎える |
令和04年12月 | 5年連続「がんアライ宣言・アワード」シルバー賞受賞 |
令和04年12月 | 「東京ライフ・ワーク・バランス」認定 |
令和04年12月 | 第23 回「テレワーク推進賞」テレワーク実践部門優秀賞受賞 |
<企業概要>
日本国内、海外を問わず、有名大手企業から技術力の高い中小企業まで幅広い顧客の営業を支援する。これまで日本を代表するシステム開発、コンサルティング、広告、工場で使う産業機材メーカー、Web制作会社など、様々な業界で活躍する1,000社以上の企業の営業代行の実績がある。
働き方の面では「働くのに場所も時間も関係なし!」というNLPT宣言を行っており、フルリモート勤務かつ社員が勤務時間・勤務日数を選択できるフリー正社員制度を設けている。
1.制度の概要
同社では「働くのに場所も時間も関係なし!」というNLPT宣言を社内外に向け宣言しており、何か事情があっても、働きたい人が自由に働ける環境を作っている。
2013年より在宅勤務可能な体制であったが、2020年7月からは全社で完全在宅勤務(フルリモート)化を実現。
加えて、社員が勤務時間・勤務日数を自由に選択できるフリー正社員制度を設けている。
勤務時間は平日9:00〜18:00の間で社員自身が選択する。
短時間勤務は、1日6時間、7時間勤務などを基本としている。また、週3日、週4日の働き方も認めている。短時間勤務と勤務日数の短縮を併用することも可能である。特に理由は問わず、勤務時間及び勤務日数の選択を認めている。
2.制度導入のきっかけ・背景
従来はフルタイム社員が多い状況であった。あるとき、パートタイマーが営業職として入社してきたが、そのパートタイマーは子供の事情があることから、フルタイム勤務はできなかった。一方で、そのパートタイマーはとても優秀で、顧客から高い評判を得ていた。こうしたことから、勤務時間は短くても適切に成果を出せば、顧客からの期待に応えられることを会社として把握することができた。
社員の構成は9割が女性であり、小さい子供がいる女性社員も多く存在しているが、中には介護等の事情を抱えている社員もいる。社長は、「育児・介護・妊娠・妊活・居住地等が原因で働く意欲及び能力を有しているにも関わらず働くことができないのはおかしい」という想いを有していた。
そこで、会社として、「時間と場所に関係なく能力を発揮できる制度が構築できないか」と考え、長期間にわたる改善を積み重ね、現在のフリー正社員制度の導入に至った。
3.制度導入の内容
①処遇
基本給と職能給を設けている。職能給は年2回の評価によって支給額を変更する賃金であり、社員毎に支給額が異なる。基本給及び職能給については時間比例で支給額を調整している。
②昇給・昇格
勤務時間を理由とした差は設けていない。
③教育訓練
勤務時間を理由とした差は設けていない。
④転換制度
賃金計算期間締切日(毎月15日)の翌日から転換可能としている。転換の相談は早めに行うよう留意してもらっているが、基本的に転換の申し込み時期は自由としている。
また、例えば、フルタイムから短時間に転換後、再度フルタイムに戻ることを希望する場合も、賃金計算期間締切日(毎月15日)の翌日から転換可能としている。
4.導入時の労使コミュニケーションをどのように行ったか
これまで社員から様々な相談を受ける中で制度を作り上げていった経緯がある。また、社長と社員が直接面談をする機会を3か月に1回、30分程度設けている。そうした機会を通じて、様々な社員の意見を制度設計の参考にしている。
また、社員が勤務時間・勤務日数を自由に選択できる制度を「フリー正社員制度」と呼んでいるが、この「フリー正社員制度」という呼称を使用して、社員への説明、社内のイントラへの掲載、社外への紹介等を行っている。その上で、様々な相談ができる体制(人事、先輩社員等)を設けている。
5.工夫点
社員の様々な意見を集約してまとめ上げることに苦労した。例えば、転換した場合、同じ給与テーブルで働けるような仕組みの構築である。転換してもキャリアが断絶しないように工夫した。
6.現在の活用状況
社員の中には、入社時からフルタイム勤務を継続していたり、全社がテレワーク勤務に転換したことをきっかけに短時間勤務からフルタイム勤務に転換し、その後さらに短時間勤務に戻るというケースも出てきている。
7.制度導入による効果
テレワークを導入していることも理由の一つであるが、全国各地から営業を希望する優秀な社員の採用につながっている。
また、社員が引っ越しをする等、社員の生活環境に変化が生じることがある。こうした場合、例えば、当初は働き方を少し抑えながら、子供が新しい生活環境に慣れてきてから勤務時間を増やすケースも生じている。このため、社員が妊娠、出産、子育て、介護等を理由として「辞めなきゃいけない」という考えに陥らなくなった。
また、フリー正社員制度の効果として、社員の働き方の選択肢が広がったことに留まらず、やりがいのある仕事ができるとともに、社員自身が自分の頑張りを実感できるようにもなった。さらに、助け合いの風土が醸成され、コミュニケーションの円滑化及びモチベーションの向上も図れている。
現在、女性の産休育休後の復職率は100%である。中には、働きながら通信制大学への通学、ボランティア、地域活動をするケースも出てきており、社員の自己実現も図れている。
実際に社員からも「大好きな仕事を諦めずにやることができる」、「自分の居場所があると思える」、「誰々のママではなく、ちゃんと自分として働けている」、「時間が短かったとしてもちゃんと評価が得られる」、「家族との時間も持てて幸福度が上がった」といった前向きな意見が出ている。
そして、フルタイム勤務社員でなければ責任のある仕事を任せないという考えは全くなくなっているため、例えば、短時間勤務や勤務日数が短い勤務形態であっても、プロジェクトリーダーとしての重要な役割を担う社員が数多く出てきている。
8.その他の取組
・D-LIGHT制度
完全在宅勤務やフリー正社員制度を成り立たせるための評価制度として、D-LIGHT制度がある。これは顧客から期待されることや自社の業務内容などを詳細に分析し、評価制度に反映させたもので、在職年数や勤務体系に依存せず、クライントの喜び値で給与が決定する制度である。
給与には大きく分けて、1.基本給 2.職能給 3.特別給の3種類があり、自身の給与については自社開発の管理システム「RE-CH!」内で確認することができ、次の目標値も記載されている。
・プロジェクトリーダー制度
複数の勤務形態の社員でプロジェクトを成功させるには、社員一人ひとりの意識と協力が大切になる。
プロジェクト制では、一人の社員が複数のプロジェクトを兼任。あるプロジェクトではリーダーの人が、別のプロジェクトではメンバーとして参加するなど、プロジェクトごとにポジションが変化する。一人の社員が同時に様々な立場を経験することにより、視野が広がり、協力体制が強まった。
年功序列ではないため、社歴にかかわらずプロジェクトリーダーに立候補でき、自らが進んで業務に向かう姿勢がさらに強く見られるようになった。