株式会社高速

転勤範囲を社員が自ら選択できるようにすることで、自身のライフプランやキャリアプランを自律的に考える機会を創出

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<企業概略>

会社設立年 1966年
本社所在地 宮城県仙台市宮城野区扇町七丁目4番20号
業種 卸売業
従業員数 1,635名(2022年3月31日現在)
(正社員:男性428人、女性241人/非正規社員:男性382人、女性584人)
資本金 1,690,450千円(2022年3月31日現在)
売上高 91,817,782千円(2021年度連結)

<企業概要>

 国内でトレー等食品軽包装資材の卸売業を営む。取扱商品は弁当容器やラミネート袋など140,000点以上にのぼり、業界シェアはトップとなっている。
 また、食品軽包装資材の提供だけでなく、顧客からの様々なニーズに応えるべく、グループ企業と連携し食品に合う新しい包装商品の提案や食品小売店の売場レイアウト等の企画も行っている。
 国内に52の拠点(グループ企業合計で75拠点)を配置しており、全国的に事業展開を行っている。障がい者雇用にも力を入れている。

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1.地域限定正社員制度の概要

 地域限定正社員制度の適用対象は、営業職のみになり、転勤区分として「エリア内転勤(2エリア選択と1エリア選択)」と「居住地限定」に分かれる。
 限定社員に関しては、入社時においては「北海道エリア」「北関東エリア」「南関東エリア」など8つのエリアから1つのエリアを選択でき、3年目からは1エリアか2エリアかも選択できるようになる。居住地限定社員では転居を伴う転勤はない。

株式会社高速_03_転勤・選択の範囲、その詳細

エリア

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2.制度導入のきっかけ・背景

 営業職に関しては全国転勤の可能性のある社員と、当該営業所のみに勤務する社員という2通りの採用パターンがあったがいくつか問題があった。①給与に差がある、②区分の変更ができない、③全国転勤のある社員には一時的に勤務地限定をする対応もあったが制度化されていないことから、そういった対応があることを知らないまま退職に至ってしまった可能性があった。
 こうした背景の中、社長自らの発案による全社的な意識調査の結果(2014年実施)、人事上の慣行であった地域限定的な働き方を正式に制度として導入するに至った。

3.制度の内容

①概要

 本人の希望に応じてエリアを選択し、「エリア内で転勤がある」、転居が生じない範囲での勤務となる「居住地限定」の2つがある。
 選択する転勤範囲に応じて、家賃補助に相当する職種別手当を支給する。
 転勤の負担を考慮する一方、さまざまな地域で経験を積み、キャリアアップにつなげてもらいたいとの考えから、転勤範囲が広いほど優遇される仕組みとなっている。勤務年数による手当の減額もなく、住む物件に制約もないため、個々のライフスタイルにあう環境で、キャリアアップを実現できる。
 入社後は年に一度、希望する転勤範囲の確認を行い転勤区分(範囲)の拡大・縮小ができる。
 また、2024年新卒からはエリア限定採用を開始する。

②処遇

 基本給については社員区分に関わらず共通の給与表を用いるが、勤務地域の物価に応じて変動する「地域手当」、住宅手当としての性格を持ち、社員区分に応じて金額が変動する「職種別手当」がある

職種別手当

株式会社高速_05_職種別手当

※居住地限定を選択の場合、職種別手当の支給はない

③昇給・昇格

 選択する転勤区分によって昇格などのキャリアアップに差はつかない。実際にエリア限定の働き方で拠点長となっている社員もいる。

④教育訓練

 転勤範囲の違いによる差はなし

⑤転換制度

 入社2年後から変更可能。その後、1年ごとに希望を確認。
 基本的に従業員の希望を叶える形で運用しているが、顧客との関係や育成計画、他の社員の配置への影響もあるため、あまり頻繁に変更をすることは推奨しておらず、ライフプランに合わせて変更をする社員が多い。

4.工夫点/制度導入に関する労使コミュニケーション

 制度浸透のために、採用活動時および内定時や入社時の研修などでは、営業所向けに詳細の説明を繰り返し行っている。また、転勤範囲を変えた社員には人事部長が直接話を聞くなど、丁寧なコミュニケーションを行っている。勤務地を選択できる取組を行っていることや本社の立地などを考慮し、コロナ禍の前から採用時にもオンラインでの採用活動の準備を進めていた。オンラインでの採用活動を本格化させたことから、関東の学生からの応募も増加した。

5.制度導入による効果

 制度導入前の給与制度では、居住地域に応じて支給される住宅手当について、年齢とともに減額される仕組みになっていたが、制度を導入することにより、住宅手当の仕組みが改善され、退職を取りやめたとの話もあり、人材の定着に繋がっている。
 業務面においては、地域に密着した働き方となることで、地域の特徴や商品ニーズを深く把握できるようになり、地域のニーズを踏まえた企画・提案の質の向上に効果が出ている。
 人材採用においては、社員複数名から「地域限定的な働き方の存在が応募のきっかけとなった」という声があった。地域限定正社員制度の存在が人材確保につながっていると考えられる。

6.他の「多様な働き方」制度について

・育メン休暇

 男性社員にも育児の大変さを知ってもらうことを目的に、配偶者の出産から5日間連続休暇を取得することを義務付けている(2023年4月より導入)。5日としているのはご家庭の事情や状況も考慮し、まずは「育児の大変さを知ってもらうこと」に主眼を置いているため。

・管理職層にマネジメントコースとプロフェッショナルコースを設定

 管理職層の職員に対して、部署のマネジメント等を行うマネジメントコースと、マネジメントは行わずに専門性を発揮して貢献するプロフェッショナルコースを設定。本人の適性に応じて会社が決定する。

キャリアパス

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