住友ゴム工業株式会社

継続的に国内工場を支える人材確保を目的とし、これまで転勤ありが前提だった企画技術職コース(総合職)を拡充し、地域限定総合職制度を導入

住友ゴム工業株式会社_01_本社、研究開発拠点外観

<企業概略>

会社設立年 1917年
本社所在地 兵庫県神戸市中央区脇浜町3-6-9
業種 製造業
従業員数 7,371名(連結ベース39,298名)※2020年末現在
資本金 426億5800万円
売上収益 7,908億円(2020年12月期 (IFRS))

PDFデータ

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<沿革>

1909年 英国ダンロップ社によりわが国初の近代的ゴム工場として創業
1913年 自動車用タイヤの生産開始。国産第1号タイヤ誕生
1917年 ダンロップ護謨(極東)株式会社を設立(英国ダンロップ社が出資)
1960年 住友電工、住友商事が資本参加
1963年 日本側の出資比率が50%を超え、「住友ゴム工業株式会社」に社名変更

<概要>

 「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる」を同社の「存在意義(Purpose)」とし、独自のゴム技術を活かしてタイヤ・スポーツ・産業品事業を軸に事業展開を行っている。

 近年、グローバルに構築を進めてきた開発・生産・販売体制を基に、企業の経済的価値と社会的価値をともに高めていくため、2020年2月に発表した2025年までの新中期計画では、3つのバリュードライバーとして「高機能商品の開発・増販」「新たな価値の創出」「ESG経営の推進」に注力している。

1.同社人事制度(コース別人事制度について)

 役割をコース毎に明確にし、能力の開発、活用、評価を行い、それぞれに応じた処遇を行うことを目的に「コース別人事制度」を採用している。

住友ゴム工業株式会社_02_同社人事制度(コース別人事制度)

2.多様な正社員制度(地域限定総合職)について

 同社では、前項、企画技術職コース(総合職)を拡充する形で、2018年より、地域限定総合職制度を導入した。

(1)制度の概要

 上記表4コースのうち、企画技術職コースは転勤ありが前提となっている中で、その他のコースは拠点ごとに採用が行われ勤務地も限定されている。地域限定総合職は転勤を伴う職種であった企画技術職コースの中に新たな枠として設けられた地域限定の制度である。

(2)制度導入のきっかけ

 同社は、2011年までは3拠点のみであった海外タイヤ工場を、2012年以降、トルコ、ブラジル等に工場を新設、南アフリカと米国にあったタイヤ製造拠点を買収し獲得するなど、海外での生産拠点を拡大している。これに伴い、国内工場の技術系人材が海外工場の立ち上げやサポートのために駐在や出張する機会が増えたと同時に、国内工場で中長期的に継続して勤務できる人材の確保も必要となった。

 これらの状況から、中長期的に工場を支える、高い技術やノウハウを持った優秀なスタッフを確保するために、「地域限定総合職」制度を設けることとした。

(3)現在の活用状況

 同社の国内工場は白河工場(福島県)、名古屋工場(愛知県)、宮崎工場(宮崎県)等、合計6拠点あり、同制度を活用する地域限定総合職社員は制度開始後増えつつある。国内工場近辺の大学や高等専門学校(高専)出身者を中心に新卒採用で配属される他、工場近辺出身者で首都圏等において勤務後、Uターンをする者をキャリア採用として配属される例もある。

<制度活用者の人数>
2019年4月 新卒入社1名
2019年7月 キャリア入社1名
2020年1月 キャリア入社1名
2020年6月 キャリア入社1名

3.制度導入によっての効果

 国内工場における技術系人材は、国内工場の生産技術や品質管理、設備管理等において大切な役割を担っており、転勤は希望しないものの、高い専門知識や技術を活かして幅広くキャリアステップを志向する人材の確保に繋がっている。
 また、制度導入によって、各工場が立地する周辺の大学や高専とのネットワークの強化に繋がっている側面もある。採用にあたっては、大学や高専の教授、就職担当者とのネットワーク作りによって、地元の高専生のインターンシップの受け入れを行っている場合もあるなど、地域限定総合職制度が周辺地域と工場とを結ぶ絆としても活かされている。

4.活躍する社員の声(同社 宮崎工場 生産技術課 北村 啓介さん)

 インタビューに応じられた北村さんは、2019年7月にキャリア採用で入社、宮崎工場に勤務する勤務地限定総合職社員である。

(インタビュアー)
制度を利用したきっかけはなんですか?
(北村さん)
 前の会社では全国転勤ありの総合職で12年ほど勤務しており、転勤も何度か経験しました。最初は転勤に抵抗はなかったのですが、結婚し子どもが生まれるなどライフスタイルが変化したことや、電車通勤で帰りが遅くなることも多く、子どもの顔を見られない日もあり、淋しいと思うようになりました。
 子どもと妻のことを考えたとき、妻も私も宮崎県出身ということもありまして、Uターンも選択肢として考えるようになりました。地元に戻れるという一方で、前職の経験が活かせると思ったことも大きかったと考えています。

(インタビュアー)
制度を利用したことによるメリットはありますか?
(北村さん)
 今は近くに両親がいますので、妻が一番助かっていると思います。私としても家庭が安定すれば仕事に身が入ります。
 それに私はもともと田舎育ちですので、庭でバーベキューをしたり、公園で遊ぶなど、地元に戻ってからできるようになったのは嬉しいことです。総合職としての幅広い業務に携わりながらも転勤がないという勤務形態は、これまでのキャリアを活かしつつマイホームといった生活拠点も確保できるという点でメリットが大きいと感じています。
 また、自身の担当している生産技術という仕事は、安定した品質を維持するために、設計部門や技術開発部門と製造現場とを繋ぐ責任の重い仕事であり、やりがいを感じています。
 仕事とプライベートの両立、家族のことを含めて落ち着いて生活に取り組めるようになったと感じています。