丸文通商株式会社
地域限定総合職制度の導入により、社員のキャリアアップを後押しするとともに、人材の確保・定着を図る
会社設立年 | 1961年(創業:1948年) |
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本社所在地 | 〒920-0385 石川県金沢市松島1丁目40番地 |
業種 | 卸売業 |
正社員数 | 263名(男性200名、女性63名) |
非正規雇用労働者数 | 50名(男性37名、女性13名) |
資本金 | 1億円 |
売上高 | 262億円(2020年3月期) |
沿革
1844年 |
東京都日本橋にて、初代堀越角次郎が創業 屋号を丸文と称する |
1948年 | 金沢出張所を開設、理化・化学機器の取扱いを開始 |
1955年 | 医用機器の取扱いを開始 |
1961年 | 金沢支店を分離し、丸文金沢株式会社を設立 |
1979年 | 半導体の取扱いを開始 |
1984年 | 社名を丸文通商株式会社に改称、TQC活動開始 |
1992年 | 本社社屋を新築移転 |
2000年 | 丸文メディカル株式会社との事業統合により、松本支店・長野営業所を開設 |
2001年 | 丸文株式会社 東京証券市場1部上場 |
2017年 | 株式会社池田医療電機(新潟市)との事業統合により新潟支店を開設。 |
2019年 | 株式会社北信理化(長野市)との事業統合により長野営業所を長野支店に昇格。 |
2020年 | 会社設立60周年 |
1.社員体系
当社の社員体系は、付表1「社員体系」のとおりである。正社員のうち、総合職は主に企画や管理業務等の基幹的な業務を担い、一般職は、異動がなく定型的業務に従事する。
非正規雇用労働者は3つに分かれており、嘱託社員は60歳から65歳までの定年後再雇用、特別社員はフルタイムの有期雇用労働者、臨時社員は無期・有期雇用のパートタイム労働者である。
付表1 社員体系
2.「多様な正社員」制度について
当社では、勤務地限定正社員制度を導入しており、当社の雇用管理区分では、一般職と地域限定総合職がこれに該当する。
(1)制度の概要
地域限定総合職は、石川に2か所、長野に2か所、富山、福井、新潟、山梨、東京にそれぞれ1か所ある事業所のうち、希望する都県の事業所で勤務することができる。従事する職務の内容や責任は総合職と同じである。
(2)制度導入のきっかけ
一般職の担う職務の範囲を拡げ、転居を伴う異動ができなくてもキャリアアップできる制度を導入することで、社員のモチベーションアップと会社全体の業務効率や生産性の向上につなげたいという思いから地域限定総合職を導入した。
同時に、転勤の心配をすることなく働き続けられる制度を導入することで、人材の確保を図る狙いもあった。
(3)総合職と地域限定総合職、一般職の待遇の違いや昇進について
付表2「正社員の待遇と昇進について」にあるとおり、基本給は、総合職と勤務地限定総合職、一般職の間で転勤の有無や職務の違いにより差を設けており、賃金テーブルも異なっている。
役職手当については、課長以上の役職に就く社員に支給されるため、課長に就く可能性のある総合職と地域限定総合職が対象となる。一般職は、勤続年数によって初級、中級、上級と分かれているが、課長以上の役職に就くことはないため役職手当の支給はない。
賞与、退職金については、全ての正社員に支給するが、人事評価や役割ポイントをもとに算定される。
付表2 正社員の待遇と昇進について
(4)制度導入における課題と工夫点
制度の導入について社内に周知したところ、総合職と地域限定総合職、一般職それぞれの職務の違いが分からず、制度を利用するかどうか選択できない社員が出てきた。このため、地域限定総合職と一般職については、職務の内容も負う責任も違うことについて社員向けの説明会を開催することにより、社員の理解を促していった。同時に自身のキャリア形成のため積極的な職掌転換を推奨してきた。
(5)雇用管理区分転換ルール
一般職から地域限定総合職に転換できるのは、少なくとも5年以上一般職としての経験を積んでいる社員であり、地域限定総合職から総合職に転換する場合には、誰でも申請が可能である。尚、一般職、地域限定総合職とも上司の推薦、論文試験、面接、プレゼンテーションを経て転換する。
一方、総合職から地域限定総合職、地域限定総合職から一般職への転換については、申出のみで転換することができる。
雇用管理区分の転換を希望する社員は、毎年11月に申請し、転換ができる場合には翌年度の4月から転換する。
(6)取組の結果について
地域限定総合職制度の導入により、新卒・中途採用ともに転勤に消極的な人材やUターン就職希望者の応募が増加した。
一般職から地域限定総合職に転換した社員については、職務の幅が広がり、また、責任ある業務を担うことにより、社員のライフスタイルを大きく変えることなくキャリア形成を図ることができるようになった。
3.他の「多様な働き方」制度について
・フルフレックス制度の導入
当社の1日の所定労働時間は7時間30分であるが、コアタイムなしで、1ヶ月単位で就業時間の管理を行なうフルフレックス制度を導入しており、現在は技術職にのみ適用している。
病院機器のメンテナンスを行う技術職は、業務の性質上、土日や夜間に勤務することが多いため、負担軽減と勤怠管理の明確化を目的として制度化した。
・育児時短制度
小学校就学始期までの子を養育する社員に短時間勤務を認めている。
他にも、健康診断のオプション診断の全額補助、積立有給制度、資格奨励金制度等を導入しており、これらの制度は、正社員だけでなく非正規雇用社員も利用することができる。
4.今後の課題
少子高齢化の中で、現在導入している制度以外にも、高齢者の雇用促進のための新たな制度の創設等、多様な働き方を実現する必要性を感じている。
例えば今後、労働者から「仕事もプライベートも充実したい」という要望が寄せられることも考えられる。基本はフルタイムであるが週に数日は短時間で働けるような選択制の制度等も検討したいと考えている。