日本マクドナルド株式会社

貴社は、どんな会社ですか?

当社は、全国でハンバーガー・レストラン・チェーンの経営並びにそれに付帯する一切の事業を運営しています。

総店舗数は、約3100店舗です(2014年12月時点)。このうち約7割の店舗はフランチャイズ、約3割が直営店としての展開です。

従業員(本社、直営店)は、連結で2750名(2014年12月時点)です。

女性は、従業員の約3割を占めています。管理職に占める女性の割合は、18.8%(本社、直営店、2014年12月)に達しています。

短時間正社員制度の導入・実施状況は?

1999年に、1歳に満たない子どもがいる従業員を対象に、育児短時間勤務制度を導入しました。その後、2004年に対象を未就学児まで引き上げ、さらに2005年からは、子どもが12歳まで制度の利用を可能にしました。

現在、育児短時間勤務制度を利用している従業員の数は、女性が91名、男性は1名(2014年12月時点)です。育児休業については、男性の取得者が2010年以降4名おります。

制度利用者の内、80名が店舗勤務で、12名がオフィス勤務者(営業スタッフ含む)です(2014年12月時点)。

育児中の社員の数は、育児短時間勤務制度の利用者より、さらに多いと思われます。育児中の社員の中には、育児短時間勤務制度を活用せずにフレックス勤務を利用し、子育てとの両立を図っている人も多くいます。

看護短時間日勤務(看護・介護事由)は、配偶者、子ども、両親、祖父母、孫、同居の兄弟姉妹の看護・介護を理由に、1日最大2時間まで時間短縮が可能な制度ですが、利用実績は、これまでのところありません。

制度を導入した背景や経緯は?

当社は、多様性の発揮により1人1人の強みを活かし、真のエクセレントカンパニーを実現するため、ダイバーシティ活動を推進しています。その一環として、社員の育児と仕事の両立を支援し、ワーク・ライフ・バランスを図るために、一連の制度を整備してきました。

看護・介護を事由とする短時間勤務制度についても、ダイバーシティ活動を推進していく中で、様々な家庭環境に配慮して導入しています。

仕事優先ではなく本人優先で、「この仕事をその人にどう遂行してもらうか」という視点でマネジメントを行っているのが当然の特徴です。

制度の概要を教えてください。

(1)対象者は?(職業形態、役職、等)
フルタイムで採用された正社員であれば、店舗勤務者を含め、全ての職種を対象としています。もちろん管理職が利用することも可能です。

育児短時間勤務制度については、未就学児および小学在中の子どものいる母親・父親が対象です。

看護短時間勤務制度については、勤続1年未満を除く社員で、配偶者、両親、祖父母、孫、同居の兄弟姉妹の傷病のために、勤務時間を短縮する必要のある者が利用できます。自身の子どもを対象とする場合は、入社6か月以降から取得可能です。看護事由の場合、病院の証明があれば、対象者が介護にいたらない場合にも適用されます。介護事由の場合は、介護の必要を医師より認められた要介護者がいる人であれば取得可能です。

(2)利用目的は?
育児目的と、看護・介護目的について利用を認めています。

(3)勤務時間や日数は?
育児目的では、30分単位で1日最大3時間まで時間短縮が可能です。始業・就業の時間は、本人の都合に応じて自由に設定できます。看護・介護目的では、一日最大2時間まで短縮が可能です。

(4)短時間正社員として就業可能な期間は?
育児目的では、子どもが12歳までです。

看護・介護目的では、対象家族1人につき在籍期間中、看護短時間勤務は3回、介護休業は93回、期間は併せて通算1年を限度としています。

(5)賃金や評価はどのようにしていますか?
賃金:基本給を短縮した時間に比例し控除しています。

賞与・社会保険:基本給の時間比例分の控除以外は、通常の計算式にしたがった支給となります。

評価:PDS(Performance Development System)という評価制度を運用しています。制度利用者については、短時間勤務を考慮した仕事内容・分量で目標を設定し、その目標に対する達成率で評価しているので、時間が短いという理由で評価が下がることはありません。

(6)そのほか、貴社の制度に特徴があれば。
短時間勤務制度の利用者の中には、併せて在宅勤務制度を活用している社員も多くおります。

その他、タイバーシティ意識調査(年1回)、ダイバーシティスコアカード(年4回、女性社員/管理職比率、残業時間や休暇所得状況などダイバーシティ推進に必要な指標一覧)の作成と社内への配信をおこなうことで、全社でダイバーシティ推進のPDCAサイクルを円滑に回せるようにしております。
また、JWLN(Japan Women’s Leadership Network)という女性の活躍を推進するためのプロジェクトチームがあります。公募により全社各部から成るメンバーが中心となり、ネットワーキングや啓発をおこなっています。女性雇用を促進し、女性の能力を活かしていくことを目的とするグローバルなマクドナルドでの取組です。

JWLNの取組では、年に1・2回、女性店長とエリアマネージャー(男女)を集めて、女性の活躍事例を紹介し、フランチャイズも含めて担当エリアに活かしていく機会を設けています。その他にも、女性店長や上司である男性社員を集めたセミナーの開催などを行っています。昨今では、上述の意識調査により、ダイバーシティ推進、女性活躍推進にあたって、ワークライフバランス推進も全社をあげて取り組むべき課題であることが明らかになり、昨今では男女問わずワークライフバランスをテーマとしたワークショップの開催なども企画しております。

制度の導入や運用にあたっての課題・問題は?

短時間勤務だけではなく、その他の在宅勤務や、フレックス勤務を組み合わせ、各社員にとって最適な勤務形態を実現していくことが課題と考えています。

制度導入でどんな効果やメリットがありましたか?

短時間勤務者の業務は、制度利用前と同様の業務について、短時間を考慮した上で、業務量を調整し担当しています。制度利用者は、「制度を活用しているにもかかわらず責任ある仕事を任されている分、恩返しをしなくてはならない」、「限られた時間の中で、ハイパフォーマーとならなくては」といった意識を持って、制度を利用している社員が多いようです。育児や介護で短時間勤務であっても、社員がキャリアアップを諦めてしまうのではなく、かえってモチベーションが高まったり、生産性の向上にもつながっていると感じます。

制度についての今後の方針やお考えは?

社内的な目標として、全ての職位で女性比率を上げていきたいと思います。今後は、より多くの女性、そして女性に限らず介護に従事する社員が、短時間勤務制度を活用する時代となることが予想されますので、女性のみならず様々な背景を抱えた全社員が働きやすい環境を作るための制度として、ブラッシュアップしていく必要があると考えています。

短時間正社員制度の課題は?

短時間正社員制度については現制度での運用を進めていきたいと考えており、制度特有の課題は特にありません。