株式会社大丸松坂屋百貨店

貴社は、どんな会社ですか?

当社は、百貨店事業を営んでおり、非連結会社を含め全国主要都市に19店舗を展開しています。2010年3月、大丸と松坂屋が合併し、J.フロントリテイリング株式会社の100%子会社として誕生いたしました。

短時間正社員制度の導入・実施状況は?

従来型の短時間正社員制度として、育児、介護を事由とする短時間正社員制度を実施しています。加えて、子育て、介護、地域社会への貢献、ボランティア活動、修学・自己啓発、体調面の不備、趣味等シニアライフの充実、などを適用目的とする短時間勤務を可能にする「勤務選択制度」を実施しています。

2015年2月時点の利用者数は、従来型制度では、育児目的144名、介護目的0名。また、「勤務選択制度」で191名です。

制度を導入した背景や経緯は?

ワークライフバランスに対する取り組みニーズが高まる中、複線的勤務システムの強化を図り、自己のキャリアを主体的・自立的・積極的に選択する機会を社員に与えることを目的に、制度の充実を図ってきました。

制度の概要を教えてください。

「※従来型の短時間正社員制度(育児短時間、介護短時間)、勤務選択制度に分けて記載しています。」


Ⅰ.従来型の短時間正社員制度(育児短時間・介護短時間)

(1)対象者は?(就業形態、役職等)

  • ・全てのフルタイム勤務の正社員が対象です。
  • ・正社員の中で特に制限は設けておらず、管理職も制度を利用することができます。実際、管理職で、育児短時間を利用した例もあります。

(2)利用目的は?

  • ・育児または介護を目的に利用可能な制度です。

(3)勤務時間や日数は?

  • ・通常のフルタイム就業の場合、勤務時間帯は9時45分~18時15分、所定労働時間は7時間20分、休憩70分です。
  • ・これに対し、短時間勤務の場合の勤務時間には4パタ-ンあります。
  • ①所定労働時間6時間45分
  • ②所定労働時間6時間
  • ③所定労働時間5時間15分
  • ④所定労働時間5時間
  • ・休憩は、いずれも45分です。
  • ・利用実態としては、大半の者が9時45分(部門によっては9時半)から就業して、早めに帰宅する早番勤務が多くなっています。

(4)短時間正社員として就業可能な期間は?

  • ・育児短時間については、子どもが小学1年生の就学月末日(4月末日)までです。
  • ・介護短時間については、同一介護人(配偶者・父母・子、配偶者の父母、同居かつ扶養している兄弟姉妹・祖父母・孫)に対し、1年以内であれば、連続・分割で取得可能が可能です。

(5)賃金や評価はどのようにしていますか?

  • ・月例給与:基準内給与(役割成果給と調整給)と基準外給与で構成しています。基準内給与は所定労働時間相応分を支給しています。
  • ・賞与:成績査定配分と定額配分で構成しています。査定期間中の所定労働時間相応分を支給しています。
  • ・退職金:ポイント退職金制度を導入しています。短時間勤務期間中のポイントは所定労働時間相応分のポイントを付与しています。
  • ・評価:目標管理制度を導入しています。制度利用者については、時間短縮を考慮した目標を設定し、その達成率で評価をしています。
  • ・一部の部門では個人業績目標を設定していますが、短時間勤務者については、勤務時間に応じた設定をしています。
  • ・短時間勤務の方が能力を発揮しやすい職場や業務などを考慮し、総合的に配置を実施することが必要になります。
  • ・勤務時間を短縮した分だけ賃金が減額されることは、短時間正社員にとって、早く帰ることへの気兼ねを軽減する効果もあるようです。個人目標がある場合も、適用者に対しては個々の目標がオープンになっており、属性に応じた目標値の差も分かるので、周囲の理解は得やすいと思われます。

Ⅱ.「勤務選択制度」(育児・介護およびその他の理由での短時間正社員制度)

(1)対象者は?(就業形態、役職、等)

  • ・フルタイム勤務の従業員全員が対象です。
  • ・介護目的の場合は、被介護者について要介護の医師の診断書がある者を対象とします。
  • ・体調面の不調を理由とする場合は、医師の診断書がある者を対象にします。
  • ・シニアライフの充実・趣味を理由とする場合は、満50歳以上が対象です。

(2)利用目的は?

  • ・子育て、介護、地域社会への貢献、ボランティア活動、修学・自己啓発、体調面の不備、趣味・シニアライフの充実を目的に利用可能な制度です。

(3)勤務時間や日数は?

  • ・勤務は週勤務日数と所定労働時間の組み合わせで決定されます。
  • ①週6日勤務・所定労働時間5、4時間
  • ②週5日勤務・所定労働時間6、5、4時間
  • ③週4日勤務・所定労働時間8時間、7時間20分、6、5時間
  • ④週3日勤務・所定労働時間10、9、8時間、7時間20分、
  • ⑤週2日勤務・所定労働時間10、9時間
  • ・休憩はいずれも原則70分ですが、所定労働時間が5時間未満の場合は、休憩なしを選択することもできます。

(4)短時間正社員として就業可能な期間は?

  • ・育児は、子供の中学入学月の末日までですが、その他(介護を含む)の事由については、当該事由が存在する期間としています

(5)賃金や評価はどのようにしていますか?

  • ・「Ⅰ-(5).従来型の短時間正社員制度」の記載と同様の制度・運用となっています。

制度の導入や運用にあたっての課題・問題は?

制度利用者とフルタイム勤務の社員双方が働きやすい環境を提供し、負担を減らすことが出来るよう、限定された勤務時間に対応して能力発揮が可能な部署へ、制度利用者の異動を行うなどの対応が必要となりました。

制度導入でどんな効果やメリットがありましたか?

妊娠・出産により退職する女性社員が減少しており、人材の定着について、効果を感じています。また、多様な働き方を従業員自身が選択することにより、ワークライフバランスの充実が図れています。

制度についての今後の方針やお考えは?

従来は、短時間勤務者が能力を発揮しやすい部署に異動することにより、制度利用者および周囲それぞれの負担を最小限に抑える配置を行なうことができました。しかし、制度を利用する社員の増加、特に女性正社員については全体の1割超を占めるようになる一方、短時間勤務者が能力を発揮しやすい部署は限定されているため、そうした異動は難しくなる状況もあり、新たな職場や業務を開発する必要性を感じています。

短時間正社員制度の課題は?

短時間勤務者の能力発揮を考慮した配置や時間生産性を高める働き方を引き続き検討していくことが必要と考えています。