NTT東日本関東病院

短時間正社員へ配慮していることは?

短時間正社員のモチベーションアップを狙った一つの施策に看護支援チーム「チームI」の取組があげられます。「I」はimpulse(推進力)の略で、チームは5人の短時間正社員で組成されています。「チームI」の活動におけるキーワードは「つなぐ」「キャリア」「新しい役割の創造」「アピール」の4つです。主な業務内容は、外来受診患者で緊急入院する可能性がある患者を担当することです。チームIのメンバーは医師と連携しながら処置・検査を進めつつ、現病歴や日常生活状況を聴取し、それを診療録へ記載します。「個別の看護介入がスムーズになった」と病棟からも評価されました。チームIのメンバーは、短時間正社員制度を利用している職員のごく一部にすぎませんが、活動内容を看護部内で理解してもらうための取組を通じて、お互いに刺激し合っていると思います。

貴院は、どんな病院ですか?

当院は1952年1月に関東逓信病院として開設されました。専門スタッフによるチーム医療、最新鋭の機器・設備をはじめ、患者さんのアメニティーに十分配慮した新施設は、高度の先進医療を提供する病院として、また、地域の医療連携の中核を担う病院として、「最善の治療を少しでも快適な環境で受けたいと思う共通の願い」を実現する使命を果たすために築き上げてきたものです。現在では病床数約600床、一日の平均外来患者数は2000名を超え、年間の手術件数も5600件以上を実施するまでに発展してきました。

2020年8月現在で常勤職員数合計が1345名となっており、そのうち看護師が776名を占めています。

短時間正社員制度の導入・実施状況は?

20年以上前から、育児目的の短時間正社員制度は存在していました。2007年から組合からの要望や、世の中のワーク・ライフ・バランスの流れなどを踏まえて、利用者ニーズに合った形に改定を加えてきた結果、利用者数は着実に増加しています。

制度を導入した背景や経緯は?

導入は20年以上前になりますが、一定期間だけ短時間で勤務してもらい、育児が一段落したらそれ以前と同じように復帰できるように、円滑に育児と仕事の両立が図れるようにとの狙いがあったものと思われます。

制度の概要を教えてください。

(1) 対象者は?(就業形態、役職等)
・ 原則として全職種、全職員が対象となります。

(2) 利用目的は?
・ 育児目的での利用がほとんどですが、他に心身の健康不全対策等も利用目的として含めています。

(3) 勤務時間や日数は?
・ 時間は4時間、5時間、6時間の中からの選択制です。短時間だけでなく、短日という選択肢もあります。

(4) 短時間正社員として就業可能な期間は?
・ 2007年の改定で、育児目的の場合は子どもが小学校3年生まで利用できるようになりました。

・ 心身の健康不全の場合は特に制限がありません。

(5) 賃金や評価はどのようにしていますか?
・ 給与、賞与、退職金:基本は労働時間に比例して減額されます。

・ 評価:フルタイムの職員と同様です。

制度の導入や運用にあたっての課題・問題は?

制度利用者が増えていく中で、利用者の意識が二極分化する傾向にあります。一つは、制度をうまく利用しつつ将来のキャリアアップを見据えている人たち。もう一つは自身のキャリアアップをあまり気にしなくなってしまっている人たち。個人の価値観はそれぞれですが、組織の構成員の多くがキャリアアップを意識しないまま日々の業務をこなすだけになってしまうと、組織の活力が弱まっていきます。また、制度利用者以外への負担が増して、不公平感も強まってしまいます。お互い様の意識を持ちつつ、自身のキャリアアップを常に意識しながら制度を利用するよう促していきたいと思います。

制度導入でどんな効果やメリットがありましたか?

看護師の確保や定着には繋がっていると思います。この制度があることで、中堅クラスが抜けてしまうということがなくなり、年齢層の偏りもなくなりました。

制度についての今後の方針やお考えは?

看護師という専門職である以上、常にレベルアップを図っていくことが求められます。ライフステージに応じた働き方をしていける環境を用意することは重要ですが、それだけにとどまらず、各個人のキャリアを中長期でどのように築いていくかをしっかりと考えられる機会を常に与え続けることが重要だと考えています。