社会医療法人天陽会中央病院

短時間正社員へ配慮していることは?

病棟では業務の割り振りを工夫し、他の職員や夜勤者への負担が無いようにしました。一方、短時間正社員制度を利用している職員の中には、夜勤を希望する人もいます。夜勤を希望する職員は可能な日を優先的に配慮していますが、現在は4名が夜勤をしています。また、委員会活動及び研修会は勤務時間内に実施するように病院全体で工夫しています。短時間正社員制度を利用している職員も気兼ねなく参加することで職員のやりがいと責任感に繋がってほしいからです。

※委員会では、短時間正職員者も夫々の役割を持ち、組織の一員としての役割を担ってもらう為の活動を行っています。例えば、医療安全管理委員会の活動は、会議への参加、病棟巡視、新聞作成、集計等の活動があります。

貴院は、どんな病院ですか?

当会の理念は「天の陽のごとく、医療を通じて、地域に永遠に貢献します」であり、基本方針として1.信頼される24時間救急体制、2.医療を通じて地域社会に奉仕、3.新技術と新設備の導入による職場環境の創造、4.患者さんの権利を尊重する医療を掲げています。平成25年に医療法人から社会医療法人へと組織変更を実施し、良質な医療を提供する体制を確立してきました。これからも、安全で質の高い医療と温かな対応を、24時間365日提供できる環境の確保に努力し、真の地域医療を目指していきたいと思います。

2013年4月現在、病床数219床、職員数481名(うち看護師221名)となっております。

短時間正社員制度の導入・実施状況は?

制度が整備されたのは12年前の2001年です。制度の利用目的は育児、子育てが中心であり、2013年は看護師221名に対して短時間正社員制度の利用看護師は19名、8.6%となっています。制度利用の目的は厳しく制限していない為、育児目的の他に 介護、自己啓発、健康不全対策、パートからの転換なども認められています。

制度を導入した背景や経緯は?

実際には20年くらい前からです。明確な制度ではないものの、正社員のままで、短時間で働くということができました。地方の民間病院は人材の確保に常に悩んでいます。看護師を定着させるにはどうすれば良いのかを20年前からずっと考え続けてきました。様々な改善活動を続けてきましたが、その中の一つが短時間正社員制度をきちんとした形で整備することでした。

制度の概要を教えてください。

(1) 対象者は?(就業形態、役職等)
・ 原則として全職種、全職員が対象となります。勤続年数等の制限はありません。

(2) 利用目的は?
・ 育児目的での利用者が大半を占めておりますが、本人が希望すれば介護、自己啓発、健康不全対策、パートタイマーからの転換等の目的に対しても柔軟に対応しています。

(3) 勤務時間や日数は?
・ 週32時間以上の勤務という条件は設けています。シフト(勤務時間)については個人の希望を聞きながら話し合いで決め、現在は6パターン程の勤務形態があります。

(4) 短時間正社員として就業可能な期間は?
・ 育児目的の場合、特に制限はありません。但し、皆お互い様の精神で、小学校3年生くらいまでの場合が多いです。

(5) 賃金や評価はどのようにしていますか?
・ 給与、賞与、退職金:短縮した時間分は控除しています。

評価:フルタイムの職員と同様です。短時間正職員制度を利用していても、評価への影響はありません。

(6) そのほか、貴院の制度に特徴があれば。
・ 制度導入から時間が経っており制度が浸透しているため、周りの理解・協力が得やすく、遠慮せずに制度を利用することができる雰囲気ができています。

制度の導入や運用にあたっての課題・問題は?

利用期間に制限を設けていないので、利用者が増えすぎてしまうと現場のオペレーションが混乱するというおそれはあります。一つの目安は制度の利用者が1割を超えない程度で推移することだと思っています。今のところは10%前後で推移しており、どうにか均衡を保っている状況です。個人のキャリアアップの観点からも、利用期間があまりにも長期化し過ぎると問題もあるので、小学校3年生くらいまでというのは一つの区切りだと思っています。

制度導入でどんな効果やメリットがありましたか?

目に見えて効果があったのは、離職率の低下です。2005年には20%を超えていた離職率が、2009年には8.3%まで低下してきました。

また、当院のこうした取組が広く知れ渡るようになり、一旦、離職した看護師たちが、当院で復帰を果たすという例も増えてきています。

短時間正社員がいることで、業務の効率化は必然的に求められるのですが、ノー残業デーの制度化等とあいまって、看護師の残業時間が減少するといった流れも出てきています。

制度についての今後の方針やお考えは?

当院では、ワーク・ライフ・バランスの実現の一環として短時間正社員制度を整備してきました。短時間正社員制度以外でも「24時間可能な院内保育の整備」や「ノー残業デー」の導入による時間外勤務の短縮化、「資格取得や各種研修参加への支援」等を組み合わせることで、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に寄与しています。今後も、職員にとって働きやすい職場環境を整備していきたいと思います。