株式会社リコー
貴社は、どんな会社ですか?
当社は複合機やプリンタ、遠隔会議システム等のオフィス機器を中心に製品の開発・生産・販売をグローバルに展開する会社です。当社ではダイバーシティの推進とワークライフ・マネジメントの実現を経営戦略として取り組んでおり、一人ひとりがイキイキと働き、チームとして最大のパフォーマンスを発揮できる会社を目指しています。
短時間正社員制度の導入・実施状況は?
育児目的を中心に300名弱の社員が制度を利用し、ワークとライフの両立を実現しています。
制度を導入した背景や経緯は?
リコーでは、育児休業法施行前の1990年に育児短時間勤務を導入し、1996年には介護事由の短時間勤務、2018年には自己啓発・ボランティア・セカンドライフ準備・育児・介護等を事由としたショートワーク制度(短時間勤務または短日数勤務)を導入しています。
まずは育児や介護と両立して働ける環境を作ることを目的として制度導入や意識・風土醸成を行っていましたが、現在ではダイバーシティの推進とワークライフ・マネジメントの実現を目的として、一人ひとりがイキイキと働けるよう、制度の利用状況や社員の実態・ニーズも把握しながら、制度を充実させてきています。
制度の概要を教えてください。
(1) 対象者は?(就業形態、役職等)
・育児・介護短時間については、原則として全ての従業員が利用できます。
・ショートワークについては、入社3年以上の正社員・定年再雇用社員が利用できます。
(2) 利用目的は?
・ 育児短時間、介護短時間は目的限定の制度ですが、ショートワークは、育児・介護・自己啓発・ボランティア・セカンドライフ準備等で利用可能です。
(3) 勤務時間や日数は?
・育児・介護短時間については、5時間・6時間・7時間の3パターンから選択可能です。
・ショートワークについては、6時間・7時間の2パターンから選択可能です。
(4) 短時間正社員として就業可能な期間は?
・育児短時間は子どもが小学校3年生までの間(正社員以外は法定どおり)で、介護短時間は最長3年間まで(法定どおり)となっています。
・ショートワークは期間の制限を設けておりませんが、一定期間毎に利用更新する形です。
(5) 賃金や評価はどのようにしていますか?
・給与、賞与:短縮した時間分は控除しています。
・評価:制度利用が評価において不利にならない仕組みとなっています。
制度の導入や運用にあたっての課題・問題は?
社員の実態やニーズに沿うように、毎年ワークライフ・マネジメントに関する意識調査を実施して、状況把握するようにしています。そして、調査結果を踏まえて、毎年制度の見直しを検討しています。
また、制度の利用・運用にあたっては、利用する社員とそのマネジャーの意識が重要と考えていますので、制度利用者に対しては「両立支援コミュニケーションガイドブック」を、マネジャーに対しては「両立支援コミュニケーションガイドライン」を配布し、継続的な啓発活動を行っています。
育児や介護支援の制度を利用している社員は、職場とコミュニケーションをしっかりと取る必要があります。短時間勤務だからといって周囲が過剰な反応をしてしまうと、ミスコミュニケーションを生んでしまいます。特にマネジャー層には、ガイドラインで、面談の仕方や声掛けの例なども取り上げ、コミュニケーションの改善を図っています。
制度導入でどんな効果やメリットがありましたか?
育児休業からの復職率はほぼ100%を維持しており、育児理由での退職がほぼなくなりました。
その効果もあって、女性の勤続年数が毎年伸長しており、平均勤続年数は2015年に男女逆転し、女性の方が長くなっています。
ショートワークについては、本業以外の活動で新たなインプットや人脈を得たり、スキルアップしたりという形でモチベーションも上がり、リコーでの業務に好影響を与えている社員が出てきています。
制度についての今後の方針やお考えは?
社員の実態やニーズを把握し、制度の充実を図ることを継続していきます。
全社で意識・風土醸成を図りつつ、ワークとライフを両立しながら自律的にパフォーマンス高く働けるような制度を目指して、今後も挑戦し続けていきます。
短時間正社員制度の課題は?
介護短時間は利用実績がまだ少ないですが、今後利用ニーズが増加することが見込まれます。
介護以外にも社員のニーズは多様化していますので、そのニーズをうまく汲み取りながら、制度の見直しなども柔軟に検討していきたいと思います。