取組事例(2023年)
株式会社エス・アイ
基本情報
業種 | IT(ソフトウェア開発) |
---|---|
都道府県 | 兵庫県 |
社員数 (2023/02時点) |
49名 男性:8名 女性:41名(うち65歳以上:4名 障がい者:6名) |
事業概要 | データ入力、集計・加工・分析、スキャニング、バックオフィスサービス、ダイレクトメール、コールセンター、ホームページ制作・保守、ポータルサイトの運営、フライヤー・チラシ制作、販促グッズデザイン |
取組を行った待遇
基本給 | ○ |
---|---|
賞与 | ○ |
手当 | |
退職金 | |
福利厚生 | |
休暇・ 休職制度 |
|
教育訓練 | |
その他 | ○ |
取組のポイント・概要
背景
正社員とパート社員の間に働き方や賃金の格差問題が顕在化
取組
優秀なパート社員の働きやすさ・働きがいを追い求めた結果、正社員・パート社員の雇用区分も廃止した「全員時間給制」と「自由出勤制度」を導入
待遇 | パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する支給状況 | |
---|---|---|
取組前 | 取組後 | |
基本給 | 正社員は月給制、パート社員は時間給制 | 正社員・パート社員の区分をなくし、「全員時間給制」 |
勤務時間 | 正社員は決まった時間での勤務 パート社員は自由出勤制 |
全員自由出勤制度へ移行 |
効果
- ・仕事ベースで時給単価を設定し「見える化」を図っている
- ・スタッフの生産性向上ややりがい・モチベーションの維持・向上にも寄与
- ・ワークシェアを行うことで、自ずと情報共有も活性化
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
- ・正社員の残業をなくすため、出勤日・出勤時間等自由に決めることのできるパートを募集したところ、優秀なパート社員が集まってきた。そのようなパート社員の働きやすさを会社の制度として追求した結果が、現在の「自由出勤制度・全員時間給制度」となっている。
- ・正社員・非正規社員の区分をなくし、「全員時間給制」としたため、雇用区分による待遇や教育機会等に差はなし。
- ・正社員とパート社員が仕事とプライベートとの両立を重視できるように、出退勤時間を柔軟に調整できる「自由出勤制度」を導入。
- ・制度導入時の労使コミュニケーションについては、プロジェクトなど特別な体制での取組ではなく、日々のコミュニケーションや面談の機会にニーズをヒアリングし、制度を検討して、現在の制度になっている。
同社は以下の4つの部門に分かれている。
- ■パンチ部門
データ入力など - ■システム部門
集計、加工、分析、プログラム、システムの開発、スキャニング など - ■コールセンター部門
採用面接の受付、商品質問の受付、ダイレクトメール、コールセンター など - ■ウェブ部門
ホームページ作成、ポータルサイト運営、フライヤーやチラシの制作、販促グッズデザイン など
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細
【取組の全体像】
- ・正社員の残業をなくすため、出勤日・出勤時間等自由に決めることのできるパートを募集したところ、優秀なパート社員が集まってきた。優秀なパート社員はリーダー的存在になっていった。
- ・元々、同社では正社員は月給制、パートタイマーは時間給制としていたが、様々な待遇差による問題を解決するため、まだ「同一労働同一賃金」の概念が一般的ではない頃から、「全員時間給制度」を導入、従業員の意欲向上を図るため実績評価を行い半年毎に個人の実績を基に時間給の見直しを行っている。
- ・同社にはプライベートとの両立を重視される方も多く、柔軟に出退勤時間を調整できる「自由出勤制度」も会社全体に導入し、正社員とパート社員の区別をなくした。
- ・同社では正社員、パートタイマーという区分を撤廃して「全社員時間給制」としており、以下にあげる事項についても、社員の雇用区分による差はない。また、雇用区分を撤廃しているため、時給の水準も元の雇用区分による違いはなく、後述する「ジョブ基準」によって決定している。
同社では定年退職のない「エイジフリー制度」も導入した(現在80歳以上のスタッフが2人在籍)。
【等級制度・人事評価制度】
- ・等級は、ジョブベースでランク付けを行い、人事評価は上司からの評価のみではなく、同僚などからも評価を行う「360度評価」を実施している。
【基本給】
- ・基本給(時給)は、長い時間をかけて人事評価の結果やアンケート調査、職種間の均等・均衡待遇などさまざまな要素を検証・検討して独自の体系を構築。
【キャリア】
- ・時給単価は仕事の内容や難易度・会社への貢献度など「ジョブ基準」で決定・可視化し、情報を共有。「ジョブ基準」は、パンチ部門の実績点数、他部門の136の作業区分に対し18段階の評価点を基本(2023年4月現在)としており、全員の日々の作業内容を「ジョブ基準」にあてたものが累積され、時給単価へと反映される。仕事ベースでのキャリアアップ・チャレンジが収入にリンクした制度となっている。
【賞与】
- ・賞与は、時期を決めた一時金ではなく、毎年の時間給の中に平準化して組み込み、毎月の給与に「前倒し」で反映して支給している。
【退職金】
- ・同社では、「定年」(雇用契約満了)という概念はなく、いつまで働くかは本人の意思で決めている。退職金は、退職時にそれまで働いた期間と総勤務時間数によって支払われる。
【勤務時間】
正社員とパート社員が仕事とプライベートとの両立を重視できるように、出退勤時間を柔軟に調整できる「自由出勤制度」を全員に導入した。
「自由出勤制度」は、出・退勤時間などの勤務時間を個人で自由に設定できる制度。
適用事由の限定もフレックスタイム制度にみられるコアタイムの設定もなく、1日に何度も出勤・退勤が可能、家庭の用事で慌ただしいなどフルタイムで働けない事情などがあるスタッフにとって、理想的な勤務が可能。
<活用例>
- ・8時半頃 子供を送ってから出勤
- ・10時頃 歯医者の診療のため外出(退勤)
- ・10時50分頃 帰社(出勤)
- ・12時頃 昼食のため帰宅(退勤)
- ・13時頃 再び出社(出勤)
- ・15時半頃 子供の迎え(退勤)
- ・16時頃 子供の迎え後に、会社に戻り(出勤)
- ・17時頃まで働いて退勤
取組による効果
- ・時給単価は仕事の内容や難易度・会社への貢献度など「ジョブ基準」で決定し、情報共有しているため、キャリアアップ・チャレンジへのモチベーションを上げる一つの重要な要素となっている。
- ・同社の社員は仕事を会社に押しつけられているのではなく、「自分が働きたい、これだけの収入が欲しい」など、それぞれ自分のキャリアの目標や働き方に対する主体的な考えを持っている。
- ・自身で勤務する時間を主体的に決めていることで、生産性も向上している。
- ・社員の誰もが大切な人とお互いに認め合っている雰囲気もあり、優しい職場になってきていると感じられている。