取組事例(2021年)
ノーベル製菓株式会社
基本情報
業種 | 製造業 |
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都道府県 | 大阪府 |
社員数 (2022/3時点) |
正社員:159名 パートタイム労働者・有期雇用労働者:18名 |
事業概要 | 主に飴菓子の製造、販売を行っており、国内に本社、2工場、5営業所を有する。また、クリーンエナジー事業を行っており、国内4拠点にソーラーシステムを有する。 |
取組を行った待遇
基本給 | |
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賞与 | |
手当 | ○ |
退職金 | ○ |
福利厚生 | |
休暇・ 休職制度 |
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教育訓練 | |
その他 |
取組のポイント・概要
背景
従前より、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇差をあまり設けているという認識があまりなかったが、パートタイム・有期雇用労働法の施行を機に正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇差を整理したところ、一部待遇について見直しの必要性を認識し、制度の改定を実施。
取組
パートタイム労働者・有期雇用労働者を対象に、退職時に寸志を支給。また、正社員と同条件で家族手当の支給を開始。
待遇 | パートタイム労働者・有期雇用労働者への待遇の変化 | |
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取組前 | 取組後 | |
手当 | 通勤手当を支給 | 通勤手当に加え家族手当を支給 |
退職金 | 支給なし | 寸志を支給 |
効果
従業員からの意見は未確認であるが、コロナ禍でも待遇を維持したため、一定程度の従業員満足度の担保につながっていると考える。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
同社では、同一労働同一賃金への対応が求められる前から、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者に待遇差をあまり設けていなかった。また、経営層が「企業は人なり」という考えを持ち、正社員に限らず働きやすい環境を整備する意欲を持っていた。そのため、正社員やパートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇に不満が生じている様子はなく、正社員、パートタイム労働者・有期雇用労働者ともに、一定程度の定着率はあったと感じている。
また、パートタイム労働者・有期雇用労働法が中小企業に適用される前から、パートタイム労働者・有期雇用労働者の退職時に、正社員への退職金支給額に基づいて支給額を算出した寸志を支給する仕組みを導入する等、パートタイム・有期雇用労働者の待遇の改善に取り組んでいた。
しかし、パートタイム労働者・有期雇用労働法の施行を機に、改めて正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者への待遇をそれぞれ整理した結果、一部の待遇については見直しの必要があることを認識し、家族手当の支給対象をパートタイム労働者・有期雇用労働者に拡大することとした。
同社の主な社員タイプは、正社員、嘱託社員、パ―ト社員、契約社員の4区分である。嘱託社員は、60歳から65歳までの定年後再雇用社員である。パート社員は1年契約の短時間勤務、契約社員と嘱託社員は1年契約のフルタイム勤務である。
表 紹介する取組の対象となる社員タイプ
社員タイプ (人数) |
職務内容 | 職務内容・配置の変更範囲 | 均等・均衡待遇 | |
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正社員 (約159名) |
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- | |
パートタイム労働者・ 有期雇用労働者 (16名) |
パート社員 |
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均衡待遇 |
契約社員 |
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均衡待遇 | |
嘱託社員 |
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均衡待遇 |
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善の詳細
【手当について】
家族手当は、健康保険において被扶養者に該当する社員の配偶者及び子供に一定額を支給している。
取組前は、パートタイム労働者・有期雇用労働者が主たる家計の維持者であるケースがなかったため、パート社員、契約社員、嘱託社員を家族手当の支給対象としていなかったが、雇用形態に関わらず世帯の主たる生計維持者であり得ること、被扶養者のいる社員の生活を補助し、安心して働いてもらうという家族手当の性質・目的に鑑みて、正社員と同条件で支給することとした。
【退職金について】
取組前は、パート社員、契約社員、嘱託社員の退職時に手当等を支給していなかったが、退職金を勤続年数に対しての慰労、定年後の資産形成等を目的として支給していたことから、パート社員、契約社員に支給していないことを妥当ではないと判断し、退職時に寸志を支給できるようにした。
パート社員、契約社員の退職時の寸志の支給額は、退職者と同じ勤続年数の正社員の基本金額を参考とし、退職時の勤続年数と退職理由に基づいて算出している。支給額は、退職者と同じ退職理由で同じ勤続年数の正社員が退職する際に支給される退職金の一定割合であり、支給額を一覧化して運用している。
勤続年数に応じた 基本金額 |
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同じ勤続年数の 正社員の基本 金額を参考に 決定 |
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図 パート社員、契約社員への退職金支給のイメージ
取組による効果
コロナ禍においても待遇を維持したため、従業員の満足度の担保や帰属意識の向上につながったと考えている。
取組に関して、従業員から意見を聞いてはいないが全従業員にとって、より働きやすい職場としていくための1ステップとなったと考えている。
待遇に関わらず、採用や働きやすい雰囲気づくりを通じて職場環境の改善には今後も積極的に取り組んでいきたい。
雇用形態に限らず、多様な人材の採用や登用を積極的に実施していく必要があり、そのためにも多様なバックグラウンドを持つ従業員が働きやすい人事制度・職場環境をつくっていく必要があると考えている。