取組事例(2020年)
ジェイアール西日本商事株式会社
基本情報
業種 | 卸売業、小売業 |
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都道府県 | 兵庫県 |
従業員数 (2020年11月時点) |
正社員:137名 パートタイム・有期雇用労働者:39名 |
事業概要 | 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)をはじめ、グループ企業に向けた鉄道資材や建設資材、酒類・飲料・食品など、車両関連資材の販売・調達事業 |
取組を行った待遇
基本給 | |
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賞与 | |
手当 | ○ |
退職金 | |
福利厚生 | ○ |
休暇・ 休職制度 |
○ |
教育訓練 | |
その他 |
取組のポイント・概要
背景
JR西日本から研修等を通じてアドバイスを受けて、待遇差の比較表を作成したところ、正社員との待遇差が明らかになった。職務の内容等を考慮しても、待遇の性質・目的に照らして、待遇差の改善が必要であると判断。人件費に直結する家族手当について、額をどの程度に定めるか等の検討に時間を要した。
待遇 | パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する支給状況 | |
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取組前 | 取組後 | |
家族手当 | 「契約社員」には、家族手当の支給がなかった。 | 「契約社員」の収入によって生計を維持する者に、正社員の半額を支給。この待遇は基本給の減額等を伴わない純粋な増額である。 |
福利厚生 財形貯蓄 |
「シニア社員」は対象外 | 「シニア社員」も対象とした。 |
病気休職 等 |
「契約社員」「シニア社員」「嘱託社員」「パート社員」は対象外 | 「契約社員」「シニア社員」「嘱託社員」「パート社員」についても正社員と同様の基準により対象とした。 |
結婚休暇 等 |
パート社員については、出産休暇以外の特別休暇について対象外。また、出産休暇については無給。 | 「パート社員」についても正社員と同様の基準により対象とした。出産休暇を有給とした。 |
効果
待遇差の比較表を作成することにより、正社員との不合理な待遇差が明らかになり、是正に取り組むことができた。長年の功労者で高齢でもある再雇用者の嘱託社員やシニア社員にこれまで休職制度が無く離職に繋がったケースもある。この取組が、パート・有期雇用労働者の離職防止に繋がることを期待している。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
平成31年2月頃から | JR西日本主催の勉強会において、法改正の内容等の情報提供を受けたことから、現制度との比較表を作成。 待遇差を明らかにし、約1年間に渡り、総務企画総務人事グループ2名(リーダーと担当者)を中心に検討を重ね、原案に至る。 |
令和2年2月頃 | 改正内容を役員に説明。JR西日本のアドバイスがあったことや、検討に十分な期間を費やしたことから、説得に労力は要さなかった。 |
令和2年3月頃 | 労働組合へ説明。反対意見は無かった。 |
令和2年3月16日 | ①就業規則 ②嘱託社員就業規則 ③契約社員就業規則 ④シニア社員就業規則 ⑤パート社員就業規則 ⑥財産形成貯蓄規程を令和2年4月1日付で改定し、待遇差の改善を社員に周知した。 |
待遇の改善状況の詳細
- ・シニア社員:定年後再雇用者で役職なし 有期、契約期間1年、フルタイム
- ・嘱託社員:定年後再雇用者で管理職 有期、契約期間1年、フルタイム
- ・契約社員:有期(契約期間1年)と無期雇用者がいる、フルタイム
- ・パート社員:有期(契約期間1年)と無期雇用者がいる、短時間労働者
【家族手当】
取組前:
対象は「正社員」のみ。正社員の収入によって生計を維持する扶養家族がある者に支給。
取組後:
これまで対象外であった「契約社員」について、契約社員の収入によって生計を維持する者に正社員の半額を支給。この待遇は基本給の減額を伴わない純粋な増額である。
【財形貯蓄】
取組前:
財産形成貯蓄制度の加入資格者は、「正社員」「契約社員」「嘱託社員」であって、引き続き3年以上にわたり財産形成貯蓄制度の利用が出来る者としており、「シニア社員」は対象外であった。
取組後:
「シニア社員」も対象とした。
【休職】
取組前:
「正社員」のみ対象、「契約社員」「シニア社員」「嘱託社員」「パート社員」については対象外。
取組後:
「契約社員」「シニア社員」「嘱託社員」「パート社員」についても、病気休職、自己都合休職、待命休職、公職休職、刑事休職を正社員と同様の基準により対象とした。
【休暇】
取組前:
「正社員」「契約社員」「シニア社員」「嘱託社員」について、特別休暇として、結婚休暇、忌引休暇、出産休暇、生理休暇、健康診査等休暇、裁判員休暇、検察審査委員休暇、定期通院休暇、禁足休暇、災害休暇、召喚休暇、保存休暇を対象としていたが、「パート社員」については、出産休暇以外は対象外であり、また、出産休暇については無給であった。
取組後:
「パート社員」についても、特別休暇として、結婚休暇、忌引休暇、出産休暇、生理休暇、健康診査等休暇、裁判員休暇、検察審査委員休暇、定期通院休暇、禁足休暇、災害休暇、召喚休暇、保存休暇を正社員と同様の基準により対象とした。また、出産休暇を有給とした。
取組による効果
本取組について、労働者からの反応は特に無いが、忌引休暇の利用実績に繋がっている。
待遇差の改善に取り組んだことで、正社員との不合理な待遇差も明らかになり、待遇の整理ができた。この取組が、短時間・有期雇用労働者の離職防止に繋がり、働きやすい職場になることを期待している。