取組事例(2020年)

I社

基本情報

業種 医療、福祉
都道府県 鹿児島県
職員数
(2020/09時点)
正職員:約36名
パートタイム労働者・有期雇用労働者:約40名
事業概要 協同組合として医療法人(介護老人福祉施設、外来クリニック)、建設会社、ホテル経営等を運営している。(取組は医療法人のみが対象)

取組を行った待遇

基本給
賞与
手当
退職金
福利厚生
休暇・
休職制度
教育訓練
その他

PDFデータ

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取組のポイント・概要

背景

職員が自身の賃金に納得感をもって働くことができるようにすること、パート職員の待遇を改善することを目的に、2019年より職務評価・職務分析の実施と合わせて人事制度改革を実施。

取組

正職員とパート職員共通の等級制度を新たに導入し、等級に応じて基本給を決定。さらに、パート職員にも正社員と同様の休暇制度を適用。

待遇 パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する支給状況
取組前 取組後
基本給 人事評価の結果に応じて支給 正職員と共通の職能等級制度を導入し、職能等級に応じて支給
休暇・休職制度 特別休暇の対象外 パート職員に、正職員と同様の特別休暇制度を導入
正職員、パート職員ともに年次有給休暇を過去積立分からも取得可能に変更

効果

導入から間もないため明確な効果が現れているとは言えないが、職員が自分の賃金に対して納得感をもって働くことができる環境が構築できたと認識。

取組の詳細

取組に向けた検討プロセス

 2019年以前は、人事評価の結果によって基本給を決定していたが、評価者によって評価基準が異なるなど、職員から不満の声が上がっていた。また、地域に根付いた事業運営をしていることから、職員同士が顔見知りである場合も多く、必ずしもルールに則った待遇決定がなされていないケースもあった。

 そのため、職員が自身の賃金に納得感をもって働くことができるようにしたいと考え、職務評価を実施し、それに基づいて正職員、パート職員に等級制度を導入する等の人事制度の見直しを行うこととした。

 同社の主な職員タイプは、正職員、パート職員の2区分である。パート職員は1年契約で、勤務時間は契約時に個別に決定している場合と、シフト申請時にその都度決めている場合がある。

表 取組の対象となる社員タイプ

職員タイプ(人数) 職務内容 職務内容・配置の変更範囲 均等・均衡待遇
正職員
(約36名)
  • ・クリニックや老人ホームでの医療行為(医師)
  • ・老人ホームでの介護業務全般
  • ・管理業務
  • ・転勤はないが、職務内容の変更の可能性がある。
  • ・時間外労働や休日労働を課す可能性がある。
-
パートタイム労働者・有期雇用労働者
(約40名)
パート職員
(クリニック8名、老人ホーム32名)
  • ・クリニックでの事務や看護師業務
  • ・老人ホームでの介護業務
  • ・転勤はないが、職務内容の変更の可能性がある。
  • ・時間外労働や休日労働を課す可能性がある。
均衡待遇

パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細

【基本給について】

 取組前は、正職員、パート職員ともに等級制度が整備されておらず、基本給は不定期に実施される人事評価の結果によって決定していた。しかし、評価方法が十分に制度化されていなかったために、評価者によって勤続年数や勤務態度等、評価において重視する基準が異なることとなり、職員から不満の声が上がっていた。

 取組後は、正職員、パート職員共通の職務等級制度を導入し、等級に応じて基本給を決定することとした。これにより、職員によって基本給の決定基準が異なっていた状態から、職員タイプに関わらず全職員に対して担当する職務内容に応じた基本給を支給できるようになった。

【休暇・休職制度について】

 取組前から、正職員には特別休暇を付与していたが、パート職員には付与していなかった。職務等級制度導入と並行して他の待遇についても見直しを行い、特別休暇については、正職員とパート職員の差をなくすべきと考えた。

 そこで、パートタイム・有期雇用労働法への対応を踏まえた待遇改善として、2020年よりパート職員にも正職員と同じ条件で特別休暇を付与することとした。また、年次有給休暇は各年の新規付与分からしか取得することができなかったが、2020年より全職員を対象に過去に付与された積立分からも取得できるように変更した。

取組による効果

 等級制度の導入によって、職員が自身の賃金に対して納得感をもって働くことができる環境を構築するという目的は達成できたと考えている。休暇制度の適用拡大については、導入から間もないため、明確な効果が現れているとは言えないが、属人的に就業規則にない待遇を適用するといったパート職員間の不平等は改善されると期待している。

 また、今後の取組として、ほとんどの職員が車やバイクで通勤していることを踏まえ、全職員を対象とした通勤手当の支給を検討したいと考えている。具体的には、100mあたりの金額を決定し、勤務地と居住地との距離に応じて支給する形で検討を進めている。

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