取組事例(2020年)
ヤマウチ株式会社
基本情報
業種 | 製造業 |
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都道府県 | 大阪府 |
社員数 (2020/08時点) |
正社員:約330名 パートタイム労働者・有期雇用労働者:約70名 |
事業概要 | 1918年(大正7年)の創業以来、工業用ゴム・プラスチック製品の専門メーカーとして事業を展開している。現在では、映像・音響機器、複写機・プリンター、ディスクドライブ、製紙機器関連、紡績機器関連など、幅広いジャンルのメーカーに高品質な工業部品を供給している。 |
取組を行った待遇
基本給 | |
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賞与 | ○ |
手当 | ○ |
退職金 | |
福利厚生 | |
休暇・ 休職制度 |
○ |
教育訓練 | |
その他 |
取組のポイント・概要
背景
パートタイム・有期雇用労働法への対応やパート社員の採用難の打開、最低賃金アップへの対応といった課題を解決するため、2020年春の人事制度改定を目指して労働組合と議論を実施。
取組
新たにパート社員・契約社員に扶養手当、各種休暇・休職制度を適用。また、契約社員に賞与を支給することとし、従前より賞与を支給していたパート社員と計算式を統一。
待遇 | パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する支給状況 | |
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取組前 | 取組後 | |
賞与 | パート社員のみ、正社員と同様の評価結果に応じた金額を支給
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パート社員・契約社員の支給基準を統一し支給 |
手当 | 扶養手当は対象外 | 扶養手当を正社員と同じ支給基準で支給 |
休暇・休職制度 | 休暇制度は一部適用していたが休職制度は対象外 | 新たに慶弔休暇、生理休暇、休職制度を正社員と同じ基準で適用
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効果
取組によりパート社員・契約社員から感謝のコメントがあり、モチベーションが向上したと推察。今後はシニア社員や外国人の活用、女性の活躍、障害者雇用等、ダイバーシティ推進を検討。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
同社では、以前からパート社員の採用難の打開や最低賃金アップへの対応の必要性を感じていたため、パートタイム・有期雇用労働法の施行も見据えながら、同一労働同一賃金の実現に向けて労働組合と議論し、2020年の春から制度改正をするための検討を進めていた。
また、パートタイム労働者・有期雇用労働者の人数があまり多くないことから、取組に当たっては思い切った施策の実施が可能であると認識しており、大きな原資投入も必要なかった。そこで、同業他社で取組が進んでいないと思われる扶養手当の支給などについて、パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善に取り組んだ。なお、こうした取組によって、賃金が下がった社員はいなかった。
同社の主な社員タイプは、大きく正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者に区分され、さらにパートタイム労働者・有期雇用労働者は、パート社員と契約社員に分かれている。同社では、パート社員・契約社員に対して無期転換を推奨しており、2019年度以降、30名程度が無期契約労働者に転換した。
表 取組の対象となる社員タイプ
社員タイプ (人数) |
職務内容 | 職務内容・配置の変更範囲 | 均等・均衡待遇 | |
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正社員 (約330名) |
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- | |
パートタイム労働者・ 有期雇用労働者 (約70名) |
パート社員 |
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均衡待遇 |
契約社員 |
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|
均衡待遇 |
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細
【賞与について】
パート社員については、算定方法は正社員と異なるが取組前より賞与を支給していた。一方、契約社員については、交代勤務や重負荷業務を担当しているため、時間給の水準は高かったが、賞与を支給しておらず、賞与に係る評価制度も適用していなかった。
検討の結果、2018年より契約社員に対しても賞与を支給することとした。その後、パート社員は賞与の一部を時間給に移行、契約社員は支給額を増額するなどの制度変更を経て、現在は、パート社員・契約社員ともに、定額8万円+特別加算(評価結果反映分)を支給することとしている。契約社員についても、評価制度を適用し、その結果を賞与に反映させている。
なお、正社員の賞与は、基本給×◯ヶ月分+特別加算(評価結果反映分)で算出し、パート社員、契約社員とでは支給額に差を設けている。同社の賞与は会社への貢献に対する報奨金であり、正社員は、パート社員・契約社員よりも職務の内容が現場作業から管理・マネジメントと多岐にわたることや、海外へ異動するなど職務の内容・配置の変更の範囲が広範であることから、会社への貢献度が高いと判断し、賞与の支給基準に反映させている。
正社員 | パート社員 | 契約社員 | |
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~ 2017年 |
年間賞与 + 正社員のみに 適用する 計算方式に基づく 特別加算 |
パート社員 のみに適用する 計算方式に基づく 賞与 |
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2018年 | 年額4万円 | ||
2019年 | 年額8万円 | ||
2020年 ~ |
年額8万円 +パート社員・契約社員統一の 計算方式に基づく特別加算 |
図 賞与の支給方法の変遷
【手当について】
パート社員・契約社員は扶養手当の対象外であったが、原則として社会保険に加入する条件で勤務しており、世帯主もいる。世帯主に対し扶養に係る生活費を補助するという扶養手当の目的・性質を考慮すると、正社員には扶養手当を支給し、パート社員・契約社員には支給しないことが不合理でないとはいえないと判断し、パート社員・契約社員にも正社員と同様に扶養手当の支給を開始することとした。
【休暇・休職制度について】
パート社員・契約社員は、休暇制度については一部が適用され、休職制度については対象外であったが、2020年より、慶弔休暇、生理休暇、休職制度について、正社員と同様に対象とした。休職制度は、長期雇用を前提とした制度であるため、有期雇用のパート社員・契約社員の適用条件は正社員と異なるが、無期転換後は、正社員と同条件で適用する。
取組による効果
パート社員・契約社員からは、扶養手当が支給されるようになったことに対して、有難いとの声があり、今回の取組がモチベーションアップにつながったと考えている。
2021年より、65歳以降のシニアの継続雇用を、社会保険に加入する条件で導入した。労働意欲をいかに維持して働いてもらうかがポイントになると考えている。
また、ダイバーシティ推進の施策として、プラチナくるみん認定の2022年度取得を目指している。