取組事例(2020年)
株式会社大同テクノ
基本情報
業種 | 製造業 |
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都道府県 | 石川県 |
社員数 (2020/12時点) |
正社員:152名 パートタイム労働者・有期雇用労働者:42名 |
事業概要 | 1995年に大同工業株式会社の子会社として創業し、メカトロ技術・経験を基に、旋盤加工、マシニング加工等での製缶・金属加工をはじめ、専用機の製作・組立・改造を取扱い、製造から組立までの一貫生産やメンテナンスに至るまでの幅広い分野で事業を展開している。 |
取組を行った待遇
基本給 | |
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賞与 | ○ |
手当 | ○ |
退職金 | |
福利厚生 | ○ |
休暇・ 休職制度 |
○ |
教育訓練 | |
その他 |
取組のポイント・概要
背景
パートタイム・有期雇用労働法への対応にとどまらず、パートタイム・有期雇用労働者がより活躍できる環境を整備するため、職務内容を明確化し、各種手当や福利厚生等について検討。
取組
パートタイム労働者・有期雇用労働者にも賞与、各種手当の支給を開始するとともに、福利厚生、休暇・休職制度の適用を一部拡大。
待遇 | パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する支給状況 | |
---|---|---|
取組前 | 取組後 | |
賞与 | 支給なし | 契約日数に応じて支給 |
手当 | アルバイト社員は対象外 嘱託社員は一部支給 |
アルバイト社員にも通勤手当を支給 職種手当、休業手当等については、アルバイト社員・嘱託社員に支給 |
福利厚生 休暇・休職制度 |
一部の福利厚生、休暇制度のみ適用 | アルバイト社員にも災害見舞金、火事見舞等を適用 配偶者出産休暇、リフレッシュ休暇等についてはアルバイト社員・嘱託社員に適用 |
効果
効果については精査中であるが、今後の採用等人材確保の観点から強みになると想定。
取組の詳細
取組に向けた検討プロセス
同社では、2019年3月頃よりパートタイム・有期雇用労働法への対応を開始し、関連するセミナーや各種講習に参加する中で、法改正への対応にとどまらず、パートタイム・有期雇用労働者がより活躍できる環境を整備したいと考えるようになった。具体的な取組は、同年秋頃より、各種手当や福利厚生等について検討を実施した。
同社の主な社員タイプは、正社員、アルバイト社員、嘱託社員の3区分であり、アルバイト社員は、嘱託社員(65歳までの定年後再雇用)としての期間を終え、引き続き勤務を希望する短時間勤務の有期雇用労働者である。
表 取組の対象となる社員タイプ
社員タイプ (人数) |
職務内容 | 職務内容・配置の変更範囲 | 均等・均衡待遇 | |
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正社員 (152名) |
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- | |
パートタイム 労働者・ 有期雇用労働者 (42名) |
アルバイト社員 (29名) |
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均衡待遇 |
嘱託社員 (13名) |
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均衡待遇 |
パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇改善状況の詳細
【賞与について】
同社では、一律の支給額に加え、会社の業績と連動し、勤務成績に応じた賞与を支給しており、嘱託社員にも支給していた。ただし、嘱託社員は、正社員と異なり転勤昇進等の人事異動や配置転換の可能性がないため、正社員の2分の1の金額を支給していた。アルバイト社員については、賞与を支給していなかった。
しかし、人事異動や配置転換がないという点においては、嘱託社員もアルバイト社員も同じであり、アルバイト社員も、会社の業績向上に貢献していることから、アルバイト社員にも賞与を支給することとした。ただし、アルバイト社員には、会社が求める能力向上の必要がないため人事考課をせずに、正社員と嘱託社員にも支給している賞与の一律部分を支給している。なお、支給額は、アルバイト社員は勤務日数に応じて会社の業績への寄与度合が異なると考え、週の所定労働日数に応じて算出している。例えば一律支給額が5万円の場合、週5日契約は5万円、週3日契約は3万円(0.6掛け)という計算で支給額を決定している。
【手当について】
正社員には、主に職種手当、休業手当、通勤手当等を支給していた。また、嘱託社員には通勤手当等は支給していたが、一部対象外の手当があった。また、アルバイト社員にはいずれの手当も支給していなかった。
取組後は、通勤に係る費用は社員タイプにかかわらず発生するものであり、通勤に係る費用を補助するという性質・目的の手当であることに鑑みて、アルバイト社員にも交通費を支給することとした。ただし、支給額は、勤務日数に応じた金額としている。
また、職種手当は会社が指定した職種を担当している者に支給しているため、社員タイプによって支給の有無を区別することは不合理でないとはいえないと判断し、アルバイト社員や嘱託社員がその職種に就いた場合は正社員と同条件に支給することとした。同様に、休業手当についても、社員の生活を維持するという支給目的があることから、雇用区分に関わらず嘱託社員、アルバイト社員にも支給することとした。
【福利厚生、休暇・休職制度について】
取組前は、アルバイト社員や嘱託社員については、一部の福利厚生や休暇・休職制度のみを適用していたが、2021年4月より、アルバイト社員、嘱託社員に適用する制度を拡大することとした。
取組後は、アルバイト社員、嘱託社員に対し、新たに、配偶者出産休暇を適用する予定である。これは、出産に際し家族での協力を促すことを目的とした休暇であるため、社員タイプに関係なく同条件で適用する。また、長年の勤続(貢献)に対する慰労として支給しているリフレッシュ休暇については、嘱託社員には正社員と同じ条件で、アルバイト社員には勤務日数に応じた日数を付与する予定である。
さらに、これまでアルバイト社員のみ対象外であった災害見舞金及び火事見舞、労災休業補償等を適用する。例えば、災害見舞金及び火事見舞については、社員の生活を保障し、会社に対する貢献度・今後の役割への期待に対するパフォーマンスを維持してもらうために支給するため、職務内容・労働量・責任の範囲・技能の違いに応じて正社員、嘱託社員と支給額に差を設ける予定である。
取組による効果
現時点では、特にアルバイト社員の大半が、正社員や嘱託社員として長く勤務した65歳以上の社員であり、結婚休暇等の一部の待遇については、現実的に対象者として想定することができないものもある。そのため、賞与や通勤手当等の支給により嘱託社員やアルバイト社員の待遇改善を行っているものの、アルバイト社員の待遇への影響は限定的であり、社員のモチベーションアップ等の取組の効果をすぐに測ることは難しいと考えている。
しかし、社会情勢が落ち着き、新規採用等を行うことになった際に、各種制度が整っていることは、多様な人材を確保する観点から強みになると考えている。そのため、すでに見直した制度を確実に運用するとともに、2021年4月に予定している職種手当や休業手当、配偶者出産休暇、リフレッシュ休暇等の導入に向けて、組合との最終調整や社内周知の準備を進めている。また、今後は、パートタイム労働者・有期雇用労働者のステップアップを促す昇給制度の検討にも着手したいと考えている。