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(株)丸善化工

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(運輸業、卸売業)より

自己申告書を用いた人事考課の仕組みを取り入れ、昇給・賞与に反映するほか、従業員とのコミュニケーションや管理職の人材育成に活かす

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 大阪府 業種 卸売業
従業員数 62名 パート労働者数 14名
ポイント
  • 契約更新時に労働条件通知書をパートタイム労働者に提示して面談。時給その他条件の変更を通知書に経時 記録して変更内容を都度確認。
  • 自己申告書をベースにした人事考課を実施。直属の上司が1次面接、総務部長が評価の公平性をチェックし て再評価し、昇給や賞与の査定に反映。人事考課の仕組みを従業員からの意見聴取や管理職の人材育成に も活かす。

(1)企業概要・人員構造

同社は、衛生管理商品の卸売業を営み、現社長が1972年4月に創業し現在に至っている。

取扱商品の主なものは、布ふきん、不織布・紙ワイパー、マスク、てぶくろ、キャップ、エプロン、シューズ等々であり、顧客は居酒屋、ファーストフード、ファミレス、スーパー、生協等々、多岐にわたっている。小売は行っていない。事業所は、本社大阪市の他、東京支社、名古屋、大阪、福岡に各営業所を、大阪府下に富田林工場と南大阪物流センターを擁している。

パートタイム労働者は主婦層が大半である。パートタイム労働者が従事する主な業務は、工場の生産ラインや、物流センターにおける製品の受け入れ、検査、在庫管理等である。

パートタイム労働者の勤続期間は平均4~5年と比較的長期勤続者が多い。労働契約期間は6か月更新、パートタイム労働者の勤務時間は扶養の範囲内で働く場合が大半である。労働時間は個別に労働条件通知書に記載している。社会保険適用は法令通りである。賞与は業績等によっては支給することがあるが、退職金は基本的に支給していない。

(2)取組の背景

食品に関連した商品を取り扱うため、品質管理には特に注力している。品質管理を徹底するためにも、パートタイム労働者の仕事に対する意識や意欲の向上、優秀なパートタイム労働者の定着が課題となっており、パートタイム労働者の雇用管理に取り組んできた。平成25年度に現在の総務部長が外部から着任し、新たな目線を加えながら雇用管理の仕組みを見直す取組も進めてきたところである。

(3)取組の内容

契約更新時に条件変更内容を経時記録した労働条件通知書を提示・面談

契約更新時に労働条件通知書を都度発行しているが、同通知書では時給その他条件の変更を加筆する形をとっており、経時的に変更内容を確認できるようにしている。

契約更新のタイミングでは、労働条件通知書の内容を確認しながら、総務部長が必ずパートタイム労働者本人に対して面談を行う。面談時には、仕事に関する要望、健康状態、家庭の事情等の情報を総務部長が聴取している。

契約更新の手続きとしては、労働条件通知書に設けている「契約更新欄」に契約期間を記入して、本人印、会社印を押捺して契約成立としている。この「契約更新欄」も過去からの契約更新内容が経時的に記録される形となっている。

自己申告書をベースにした人事考課を実施し、昇給・賞与への反映のほか、人材育成等にも活かす

正社員だけでなくパートタイム労働者も同様に運用する自己申告書をベースとした人事考課の仕組みを持っている。自己申告書を従業員が記入し、それを基に直属の上司が本人と面談の上で評価を加え、最終的には総務部長が公平性の観点から再評価し、社長が決裁する人事考課の仕組みである。評価の結果については、昇給・賞与の査定や、異動等人材の配置の判断に活用している。

自己申告書には、仕事の内容やこれからの仕事に関する目標、職務に対する希望等を書く。職場の雰囲気や仕事の量・質・興味・能力等に関して本人がどのように感じているかを書く欄もあり、本人の目線からみた現在の仕事の捉え方を把握できる内容となっている。また、「現在の仕事の中で、1人で遂行している業務」の有無やその内容を書かせることで、職場における業務分担の実情を捉え、当該従業員が欠けた場合の対応策を考慮する必要性を判断する材料ともしている。従業員に上司からの評価がなされることを意識させる意図も持って、自己申告書の様式の末尾に「評価」及び「考課者コメント欄」をあえて設けている。

自己申告書に対する各所属長の評価結果については、総務部長がすべてチェックする中で、管理職の部下指導のあり方について指導することもあり、人材育成のツールとしても活用している。

自己申告書の様式

ローテーションしながらのOJTにより多能工化を意識した人材育成

勤務期間の短いパートタイム労働者の教育に重点を置いて取り組んでいる。就業後期間が短いパートタイム労働者は、ベテランのパートタイム労働者とペアを組んで仕事をする形をとり、仕事のノウハウを学ぶ。その際、組む相手となるベテランのパートタイム労働者を順にローテーションで変えていく形をとることで、多様な仕事の内容や仕事の仕方を学び、多能工化を目指した人材育成を行っている。

パートタイム労働者から正社員への転換を実施し、工場長昇格者も誕生

契約更新時期の総務部長の面談においては、正社員転換の希望の有無、労働条件、就業条件等を聴取し、経営状況もみながらパートタイム労働者の要望に沿って必要時に正社員転換を実施している。総務部長による面接の後、社長が最終決裁する。パートタイム労働者が正社員に転換した後、数年後に工場長に昇格した事例もある。同社は、従来より、パートタイマー就業規則第38条で正社員転換制度を、また、同第39条にて正社員転換制度の該当基準を定めている。今般、冬場から春先にかけて多忙が予想されるため正社員数名の採用が必要となった際には、ハローワーク等を通じて公募したほか、既に雇用しているパートタイマーにも応募の機会を与えるよう社員全員に社内連絡をして募った。結果、2名のパート社員が希望し、選考の結果、1名はパート社員から正社員に登用、もう1名はハローワークを通じての採用となった。

パートタイマー就業規則

安全衛生管理への徹底した取組

食品に関連した商品を取り扱うことから、衛生管理を徹底している。作業者は作業開始前に2人1組で準備室に入り、粘着ローラーで衣類の埃を落とし、エアーシャワーを通過して作業室に入る。このシステムを工場、物流センターに設置している。また、始業時に体温測定と手洗いを義務付け、手洗い回数のチェックを行っている。

また、家庭用常備薬の購入には、パートタイム労働者も含めて会社が補助を行っている。

福利厚生制度を正社員と同等に適用

正社員と同等に慶弔休暇の付与と慶弔金の支給を行っている。また、時間単位年休も正社員と同等に付与している。

(4)成果と課題

昇給や賞与の査定については、現状はまだ簡略な人事考課の仕組みの下で実施しているため、今後更に充実した職能資格制度の導入を検討するなど、より公平性のある制度に移行したい。現場のパートタイム労働者の意欲向上と業務効率化に寄与できるよう試行錯誤しながら、パートタイム労働者の雇用管理の一層の改善に向けて取り組んでいく。

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