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丸善運輸倉庫(株)

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(運輸業、卸売業)より

正社員と同等の処遇・福利厚生により、パートタイマーのモチベーションアップを図る

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 大阪府 業種 運輸・倉庫業
従業員数 45名 パート労働者数 10名
ポイント
  • 正社員登用、パートタイマーの無期転換などを制度化。
  • 福利厚生制度の充実(法定を上回る健康診断の実施、慶弔休暇など)。
  • 労災上乗せ補償給付制度をパートタイマーも対象に実施。
  • ワークライフバランスに配慮し、多様な人材の確保、定着を図る。

(1)企業概要・人員構造

同社は、大阪府大東市を拠点に、配送部門、倉庫管理部門及び流通加工部門の3つの柱で事業を展開している。

配送部門では、多品種・多頻度少量配送、ジャストインタイムの物流を、伝票の発行や先入先出なども含め、きめ細かく行っている。倉庫管理部門は、冷凍、チルド、常温、定温の4温度帯で、顧客の商品を劣化させることなく保管する部門である。流通加工部門は、ラッピングや袋詰め、ラベル貼り、検品といった、各種流通加工サービスの軽作業を行っている。

同社では、顧客満足(CS)、従業員満足(ES)、地域貢献(DS)の3つを重視し、「共存共栄」「一期一会」をモットーに、地域や社会に貢献するため常に全力で業務を遂行できる従業員を育成している。また、2014年3月には、経済産業省の「ダイバーシティ経営企業百選2014」を受賞するなど、多様な事情を抱えた労働者に対する施策が高い評価を得ている。

従業員45名のうち正社員は35名で、主に配送部門と倉庫管理部門に従事している。10名いるパートタイマー(短時間勤務のパートタイム労働者)は、主に流通加工部門に従事している。パートタイマーは、原則として、1年契約で9時から17時までの勤務で、時給制である。他に、通勤手当が支給され、賞与(寸志)、退職金も支給されている。契約更新については、管理部長が面談し、本人の更新希望を確認した上で、決定している。

パートタイマーは、商品の検品・仕分け、ラッピングや袋詰め・梱包などを担当し、正確で丁寧な作業は取引先からの信頼の獲得、売上向上に寄与している。こうした実績により、パートタイマーは同社の流通加工部門の戦力として尊重されている。

職務内容や責任の差により賃金は異なるものの、社長の「一期一会」の精神に基づき、正社員とパートタイマーの区別をつけることはむしろ不自然と考え、基本的な処遇は正社員とすべて同等としている。そうすることで、パートタイマーの自主性を高め、定着率アップ、生産性の向上へとつなげている。

(2)取組の背景

今から10年前、事業の急速な拡大に対応するため、パートタイマーにも得意先の担当を任せるようになり、高い業務遂行能力と一定の責任が求められるようになった。そこで、現社長である当時の専務の判断で、能力や責任感、正社員として働き続けたいという強い意志を持ったパートタイマーを、正社員に転換させていた。これをより納得性の高いものとするため、就業規則に規定し、平成25年9月から制度化した。

現在では、当時の考え方に加え、「人材は人財」との考え方にもとづき、①パートタイマー本人の意向を最も重視し、ワーク・ライフ・バランスを考慮した働き方を取り入れること、②正社員を希望する者には、キャリアアップ制度を活用し、計画的に正社員転換を図ること、③福利厚生については、法定を上回る健康診断の実施、慶弔休暇など正社員と同等とすることを重視している。

(3)取組の内容

正社員転換制度の導入

希望する者は所属長の推薦により筆記試験と面接を受け、合格することで正社員に転換できる。直近では、第1子、第2子を出産後、育児休業を取得し、復帰後にパートタイマーから正社員に転換したパートタイマーが1名いる。

10年前に10名が正社員となった年もあるが、就業規則上の正式な規定はなかった。このため、上記の無期転換制度とともに平成25年9月に正社員転換制度を就業規則に規定し、パートタイマー全員に周知を図っている。併せて、職務等級ごとの評価基準を具体的に示すことで、パートタイマーのモチベーションアップも図っている。

無期転換制度の導入

現在のパートタイマーの勤務年数は最長8年で、平均勤続年数は6年から7年となり高い定着率となっている。そのため、平成25年9月には、無期転換制度を導入した(労働契約法対応とは別の措置)。希望する者は所属長の推薦により筆記試験と面接を受け、合格することで無期雇用になる。この制度はパートタイム労働者就業規則に明文化し、パートタイマー全員に周知している。これによってパートタイマーが雇用の不安を抱えることなく業務に集中できるようにしている。

充実した労災上乗せ補償給付の適用

配送及び倉庫管理の業務は、十分な安全対策を施してはいるものの、一般事務作業に比べると労働災害発生のリスクが高い。そうした作業条件の下で従業員に安心して仕事に集中してもらうため、労災上乗せ補償給付規程を設けている。これは、正社員だけでなく、繁忙時に臨時的に雇用されるパートタイマーも含む全ての従業員に適用されている。

具体的には、パートタイマーも正社員と同様に、業務災害での死亡時には3,000万円(非世帯主の場合)、通勤災害での死亡時には1,000万円(同)を補償額としている。後遺障害については、1級から14級まで(3,000万円から120万円)、その他に休業補償(3,000円/日)も適用される。このように、万一の場合の手厚い補償制度を設けることで、安心して業務に邁進できる環境作りを図っている。

ワーク・ライフ・バランスを考慮した勤務形態

勤務形態は、社会保険加入の有無や労働時間なども含めて、原則として本人に選択させている。また、病気での欠勤などやむを得ない事情があった場合は、事後に年次有給休暇への振替を可能とするなど、年次有給休暇を取得しやすい環境にしている。

また、パートタイマーにはワーク・ライフ・バランスを大切にする人が多いため、各自が就業時間内に業務が完了するよう計画性ある業務遂行を意識させ、残業を発生させないようにしている。

正社員との均衡に配慮したその他の施策

○退職金の支給

パートタイマーには、退職金制度もある。退職金は、「退職時の時給×在職期間を通じた平均総労働時間数×支給倍率」により、勤続年数に応じた支給倍率を適用して支給している。支給倍率は、正社員と同じ勤続年数別支給倍率で退職金規程に基づく。

○自己啓発費用の援助

自己啓発のためであっても、資格取得などに対する費用は、本人の申告に応じて会社が全額援助している。

○社員食堂の利用

社員食堂を設置し、正社員もパートタイマーも休憩時には自由に利用できるようにしている。これによって、正社員とパートタイマーとの間のコミュニケーションも良くなっている。例えば、各部門の業務進捗状況をこの場で共有することで、部門を超えた協力関係が生まれ、業務効率アップにもつながっている。

○規定外の休憩時間の奨励

休憩は、就業規則や労働条件通知書には正午から午後1時までの1時間と規定しているが、それ以外にも作業効率向上と安全衛生上の観点から、午前と午後に各自15分ずつ取ることを奨励している。その時間も、正社員と同様に労働時間として取り扱っている。

○マニュアルに基づくOJT

流通加工事業の拡大に向け、パートタイマーにとっても商品知識の習得が不可欠となっているため、正社員が作業マニュアルに基づき、OJTでパートタイマーを育成している。

○提案の受け入れ

パートタイマーからの提案も、管理部が窓口となり、積極的に受け入れている。例えば、軽作業に伴う腰痛対策としてパレットでの作業を廃止し、女性の身長に配慮した作業台を新たに設置するなど、パートタイマーからの提案がきっかけで具体的な成果が上がっている。

○懇親会

職場のコミュニケーション、親睦を図るため、年に1~2回、主に配送部門と倉庫部門が中心となり、土曜日の夕方に、会社でバーベキュー大会を開催しており、これにはパートタイマーも多くが参加している。

(4)成果と課題

正社員とパートタイマーとの壁を、制度面からもなくすことを目的とした様々な施策を展開し、パートタイマーの定着率は高まっている。また、正社員とのコミュニケーションの活性化に注力していることで、正社員・パートタイマー、それぞれの中でも、両者の間でも、気軽に相談できる関係ができている。これによって、高齢者、障害者、主婦、育児・介護従事者など、多様な人材の活用が可能となっている。また、経営トップが一人ひとりの人柄、人間性を尊重していることも、従業員の一体感の向上に寄与している。こうした取組の結果として、作業ミスが大幅に減少するなど品質面で優位性を確立することができ、受注も増加傾向にある。

今後は、正社員とパートタイマーの職務内容や責任の区分をより明確にしていくことも含めて、職務内容の再確認、役割分担、役割に応じた評価基準の活用、人材育成や教育訓練の仕組みなど、さらに検討していく必要があると認識している。

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