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C社

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(運輸業、卸売業)より

各部店におけるパート社員の雇用管理適正化を図りつつ、人員計画に基づき「地域限定職」への正社員転換を推進

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 東京都 業種 運輸・倉庫業
従業員数 1315名 パート労働者数 892名
ポイント
  • パート社員等の雇用管理の適正化に向けて本部から部店へ労働関連法改正動向等について情報提供・指導。
  • 各部店の人員計画に基づきパート社員から「地域限定職」への正社員転換を推進。
  • 雇い入れ時に安全衛生、個人情報管理の研修を実施。

(1)企業概要・人員構造

同社は、倉庫業、国内運送業等を主業とし、国内に8事業所を有する。売上高は、倉庫業(生産財の保管及び消費財の保管・流通加工)が全体の約9割程度を占め、その他国内運送業、不動産賃貸業等が占めている。部店ごとに独立採算制を採っている。

直接雇用者は1,315 名であり、内訳は正社員が423名、通常の労働者よりも労働時間が短いいわゆるパートタイム労働者(以下、「パート社員」)は892名である。その他、間接雇用者である派遣社員が220 名程度いる。(26年8月末現在)

パート社員は、倉庫の物流現場でのピッキング作業等の流通加工に従事することが多い。パート社員は部店単位で募集・採用し、雇用期間は3か月から6か月であるが、3か月契約がほとんどを占めるため、3か月単位で契約更新することが多い。パート社員用に 「パート就業規則」 を定めている。パート社員の労働時間は、10時~16時が基本であるが、早番、遅番のシフトを組んでいる。土日・祝日が休日で、有給休暇は法定通り付与している。

パート社員の給与は時給制であることが多いが、現場・本社事務職の場合はパート社員でも月給を適用することがある。通勤費も支給している。賞与は、契約更新時の査定(勤務態度、部店の利益配分)に基づき支給し、金額水準は数万円程度である。退職金は支給していない。労働時間が週30時間以上のパート社員は、社会保険に加入し、厚生年金基金にも加入させている。

パート社員の時給は、独立採算制の下で、部店単位で地域の実勢を踏まえて設定する(倉庫内の時給平均値は 900~950円、フォークリフトの時給平均値は1,100~1,300円程度)。パート社員の中から査定の結果を勘案してパートリーダーを選出し、リーダー手当を付与している。

(2)取組の背景

部店(倉庫)の流通加工は、繁閑差が大きいためパート社員を活用している。部店(倉庫)は、独立採算を採用しているため、収支管理の面でもパート社員を有効活用する意義が大きく、適切な雇用管理が必要とされてきた。パート社員あっての職場という意識、パート社員をパートナーと呼ぶことを職場で意識付けすることも長年行ってきた。

また、近年、人手不足が深刻化するなど雇用情勢がひっ迫する状況にあることを踏まえ、会社の発展には優秀な人材確保が急務なことから、人材の囲い込みを意識して正社員転換の推進も含めてパート社員の雇用管理に努めている。

(3)取組の内容

パート社員等の雇用管理の適正化に向けて本部から部店への指導

パート社員の採用、労働契約締結等の雇用管理は、部店が独立採算制を採っているため部店に任されているところではあるが、法令順守の立場から本社として各部店の状況を把握し、指導を行っている。

具体的には、毎月、部店から本社にパート社員の雇用状況と給与水準についての定時報告を義務付けており、本社で内容をチェックした上で、疑義がある場合は本社から各部店に照会をかけ、必要時には指導する。

また、労働関連法の改正等があった場合には、四半期に1度行う役員会(部店長も参加)で情報周知をするとともに、雇用管理の適正化に向けて留意を促すべき事項を社内メールやイントラネットで各部店に情報発信し、注意喚起している。

各部店の人員計画に基づきパート社員から「地域限定職」への正社員転換を推進

パート就業規則には、正社員転換制度に係る規定を定めており、これに則って正社員転換を進めている。近年の厳しい雇用情勢の下では、正社員転換を人材確保策の一つの柱としても位置付け、取り組んでいる。

毎年の正社員転換は、まず前年12月の部店の経営計画に翌年度人員計画を策定することからスタートする。人員計画を立てる中で、正社員転換の募集人員枠を定める。その後、本社から各部店に正社員転換候補者の推薦依頼を出し、各部店長推薦として候補者が上がってくる。

選考は、部店長の推薦を受けた社員を対象に、本社で筆記試験及び面接を行う。面接は本社人事担当者と部店担当役員が行うことが多い。正社員転換後の雇用管理は本社が担うことになるため、ここでの選考基準は本社として設定している。最終的には、本社の人事政策委員会で承認を得て決定する。

同社には、正社員の雇用区分の1類型として、異動は転居を伴わない範囲で通勤2時間以内に限定できる「地域限定職」があり、契約社員・パート社員については、まずは地域限定職(勤務時間は9時から17時30分)に転換する。その後、本人の希望・状況と会社側の意向が合致すれば、さらに総合職に転換することも可能である。

上記の仕組みで正社員に転換する契約社員、パート社員は、おおよそ毎年5~7名程度である。

パート社員の定年は65歳

正社員の定年は60歳とし、継続雇用制度により65歳まで働けるが、パート社員の定年は65歳としていることから更新率・定着率が高い。

雇い入れ時に安全衛生、個人情報管理の研修を実施

雇い入れ時に必ず、倉庫内のフォークリフト走行等による事故防止のための安全衛生教育及び通販商品等の消費財を取り扱うため個人情報に関する取扱い要領を読み合わせた上、誓約書の提出などの教育をしている。また、オペレーションが主体のISO9000、14000 による「業務マニュアル」に基づく現場担当者による指導も行っている。

正社員同等の福利厚生制度

福利厚生制度としては、業務に必要なフォークリフトなどの資格支援制度、育児・介護休暇制度、育児・介護短時間勤務制度、最寄り駅からのバス通勤支援等があり、休憩室の利用を含めて正社員と同等となっている。

(4)成果と課題

査定により時給を決めているが、マイナス査定はなく、パート社員の定年を65歳としていることからパート社員の定着率が高く、更新率が高い。今後無期転換に係る課題等はあるが、会社が成長するための人材確保策の一環として引き続きパート社員の雇用管理に取り組んでいきたい。

また、部店独立採算性を採用しているためやむをえない部分もあるが、全社統一的な評価制度の構築についても検討課題となっている。

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