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(株)トワード

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(運輸業、卸売業)より

入社時にオリエンテーションを、契約更新時は個人面談を実施、優秀者は帽子の色で区分けし昇給、モチベーション向上に寄与

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 佐賀県 業種 運輸・倉庫業
従業員数 約400名 パート労働者数 約200名
ポイント
  • 入社時のオリエンテーションで雇用環境を説明。
  • 契約更新時に個人面談を実施、納得性の向上を図る。
  • 優秀者は作業帽子の色分けで明示、併せて時間給も昇給。 •業務マニュアルを充実し教育訓練を効率化。

(1)企業概要・人員構造

同社は、九州地方を中心に3PL(サードパーティロジスティクス)サービスを提供する輸配送事業と、保管・荷役・流通加工サービスを提供する物流センター事業を中心に事業展開しているほか、物流ソフト開発・販売も手掛けている。本社のほかに営業所及び物流センターを5拠点有している。

パート社員(パートタイム労働者)は、ドライバー職や事務職に従事する者もいるが、物流センター内でのピッキング作業(仕分け、検品、出荷など)に従事する者が9割近くを占める。ピッキング作業においては正社員がリーダー的存在となって、パート社員への指示・指導を行い業務の進捗を管理する。

労働契約期間は、当初3か月間の雇用契約として採用され、契約更新時に勤務姿勢を評価の上、次契約の契約期間が決定される。勤務姿勢に問題なければ6か月間、もっと頑張りを期待する場合は3か月間、勤務評価が高ければ1年間と、2回目以降の契約期間は各人によって異なる。契約期間の決定は、各物流センター長の裁量によって行われる。多くの場合は、6か月間の契約更新となる。

賃金は時給制で退職金はないが、賞与は年4回支給される(後述)。労働時間は、5~8時間/日、4~5日/週程度の者が多いため、7~8割が社会保険適用であるが、扶養範囲内での働き方を希望されれば応じるなど、柔軟に対応している。

フリーターやダブルワークなど様々な人がいて、年齢層も10代から60代までと幅広い。

1荷主が外部の専門業者に対し、物流サービス水準の向上や物流コストの削減を目的として、物流業務を一括して委託すること、あるいはその受託サービス。物流業者に業務を委託するのとは違い、「荷主の物流部門」として振舞うため、複数の物流業者から最も荷主の利益にかなう業者を選択したり、荷主側の要望を物流業者と交渉したりといったことが可能となる。

(2)取組の背景

全社的に業務効率性向上を目指しており、パート社員の従事する職務においても効率化が求められている。効率化にとっては、人材の安定確保と習熟度の向上のための職場の活性化が重要との考えから、優秀なパート社員のモチベーション向上や定着しやすい環境づくりを行ってきた。

また、パート社員との対話を重視し、納得性の向上、コミュニケーション機会の増大も図ってきた。

(3)取組の内容

入社時のオリエンテーションで雇用環境を説明

パート社員の入社時には、オリエンテーションを実施している。

内容は、労働条件通知書の交付とその説明、パート社員に適用される就業規則の説明と保管場所の提示、正社員転換制度や後述の昇給制度等パート社員の雇用管理に関する事項について等である。センター長又はその部下となる課長・課長代理(以降、センター長等という。)から、各パート社員に説明している。

契約更新時に個人面談を実施、納得性の向上を図る

パート社員の契約更新に当たっては、事前にセンター長等が全パート社員と個別面談を実施している。

面談に際しては、新たな労働条件通知書の交付・説明のほか、労働環境に関するヒアリングや勤務評価のフィードバックと指導・助言を行う。勤務評価の結果により雇用条件(契約期間、時給)の変更があれば当然、説明しており、納得性の向上を図っている。

センター長等は、配下の全パート社員と契約更新のたびに面談を実施するため、相当の時間数を費やすこととなる。しかし、社長会議等の方針を直接指導・教育する場にもなり、またパート社員からの現場改善提案を受け入れるコミュニケーションの場としても機能していることから、必ず実施するようにしている。

優秀者は作業帽子の色分けで明示、併せて時間給も昇給

効率的で正確な職務遂行ができる優秀者は、作業帽子の色で区分することでその職務能力を明示している。また、帽子の色ごとに一定の時間給幅を設定しており、上位色の帽子になると該当する時間給に昇給させている。

勤務姿勢をセンター長等が評価し、上位色相当と判断されれば、翌契約期間から帽子の色と時間給が変更となる。上位色相当の評価に至らなくとも、優秀と評価されたパート社員は、現在色の時間給幅内で昇給する。帽子の色分けは全社共通であるが、時間給幅の設定や昇給額等の運用は、各センターの雇用情勢や予算に照らしてセンター長が決定している。

この仕組みにより、優秀なパート社員のモチベーション向上が期待できるほか、習熟度の低いパート社員も上位色パート社員の働き方を手本に自らの作業を改善することができる。

業務マニュアルを充実し教育訓練を効率化

新しいパート社員が配属されると、正社員の指示の下、先輩パート社員がOJTに当たり、全社共通の業務マニュアルに沿って指導を実施している。しかし、マニュアル策定から相当の期間が経過し、経年変化に対するメンテナンスが追い付かず、職務ノウハウが属人化する傾向も現れている。

そこで、ピッキング作業でも「仕分け」や「出荷」など職務を細分化し現場に即した基本マニュアルを現在作成中である。教育訓練の標準化と充実により、教育係のパート社員の負担軽減と、新入パート社員への効率的かつ効果的な教育ができるようになることを期待している。

ドライバー職の運転管理による安全走行と報奨金制度

同社開発部が開発した運転管理システムの活用で、ドライバー職の安全走行とコスト改善に取り組んでいる。

同社が特許を取得している“速度変化の少ない運転”に定められた運転指標で運転データを管理し、指標のランキング付けを行い、上位者には正社員・パート社員を問わず報奨金を支給している。この運転管理システムの導入により事故は大幅に減少し、保険料や燃料費も大きく削減できた。また、このシステムのデータは、運転技術の指導にも活用されている。

なお、指標については、ドライバーからの改善提案も受け付けている。

四半期ごとの賞与支給

パート社員には四半期ごとに業績配分となる年4回の賞与が支給される。支給額は寸志程度であるが、センター長等による各パート社員の勤務評価に応じて支給額が決定される。

要件の緩やかな正社員転換推進措置

正社員への転換を希望する者は、希望を申し出てセンター長の推薦を受ければ正社員転換することができる。勤続年数、勤務評価等の諸要件はなく、よほど適格性に欠ける者でない限り転換でき、希望者のほぼ全員が転換している。

毎年3月に実施しており、毎年10~15名が正社員に転換している。

(4)成果と課題

帽子の色分けと付随する昇給システムは、平成26年度からの取組であるが、これまでのところ大きな混乱もなく、優秀者はモチベーション向上につながり、職場全体の活性化につながると考えている。

今後は、職務ごとに処理業務量を設定し、当該業務量を終業時刻前に完了した場合は、その時点で終業しても所定労働時間労働したものとみなして賃金を保障する制度を導入したいと考えている(すでに正社員には導入)。パート社員は所定労働時間が様々な上に流動的なので難しさはあるが、優秀者にとっては実質的な昇給となる。これにより、量ではなく質を求めるメリハリの利いた労働環境の構築を図りたいと考えている。

  1. 荷主が外部の専門業者に対し、物流サービス水準の向上や物流コストの削減を目的として、物流業務を一括して委託すること、あるいはその受託サービス。物流業者に業務を委託するのとは違い、「荷主の物流部門」として振舞うため、複数の物流業者から最も荷主の利益にかなう業者を選択したり、荷主側の要望を物流業者と交渉したりといったことが可能となる。

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