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(有)伊豆介護センター
充実した研修制度、稼働実績に応じた賃金制度、子育て支援により人材を育成し、定着率向上
正社員転換推進措置
所在地 | 静岡県 | 業種 | 訪問介護等 |
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従業員数 | 310名 | パート労働者数 | 155名 |
ポイント |
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(1)企業概要・人員構造
介護保険がスタートするのをきっかけに平成8年2月6日に設立し、現在は、県内5市の9か所の施設を拠点に高齢者、障害者支援事業を展開している。組織体系は、経営企画室、在宅介護事業、地域包括支援センター、施設介護事業部の4つに分類され、在宅介護事業部は、ホームヘルプサービスチームとケアマネジメントチームに分かれている。施設介護事業部は、グループホーム、デイサービス、小規模多機能型居宅介護に分かれている。
社員数は310名で、正社員と契約社員(短時間勤務も含む)で構成されている。訪問介護に従事する契約社員は、時間拘束型ヘルパーと登録型ヘルパーであり、採用時に本人の希望により決定するが、その後事情等により、変更が可能である。働きやすい職場として従業員の定着率が良い。
平成18年度、男女雇用均等推進企業静岡労働局長優良賞受賞、平成20年男女共同参画社会づくり活動に関する知事褒章を受賞している。また、経営者自ら静岡県ワーク・ライフ・バランスセミナーの講師や静岡県ワーク・ライフ・バランスシンポジウム開催のパネルディスカッションにパネリストとして参加しており、ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでおり、子育て世代のヘルパーも多い。
(2)取組の背景
介護業界は女性従業員が多いため、女性の力が発揮できるよう、女性に働きやすい職場を目指している。多様な働き方により、良い人材を育成し、安心して長く働けるように、福利厚生制度、教育研修制度、保育料補助等の施策がとられている。また、生活の変化等により、雇用契約内容の変更も可能にしている。
(3)取組の内容
正社員転換制度、契約の変更
採用時の面接、契約更新時の面談で本人の希望を聞いて、上司の意見等を参考に正社員に転換することができる。
時間拘束型ヘルパー、登録型ヘルパー等の変更もできる。
60歳定年後も65歳まで1年更新の継続雇用制度があり、65歳を過ぎても健康で働くことができれば、70歳まで勤務が可能である。70歳以上は、6か月更新となる。現在は75歳の従業員もいる。
子育て世代のための保育料補助制度
保育所や学童クラブに子どもを預けている従業員には、保育料補助制度があり、正社員は、保育料の50%(上限2万円)、契約社員は、保育料の25%(上限1万円)を会社が負担する。従業員20名が現在利用しており、うち契約社員が16名となっている。子育て中の女性が就業し継続しやすい環境を整えている。
研修制度の充実
保育所や学童クラブに子どもを預けている従業員には、保育料補助制度があり、正社員は、保育料の50%(上限2万円)、契約社員は、保育料の25%(上限1万円)を会社が負担する。従業員20名が現在利用しており、うち契約社員が16名となっている。子育て中の女性が就業し継続しやすい環境を整えている。
研修制度の充実
従業員全員を対象に月1回、18時30分~20時30分の2時間程度の研修を実施している。研修は託児付き(乳幼児は対象外)で実施しているため、子育て中の契約社員等も安心して研修に参加ができる。研修講師は、医師、司法書士、アスレチックトレーナー等多様で、介護技術だけでなく、相続、医療、健康など、業務や生活に役立つ内容になっている。
研修に参加した場合は、研修手当として社内規定による研修費を支給しており、研修参加状況は人事評価にも反映している。
研修には、介護福祉士の資格取得の講座もあり、受講後の合格率は約80%と高い。資格取得は正社員へのキャリアアップにもつながっている。
キッズスペースの活用
施設内にキッズスペースが設置されている。子育て中の従業員が、研修や資料を取りに来た時、打ち合わせ、簡単なデスクワーク等に子ども同伴で出勤できるよう工夫している。
休暇制度の充実
ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでおり、子育て中の女性を支援する施策の充実により、ヘルパーの定着率が良い。正社員と契約社員を併せ、年次有給休暇の取得率は70%程度である。年次有給休暇取得については、内容を問わず本人の希望どおりに取得できる。子どもの授業参観、学校行事等で取得する従業員が多い。
育児休業、介護休業の制度があり、過去5年間に育児休業は6名が利用している。介護休業は無給なので、年次有給休暇で対応する従業員が多い。短時間を含む契約社員も取得できる。
賃金制度の充実
訪問介護の常勤従業員は、7時~16時、8時~17時、9時~18時の3パターンで本人の希望を考慮してシフトをつくり、完全週休2日制をとっている。
登録型ヘルパーの時給は基準表に基づき規定している。要介護者へのサービスは1,220円~1,400円台、要支援者へのサービスは1,090円~1,300円台である。
ヘルパー2級、介護福祉士等の資格の有無、勤務実績、研修受講状況により評価を行い、時給を設定する。勤務開始から100時間を超えると時間給が50円アップする。1年以上勤務すると4月に時間給がアップする。また、介護福祉士の資格を取得すると時間給が60円アップする。その他、上司の評価により10~30円の時間給が上乗せになることがある。
登録型ヘルパーは直行直帰を基本とする。交通費は、車通勤は27円/1km、移動は30円/1km を支給する。サービス先への移動についても、通常の交通費にプラスされた移動手当が、車の場合19円/件、徒歩や自転車の場合30円/件が支給される。
ホームヘルプサービスチームを含む全従業員を対象に相談窓口を設置
ヘルパーを含む全従業員を対象に、悩み事を相談できる窓口を置き、従業員が安心して働くことができる職場を作っている。研修や報告の機会等を通じて、日ごろから管理者とヘルパーのコミュニケーションが取られており、定着率の向上につながっている。
正社員転換の実績
正社員転換については本人の希望を把握しておき、空きが出た場合に、人事評価をもとに登用を行う。昨年は2人の転換実績がある。
(4)成果と課題
保育料補助制度では、正社員より、契約社員の利用者が多い。入社時や年1回の更新時に面談を行い、正社員転換や契約内容変更により、ライフプランに合わせて多様な働き方ができ、ヘルパーの定着率が高い。
育児休業取得者は5年以内に6名、介護休業は1名の取得となっている。また育児期間は短時間勤務に変更し、子どもの成長により再び常勤勤務に変更することもできる。
研修制度が充実しており、手当の支給により参加率も高く、介護福祉士試験についても研修参加者の合格率は80%程度と高い。
広報誌「きめこま介報」を発行したり、納涼祭やもちつき等のイベントを開催して、地域と従業員の交流を図っている。
働きやすい職場として、従業員の定着率が高いため、現在従業員の平均年齢が45歳程度と高くなってきている。75歳を超える従業員もいる。今後、従業員の高齢化への対応が求められ、高齢者雇用の契約時の更新内容や賃金制度等の見直しが課題となっている。