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ロジパートナーズ(株)(平成27年4月より丸紅ロジスティクス(株))

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(運輸業、卸売業)より

基本的なルールは定めつつ、拠点の裁量を尊重した雇用管理を実施

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 東京都 業種 運輸・倉庫業
従業員数 814名 パート労働者数 628名
ポイント
  • 地域の事情に応じ、職務レベル別に時給を設定、更新時に諸条件の見直し。
  • 3か月ごとの契約更新のつど面談を実施し、職務、労働条件等を確認。
  • 能力・意欲あるパートタイム労働者はリーダー、さらには正社員に登用。

(1)企業概要・人員構造

同社は総合商社丸紅の物流部門を分社化して10年前に設立された。全国に大小25の自営物流拠点を構え、アパレル、雑貨、食料品等、幅広い取引先に対し、3PL(サードパーティロジスティクス)業務を行っている。

従業員は正社員、嘱託社員、パートの3つの雇用区分から構成されている。正社員は全国転勤がある総合職掌と地域限定の一般職掌があり、嘱託社員は地域限定で、主として管理及び営業的業務に従事している。これに対し、パートは拠点別に、職務を限定して採用され、荷受・発送等を中心とした現場業務及びそのリーダー業務に従事している。例えば、X物流センターの場合、正社員4名・嘱託社員2名に対し、パート108名の人員構成となっている。

パートは基本的に3か月の有期雇用である。所定労働時間は、センター運営の必要性に応じて、本人の希望により調整し個別に決められるが、管理上、一定の基本パターンを定めている。例えば、X物流センターでは「6時間45分×週5日」又は「6時間×週4日」の2パターンを基本としている。前者は社会保険・雇用保険加入、後者は雇用保険のみの加入となる。X物流センターではパートの65%が社会保険加入者であり、この比率は同社平均とほぼ同じである。

(2)取組の背景

拠点ごとに、労働市場の状況は大きく異なっているため、地域の実情に合った採用活動を行う必要がある。このため、会社全体としての雇用管理のルールは基本的な事項に限定している。

仕事に対する考え方は人により異なり、決められたことを決められたとおりにコツコツこなすことを好む人もいれば、能力を高めたり責任ある仕事についたりすることを望む人もいる。そのいずれにも対応できるようにしないと、現場人材の確保・定着化は図れない。このため、特定のキャリアモデル等を想定した細かい制度づくりは行っておらず、個々人の能力・適性に応じ柔軟な雇用管理を行うようにしている。

(3)取組の内容

職務レベル別の時給設定

パートの時給は、職務レベルに基づき拠点ごとに設定されている。

まず、拠点の地域相場を踏まえた基本時給があり、その上に職務レベルに応じた加算が行われている。例えば、X物流センターの場合、一般的な作業者、対応可能な業務・案件範囲が広く主軸となっている作業者、新人等の指導までできる作業者といったレベル別に、加算額の目安が定められている。

このような作業者としての能力レベルに基づく加算とは別に、職種等に応じてフォークリフトの操作をするパート、後述のリーダーに任じられているパートには、大幅な加算が行われる。また、同じリーダーでも、担当案件数が多い人、大規模案件を担当する人には、さらに加算がある。X物流センターの例では、優れたリーダーの時給は、一般的な作業者に比べ高い水準になっている。

契約更新ごとの面談を通じた労働条件の見直し

3か月ごとの契約更新に際しては、必ず事前に正社員による面談を行うこととしている。

面談では、新たな労働契約書案に基づき、職務、時給、労働時間等の条件を提示している。職務レベルに基づく時給の昇給も3か月ごとの契約更新時に行われており、年に1度の定期昇給のような制度はない。

なお、リーダーに登用された場合は、契約更新時期に関わらずその時点で労働契約を結び直し、時給も見直している。

リーダーへの登用

本人の志向・適性を見極めた上で、リーダーへの登用を積極的に行っている(経験年数等の要件は特にない)。

一般的には、10~20名のパートに1名のリーダーがおり、全社では40名近くがリーダー登用されている。扱う品種が多く案件規模が小さい拠点では、案件別にリーダーが置かれるが、扱う品種が少なく案件規模が大きい拠点では、作業範囲別にリーダーが置かれる。

リーダーの主な役割は、担当する案件や作業範囲におけるパートのとりまとめと進捗管理である。作業の繁閑に応じた人員調整も、担当範囲内についてはリーダーが起案する。一方、正社員は、そうした人員調整の最終決定のほか、収支管理を含む案件管理全般に責任を負っている。

新たにリーダー登用された場合やリーダーの担当が変わった場合には、朝礼等で全従業員にその旨が周知され、組織表にも名前が記載されることになる。

正社員へのステップアップ

正社員登用は、1年を通じて行われている。リーダーに登用されているパートのうち、正社員への転換を希望する者で管理能力に優れた人を拠点長が推薦し、部長面接、本社役員面接を経て登用される。

正社員とするにはもう少し様子を見たいと判断された人については、雇用期間6か月の月給制の嘱託社員とすることがある。この場合は、嘱託社員である期間に正社員同様の業務を実地にて経験させ教育してから、改めて正社員登用の面接等を受けさせている。

直近の1年間の実績では、正社員に5名、嘱託社員に1名が、それぞれパートから登用されている。

改善提案活動への参加

パートも含めた全社員参加の改善提案活動が、拠点ごとに1年を通じて行われている。その主要な活動成果は、半期ごとに本社で開催される「改善事例発表会」で発表・表彰される。活動の中心メンバーがパートである場合、パートが発表者となることも珍しくない。

この改善提案活動は、初期は正社員主体であったが、現在はリーダー以下、パートが積極的に関わっている。案件や作業を同じくするパートが、就業時間中にミーティング等を行いながら業務改善に取り組んでいる。優れた取組は、拠点で選考して資料を本社に提出する。その資料作成にも、パートが参加することがある。

なお、全社の中で上位4件に選ばれた優秀な活動には、報奨金が支払われる。報奨金は、拠点の親睦行事等に充てられることが多く、一体感の醸成にも役立っている。

(4)成果と課題

本人の能力・志向に合わせた職務割当、拠点の裁量を尊重した雇用管理は、パートの確保・定着化に一定の効果があると考えており、引き続きこうしたやり方を維持していきたいとしている。

X物流センターの場合、周辺に工場等が多いため、高い時給を提示されるとパートがそちらに流れ2~3年前は慢性的な人手不足であった。辞める人を引き止めるのは困難なため、いつでも戻ってきてくださいと話して送り出すようにしたところ、かなりのパートが実際に戻ってきた。辞めた人が戻ってくるのを見て、新しく辞める人も少なくなり、現在は人手不足が解消されている。表面的な時給以外の、適切な雇用管理や職場環境への配慮が、結果として人材確保につながったと認識している。

今後についても、適性のあるパートを積極的にリーダーに登用していく予定である。また、本社レベルの施策として、さらなる一体感の醸成や定着促進に向け、拠点で行う懇親会への補助金支給、パートに対する永年勤続表彰等の新たな施策を検討している。

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