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F社

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(製造業)より

雇入後のトラブル発生の未然防止のため労働条件の明示・説明を強化、福利厚生・安全衛生対策の充実

1.労働条件の明示、説明
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 中部地方 業種 食料品製造業
従業員数 約600名 パート労働者数 約80名
ポイント
  • 労働条件通知書の改訂により、書面による明示・説明を強化。
  • 慶弔見舞金規定の導入による福利厚生の充実。
  • 提案制度実施による業務改善への取組。
  • 休憩室の改装により、健康で快適な職場環境づくり。

(1)企業概要・人員構造

同社は、3県にまたがる国内3工場(いずれもISO90011認証工場)にて、食品製造業を営む企業である。国内3工場を合わせて約600名の社員が在籍しており、そのうち約9割が生産現場従事者である。一部を除き、3工場ともほぼ同様の生産工程となっている。高機能機械の導入により生産性が向上し、性別に関わらず社員の活躍の場が広がっている。

雇用区分は正社員のほか、準社員、パートタイマー(パートタイム労働者・地域・職種限定の1年契約)等に区分されている。工場のラインによっては、繁忙期には24時間操業を行うことがある。また、夜勤専門で雇用されている者も在籍している。

パートタイマーの勤務体制は、他の雇用区分と同様に1年単位の変形労働時間制を採用している。所定労働時間は原則として6時間であるが、7時間勤務や4時間勤務など本人の希望を考慮し、個別に労働条件を決定している。子育て中の女性も多数活躍している。

工場の各工程には、正社員が最低1名とパートタイマーが組み合わされて配置されている。パートタイマーは、加工された食品のパック詰めや包装の作業を中心に行う。経験を重ねたパートタイマーの作業スピードは速く、製造工程には欠かせない存在である。工場内の温度上昇による体への負担、ラインによる立ち仕事への配慮などパートタイマーを含めた全社員の安全と健康の確保に努めている。就業規則に定められた休憩は、昼休憩(50分)と午後休憩(10分)であるが、規定にはない午前休憩(10分)を付与2し、休息による作業の効率化につなげている。

(2)取組の背景

改正高年齢者雇用安定法の施行に伴い、継続雇用される60才以上の嘱託社員の増加が予想された。労働条件の明示・説明も一層重要になるとの認識から、嘱託社員用の労働条件通知書3を整備することとして、パートタイマーを含むすべての労働条件通知書の様式の改訂を行った。

(3)取組の内容

書面での労働条件の明示・説明の強化

新規採用者から労働条件通知書の新様式を適用し、在籍者に関しては更新時期にあわせて新様式への適用を進めている。内容は、法に定められた事項について漏れなく明示している。また、入社後の労働条件の相違から起こり得るトラブル防止の観点から、説明の重要性を認識し、入社時及び契約更新時に出勤日を定めた年間カレンダーの交付、個別の口頭による説明を丁寧に実施している。労働条件通知書は、労使双方で署名・捺印の上、双方で保管し、労使間の紛争の未然防止に取り組んでいる。また、パートタイマーに適用される「非正社員就業規則」を各工場総務に常時設置し、労働条件通知書の記載事項以外の就業に関する規定の周知徹底に努めている。

慶弔見舞金規定の導入による福利厚生の充実

「明るく、楽しく、元気よく」をモットーに、全社員に気持ちよく働き、会社に貢献してほしいという方針から、福利厚生面での均衡待遇に取り組んでいる。その一つが慶弔見舞金規定である。慶弔見舞金規定には、パートタイマーについても、他の雇用区分と同様の慶弔見舞金の種類が規定されている。

慶弔見舞金規程の種類

種類・区分 内容
結婚 祝電、祝金
出産 祝金
死亡 本人 弔電、香典、供花
配偶者、一親等(同居)、配偶者の父母(同居) 弔電、香典
業務上の傷病(入院1週間以上) 見舞金
災害 全壊・全焼、半壊・半焼 見舞金

提案制度実施による業務改善運動

以前から提案制度実施要綱が整備されており、取組は工場ごとに実施されていた。小さな改善の積み重ねは、新たな改善を生む可能性もあり、提案制度の活性化を目的に、取組を全工場一斉に実施することとした。パートタイマーからも積極的な提案がなされ、各工場から提案された改善案は合計140件を超えた。改善案は本社で取りまとめ、提案審査委員会で審査され、改善効果の高い提案に対しては、褒賞が与えられる。

提案には、(1)作業のムリ・ムダを省く改善、(2)職場環境の改善、(3)工場内の安全面の向上など、工場従事者ならではの視点からのものが多く集まっている。改善効果の高い改善提案から優先的に実施し、費用対効果の検証を行っている。また、費用には表われない環境改善等の効果検証も行っている。社員が自ら考え、提案することの効果は大きく、制度の浸透・定着と生産性向上にもつながっている。

安全で快適な職場環境づくり

食品製造業にとって、品質と安全・衛生は、切っても切り離せない関係にあり、安全衛生教育に関しては、入社時及び配置転換時等に法令に従い確実に実施している。 製品完成までの作業工程は、立ち仕事が多く、検品などの目を酷使する作業も多い。社員の休息を保障する休憩時間を快適に過ごしてもらうためにも、休憩室に、足を伸ばして休憩できるスペースの確保を行った。十分な休憩で体を休めることは、労災事故を未然に防ぐことにもつながると認識している。

(4)成果と課題

パートタイマーを含む人材について、必要とする人材の確保に苦慮している。勤務時間や勤務日に柔軟性を持たせ、多様な働き方に対応できる勤務体制の構築に向けた検討を進めている。人材を確保した後の定着率向上への取組も重要だと認識しており、労働条件の明示・説明をはじめ、社内の労務管理体制の総点検を実施している。今後についても、課題の洗い出しと対策の検討をひとつひとつ着実に実施していくことが重要課題であると認識している。

  1. 顧客や社会などが求める品質を備えた製品やサービスを常に届けるための仕組みについて国際標準化機構(ISO)が定めた世界共通の規格のこと。
  2. 有給で付与している。
  3. 名称は「雇用契約書」としている。

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