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E法人

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(訪問介護業)より

丁寧な労働条件の明示、職務に応じた時給設定、福利厚生の充実による待遇向上

1.労働条件の明示、説明
2.賃金・労働時間
6.福利厚生・安全衛生
所在地 関東地方 業種 訪問介護事業等
従業員数 約4,000名 パート労働者数 約 2,000名
ポイント
  • 登録時の業務マニュアル配布(全員)、パートタイム就業規則、給与規程の明示と労働条件等の説明の充実。
  • 合理的な時給体系。
  • 安心して働ける環境づくり。

(1)企業概要・人員構造

同法人は、地域の20か所にヘルパー事務所を有し、2,000名を超える有期契約の登録型ヘルパー(パートタイム労働者。以下、単に「ヘルパー」という。)を擁して訪問介護事業を行っている。

各事業所の人数は30名~200名であり、サービス提供責任者(以下、「サ責」という。)と数十名~100名超のヘルパーがいる。標準的にはこうした体制により、100名~300名の利用者に対応している。正職員はサ責や事務所管理業務に当たっており、ヘルパーとは明確な役割分担がなされている。

ヘルパーの平均的な週所定労働時間は10時間台で、最も多い人でも30時間程度である。

(2)取組の背景

同法人は大都市部で事業を営んでいるため、他の事業者との間で厳しいヘルパー獲得競争にさらされており、限られた原資の中で少しでも魅力的な労働条件となるよう、常に見直しを行ってきた。労働条件を見直す際にも、労働組合の意見を聞きながら対応してきた。

また、同法人の行う他の事業では自治体との関係が強いため、法人として特にコンプライアンスには留意しており、その観点からも雇用管理の改善に努めてきた。

(3)取組の内容

登録条件や労働条件の明示・説明の充実

採用時及び契約更新時に「登録内容通知書」を発行し、ヘルパーの登録条件や労働条件(勤務形態、勤務時間、雇用保険加入の有無など)を明文化して説明している。

また、採用時には、業務マニュアルと労働条件、服務規律等の解説書を兼ねた「ヘルパー手帳」を全員に配布し、賃金の計算方法のほか、経費精算の申請方法、年次有給休暇の取得方法等についても「こんな場合はこうする」といったケーススタディ方式でわかりやすく説明している。

図表 ヘルパー手帳の内容(目次)

合理的な時給体系

<経験加算手当>

経験豊富なヘルパーを優遇し、長期に働いてもらうため、時給の加算を行っている。ただし、週所定労働時間はまちまちであり、単純な年数では経験の多寡は測れない。このため、採用されてからの累計活動時間(移動、研修、会議等の時間を除く。)に基づいて加算手当を支給している。具体的には、活動時間の累計が2,500時間以上になると20円、7,000時間以上になると40円が加算される仕組みである。

なお、この累計活動時間の管理が間違いなくできるようにするため、勤怠管理システムを活用している。

<法定以上の夜間・早朝・休日割増>

ヘルパーには主婦層が多く、朝夕の時間帯に勤務可能な人は貴重であるので、法定の深夜勤務手当よりも対象範囲を広くとり、午後6時から午前8時の時間帯に活動した場合には、25%の割増賃金を支給している。

また、日曜・祝日に活動した場合には25%増、年末年始に活動した場合には35%増の時給が適用される(法定休日の場合には、その上法定の割増率が加算される)。

<移動賃金、同行訪問費、事務連絡費、研修費>

利用者宅間を移動するのに要する時間については、活動時間よりも低い時給ではあるが「移動賃金」を支給している。支給に当たっては、各ヘルパーに、移動の交通費と移動時間を毎回記録した申請書を提出してもらっている。上述のヘルパー手帳には、申請書の記載方法も、図入りで丁寧に説明している。

また、サ責等の同行訪問を受けて活動した場合、ケースカンファレンス等の業務打ち合わせに参加した場合、必須研修に参加した場合にも、活動時間よりは低額であるが「同行訪問費」、「事務連絡費」、「研修費」を支給している。

<休業手当>

利用者都合による急なキャンセルや活動時間が短くなった際には、代替の活動を割り当てるよう努めているが、それができずに結果として平均賃金日額を下回った場合には、休業手当を支給している。

安心して働ける環境づくり

親族に不幸があった場合には、配偶者については3日間、父母、配偶者の父母、子については2日間の有給の忌引休暇が取得できる。

また、所定労働時間が週 20 時間以上のヘルパー対しては、毎年、健康診断を実施している。さらに、同週20時間未満のヘルパーに対しても、健康診断費用の一部補助を行っている。具体的には、週10時間以上であれば3,600円、週10時間未満であれば1,000円を上限として、申請により年に1回限り法人が負担している。インフルエンザ予防接種も、1,500円を上限に正職員と同等の費用補助を行っている。

(4)成果と課題

必要な人材が十分に確保できていないため、引き続きヘルパーの待遇向上に努めていく予定である。時給の改善に加え、登録型でなく固定型の勤務体系も用意し、希望に合った働き方ができるようにしたいと考えている。また、健康診断の対象範囲も、全員に拡大することを予定している。

一方、手書きの報告書面に基づき行っているヘルパーの勤怠管理や業務管理については、本人・事業所双方にとっての事務処理の煩雑さを解消するため、将来的には携帯の活用等を検討している。

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