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株式会社伊予鉄高島屋

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(小売業)より

目標管理考課制に連動した給与体系と手厚い福利厚生で戦力化

3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
所在地 愛媛県 業種 各種商品小売業
従業員数 551名 パート労働者数 51名
ポイント
  • 正社員への転換制度によりモチベーションアップ。
  • 目標管理考課制度で自己啓発と能力伸長を図る。
  • 能力給と勤続年数を加算した給与体系。
  • パートタイム労働者も組合員であり、能力開発支援、福利厚生も社員に準じて適用。

(1)企業概要・人員構造

同社は、愛媛県松山市に本店をもち、県内に8店舗の支店を持つ百貨店で、従業員数は551名、そのうち約1割近くがパートタイム労働者となっている。一般社員は、職務を限定せずに、様々な職務を経験しながら、キャリアを形成していき、本店支店間の転勤もある。一方、有期雇用契約社員はフルタイム勤務型と短時間勤務型に区分され、限定された店舗で販売や事務、サービスの業務を行い、マネジメントには携わらない。

雇用区分 特徴
一般社員 職務限定無。総合職のみ。役職者、マネジメント職は一般社員のみ。転勤あり。賞与、退職金あり。
フルタイム
契約社員
フルタイム勤務の1年契約社員。本店・支店勤務。店舗の販売スタッフが中心。店舗間の異動なし。賞与あり、退職金なし。
短時間契約社員 短時間勤務の1年契約社員。勤務時間は個別に設定。店舗間の異動なし。賞与又は退職金を支給。
嘱託社員 60歳定年後再雇用の1年契約社員。店舗間の異動なし。賞与あり、退職金なし。

(2)取組の背景

全従業員に占める契約社員やパートタイム労働者の割合が拡大しており、特に販売職においては現場の即戦力としての活躍を期待している。

そのため、全社員が一体となって同じ方向性を目指すことを目的に、賃金面や働き方、仕事の幅などについて多様なニーズに応えられる施策を導入した。現在は短時間勤務だが、将来フルタイムで働きたいと考えた時に転換の道も用意されており、モチベーションアップにつながっていると考えている。

(3)取組の内容

有期雇用社員間契約変更制度と社員登用制度

契約社員には、店頭で販売を行う「販売職」、事務・サービス等を担う「スタッフ・サービス職」、営業サポートを主体業務とする「営業職」がある。

有期雇用社員の職種・働き方と労働条件の整合性を前提として、一人ひとりの能力を高めることで全体の総合力を強くすることを狙いに、社員登用制度と有期雇用社員間契約変更制度を導入している。

「有期雇用社員間契約変更制度」は、短時間契約社員のうちフルタイム勤務による更なる能力発揮を目指す人に対しては、人員補充に際し、希望者の中から勤続年数や人事考課評定・面接等の選考を経て契約変更するものとなっている。

フルタイム契約社員には進級制度を設けており、上位等級である「S級」の者は、よりレベルの高い接客、販売に加えて、後輩の指導などの役割も担う。この「S級」になるためには、人事考課評定や業務経験年数が一定の条件を満たし、所定の選考に合格しなければならない。

また、更なる能力発揮を目指す人に対しては、本店の場合には、S級で2年以上の経験と部門長の推薦があり、人事考課評定、論文審査、面談を経て社員に登用される道が開かれている。

有期雇用社員の雇用管理体系

有期雇用社員の雇用管理体系

目標管理制度と人事考課を反映した能力給の設定

契約社員に対しては、日々の業務や自己啓発を通じて個々の能力伸長を図り、優秀な販売員あるいはスタッフとなることを期待している。従って、能力重視の適正な評価を行うために、半年毎に、個々の仕事の目標を明確に設定し、評価に反映させる目標管理考課制度を導入している。

毎期初に、その半期に取り組みたい目標と達成のための具体的施策を設定し、人事考課表に記入、上司と面談する。半期が終了したら、達成実績を記入し再度面談をする。販売職については、個人売上目標記入欄を設けてその達成度合を評価することとしている。

短時間契約社員の月例給与は、一律に設定される「基礎時間給」、個々の仕事の成果に応じて支給される「能力給」、勤務年数に応じて加算する「勤務年数加算」で構成されており、評価結果は能力給に反映される。

能力給は、個々の仕事の成果や取り組み姿勢などに応じて支給される給与で、当年度の能力給は、前年度能力給を基準として、人事考課の評定との関連で、「能力給昇降額表」に基づく金額の昇降により決定する。

能力開発支援

希望者が受講できる実務研修や、能力及び知識習得と動機づけを行う研修として、入社時ガイダンス、スキルアップ研修などを実施している。また、自己啓発メニューとして、正社員と同様に職務に役立つ資格取得をサポートし、現職務に必要な資格取得に関する費用は、全額会社が負担している。

社員に準じた多彩な福利厚生

福利厚生制度については、正社員とほぼ同様に利用することができる。

  • 社員預金
    入社と同時に申し込みできる。
  • ショッピングチケット
    入社時に提供。現金にて商品を1割引で購入することができる。また、慶弔等の際にはこれとは別に限度額を定めたチケットの交付申ができる。
  • 社員クレジットカード
    店内の商品を掛で購入でき、現金での支払と同様、1割引となる。
  • 社員ローン
    店内の商品を無金利でローン購入することができる。
  • 共済会
    入社と同時にいよてつ髙島屋共済会に加入となる。慶弔などに関して有利な条件で給付金を受けることができる。
  • 従業員家族バザー
    家族・友人・知人が割引価格で買物ができる「家族バザー」の日を設けている。

両立支援制度の均等化

育児や介護に関する制度は、正社員と同等に整備されて均等化が図られている。育児休職期間は子が2歳に達するまで、また育児短時間勤務の対象は小学校3年生終了まで、看護休暇の対象となる子の年齢を小学4年までで、年間10日までに拡充付与するなど、法定を上回る手厚い内容となっている。また、月曜日と木曜日をノー残業デーに設定し、毎日社内に送る「朝礼伝達」で周知したり、時間外労働に関するアンケート結果に基づき、「時間管理強化月間」の設定を行うなど、ワーク・ライフ・バランスを図りやすい制度が整備されている。

(4)成果と課題

フルタイム契約社員が60歳になったときは短時間勤務での再雇用制度を設けているが、その結果、短時間勤務者が増え、フルタイム勤務者の減少につながっている。さらに、育児短時間勤務者の増加も加わり、夕方や閉店時の人員確保が課題となっている。

今後は、フルタイム勤務者・短時間勤務者の双方の負担にならないよう、部門間の人員構成を均整化やジョブローテーションを図っていく必要があると考えている。

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