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株式会社遠鉄ストア

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(小売業)より

スキルの見える化を図り、スキルアップとステップアップをサポート

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 静岡県 業種 飲食料品小売業
従業員数 約2,700名 パート労働者数 約2,100名
ポイント
  • 資格制度により、ステップアップに必要なスキルを明確化
  • 個別指導により、ステップアップをサポート
  • 簡素な人事評価を導入し、会社が期待する働き方を明確化
  • アンケートによる意見収集で、コミュニケーションの向上

(1)企業概要・人員構造

同社は、静岡県西部に30店舗を展開するスーパーマーケットである。地域のお客さまに支持され、社員が「このお店で働いていてよかった」と実感できる『高質スーパーマーケット』を目指し、各店舗が個別に目標を掲げ様々な取り組みを行っている。また、競合他社が営業時間の延長に踏み切る中、サービスの質の向上と社員のモチベーションアップを図るため、客層や立地などを踏まえ店舗の営業時間を短縮するなど、業界に先がけた取り組みも進めている。

標準的な店舗の人員構成は、店長、副店長、各部門にチーフが一名ずつ、その下に一般職の正社員、パートナー社員と呼ばれるパートタイム労働者が配置されている。チーフ以上は全員正社員であり、パートナー社員からの登用は現在行われていない。

パートナー社員は、「フレッシュパートナー」(青果・精肉・惣菜・ベーカリーいずれかの部門の業務)、「フロアパートナー」(青果・精肉・惣菜・ベーカリー以外のフロア部門の業務)、「チェッカーパートナー」(レジ業務)など、担当する業務により9つに区分されている。所定労働時間は1か月平均130時間未満と130時間以上の2パターンあるが、「フレッシュパートナー」と「フロアパートナー」のみ、60時間未満のパターンが設けられている。また、賃金では区分により支給項目や支給額に違いが設けられている。

(2)取組の背景

かつて職能パートというしくみがあったが、制度がやや曖昧な上対象者も少数で、十分機能しているとは言い難い状況であった。また、発注業務もパートナー社員には任せていなかった等、業務の範囲も限られていた。

パートナー社員のモチベーションを高め、活き活きと働いてもらえる環境を作るためには、チャレンジする機会を設けることが重要であると考え、平成19年に「パートナー社員ステップアップ資格認定制度」を導入し、スキルアップとステップアップをサポートする仕組みをスタートさせた。

(3)取組の内容

スキルアップとステップアップを目指したステップアップ資格認定制度

パートナー社員の昇格のしくみとして、ステップアップ認定資格制度を設けている。ジュニア(B、A)、ミドル(B、A)、シニア(B、A)の6段階の資格を設け、それぞれの資格に必須となる能力、技能を青果、精肉等の部門ごとに定めている。例えば、青果部門であれば「果実の鮮度基準を理解し鮮度チェックができる」といった項目の習熟度を点数化し、合計点が合格ラインをクリアすると上位資格に認定される。資格取得により、基本時給に30円~150円のステップアップ給が支給され、平成25年度現在、ジュニアB349名、ジュニアA161名、ミドルB48名、ミドルA20名、シニアB6名、シニアA11名が認定されている。

各資格に求められる能力、技能は全員にわかるようにポスターを店に貼り出しており、ステップアップに必要なスキルが明確になっているため、チャレンジ意欲を高める効果を生み、結果として資格取得者の定着率の向上に繋がっている。

パートナー社員ステップアップ認定評価表

パートナー社員ステップアップ認定評価表

ステップアップ資格挑戦者に対する個別指導の実施

ステップアップ資格認定制度により上位資格に挑戦するパートナー社員に対し、指導担当者が「OJT計画書」を作成し、習得すべき項目を設定する。担当者は計画書に基づいて教育・指導を行い、半年後に各項目の習得状況を判定している。担当者が個別に指導及びフォローを行うことで、スキル習得のサポートと同時に、チャレンジへのモチベーション維持を図っている。

共通指標によるわかりやすい人事考課

人事考課は年2回、全職種共通の評価項目を使って評価を行っている。「勤務態度」に関する項目が7つ、「組織運営への協力度」に関する項目が2つ、「業務遂行度」に関する項目が3つ、計12項目の評価を行い、評点はA、BA、B、BC、Cの5段階となる。人事考課の結果は考課給として時給に反映され、考課の都度洗い替えとなっている。評価項目が全職種共通のため、わかりやすく、運用もしやすいしくみとなっている。

満足度調査による声の吸い上げとフィードバック

毎年1回、パートナー社員を含めた全社員に満足度調査のアンケートを実施し、職場や制度、仕事内容についての悩みや改善要望を吸い上げている。その内容について、社長をはじめとする経営陣が検討を行い、改善への着手や次年度の経営計画に改善内容を盛り込む等、速やかにフィードバックを行っている。

誕生日会の開催などによる一体感の醸成

誕生日を迎える対象者のために、店ごとに毎月誕生日会を開催し、花や粗品などをプレゼントして全員で祝っている。また、誕生日会以外にも、店長の裁量で、モチベーションアップや一体感の醸成のための取組みを自由に行うことができるようになっている。• 販売に関するチャレンジを評価するコンテストの開催売場づくりやPOPの工夫など、自分で選んだテーマへのチャレンジとその成果を評価するチャレンジコンテストを開催している。成果の出た事例を本部に集め、随時イントラネットに掲載し閲覧できるようにしている。その後3か月に1回審査を行って優秀な事例を選び、店長会において表彰を行っている。

入社時研修で安全衛生教育を実施

入社時研修のテキストで、過去の業務災害の件数や事例を紹介している。職種別や受傷内容別の件数も明記され、どのようなケガが多いのか分かりやすくしている。また、どんな場所で、どのような作業中にケガが発生しているのか具体的な事例も記載し、業務災害防止への意識づけを行っている。

(4)成果と課題

ステップアップ認定資格制度により、どのようなスキルを身につければ資格が上がり、賃金が上がるのか明確になっているため、やる気の醸成に繋がり、資格保有者の定着率が向上している。また、チーフが指導担当者として教育・指導を行うため、以前よりパートナー社員と深く関わるようになり、コミュニケーションが活発になった。

一方課題として、現在鮮魚部門とチェッカー部門にはステップアップ認定資格制度を適用していないが、賃金が上がっていかない等の不満も出ており、今後制度を適用するのかどうか、検討が必要になっている。

その他、入社1年未満の退職率の高さが課題であるが、入社したパートナー社員用の作業マニュアルが部門によっては整備されていない実態があり、退職率を上げる要因の一つではないかと考えている。

パートナー社員には、主婦の感覚や若手の視点、ベテランとしての経験など、これまで生活してきた中で得た情報をフル活用して色々なことにチャレンジして欲しいと考えており、そのための仕組みや制度の整備については、時間や投資を惜しまず行っていきたい。

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